車でも徒歩でも目的地までスマホから道案内をしてくれるGoogleマップ。たまにめちゃくちゃ細い道のショートカットを提案してくることもあるが、ないよりあったほうが断然便利だ。
だがあまり過信しすぎると、とんでもない状況に陥ってしまうこともある。人や企業、時には政府でさえ、グーグルマップに従って、ありえないミスをおかしてしまうようだ。
以下で紹介するのは、グーグルマップ対人類の仁義なき戦いだ。
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7. グーグルマップの案内で違う家が解体される(アメリカ)
アメリカで家を解体するには業者と打ち合わせし、契約書を作成し、膨大な枚数の書類を役所に届け出なければならない。まさかこんな間違いが起きるとは...
テキサス州に在住の女性に依頼された解体業者はあろうことか、別の家を解体してしまった。その家のオーナーであるリンゼイ・ディアスの人生は家とともにめちゃくちゃになってしまった。
これについて業者はクストードライブ7601の家を解体するよう契約を結んだと主張した。ところが、ディアスの自宅はカリプソドライブ7601にあった。あろうことか、グーグルマップはこれを同一の場所と判断していたのだ。
グーグルマップを見て目的地を確認した業者はこの場所で間違いないと解体してしまったという。
Woman’s Home Mistakenly Demolished
グーグルの広報は、両住所がマップ上で同じ場所に表示されていたことを認め、直ちに修正が行われた。これでピザ屋の配達が誤って瓦礫となった家に届けられるようなことはなくなるだろう。
6. 町全体が消失し運送業界が大混乱(アメリカ)
フロリダ州サンライズは9万人の人々が暮らし、NHLのフロリダパンサーズの本拠地であり、郡最大級のショッピングモールがある町だ。にもかかわらず、まる1ヶ月の間、グーグルマップから完全に消失してしまったことがある。
2010年の30日間、サンライズをグーグルマップで検索しようとした人には、そこから320キロ離れたサラソタが表示され、運送業界は大混乱に陥った。
だが消失した町はサンライズだけではない。過去には、カリフォルニア州ラホヤおよびインペリアルビーチ、ミネソタ州ロジャーズ、オハイオ州ウィックリフ、バージニア州ウッドストック(ちなみにあのウッドストックではない)もまた、アメリカにはないものとして扱われたことがある。
しかしサンライズは少々特別だ。グーグルマップがあえて存在を消し去ろうと目論んだかのように思えるからだ。
マイク・ライアン町長によると、この現象は1度ばかりか3度も発生しており、その都度甚大な被害が生じているらしい。
地元企業には崖から飛び降りとでも言わんばかりの指示が表示され、住民は警察、警察署、病院といった救急サービスの場所が分からなくなった――これらすべてが消されてしまったからだ。
5. 女性が砂漠で死にかけた(アメリカ)
グランドキャニオンを目指してドライブした女性がいた。グーグルマップに頼ったアンバー・バネックがたどり着いたのは有名なあの風景ではなく、何もない場所だった。
2017年、バネック(24歳)はグランドキャニオンを見るために一人旅に出た。その道中、アリゾナの砂漠のど真ん中で、車のガソリンが100キロ分しかないことに気がついた。
そこでグーグルマップを確認すると50キロ先にガソリンスタンドが見つかった。毛ほども疑うことなく、マップの表示に従った彼女は、存在しない道路を運転し、そのまま存在しない場所へとたどり着いた。そしてガソリンは尽きた。
幸いにもバネックはガールスカウトの経験があり、きちんと準備していた。18日分の水と食料を食いつなぎながら、岩に大きく「助けて」のサインを作り、発煙筒や懐中電灯で上空を通過する飛行機に助けを求めた。
恐ろしい経験だったろうが、砂漠でラーメンを食べたり、プレーリードッグと友達になったりと、案外楽しいこともあったかもしれない。
Student Taped Message to Family While Stranded in Grand Canyon Before Rescue
それから5日後、減る一方の備蓄を眺めていた彼女は、意を決しておよそ20キロの砂漠横断を決行する。
そしてついにスマホにわずかな電波が届く場所へとたどり着き、40秒間の通話で救助を要請することに成功した。連絡を受けた救助隊は車を発見し、そこに帰還した彼女を無事救出した。
・グーグルマップが招いた悲劇。グランド・キャニオンの中心でヘルプを叫ぶ(アメリカ) : カラパイア
4. 観光客がとんでもない場所に案内される(世界各国)
観光客にとって今やグーグルマップは必須のツールとなった。見知らぬ土地の観光スポットを知りたければ、グーグルマップが教えてくれるだろう。
ところがアメリカのラシュモア山へ行くためにグーグルマップを利用した人たちは、有名な4人の大統領の彫像ではなく、時折そこから20キロ離れた雪に覆われた丘に案内された。それがあまりにも頻繁に起きるものだから、標識まで掲げられたほどだ。
ノルウェーにあるプレーケストーレンの美しい崖を観光しようとした人も似たような目にあった。グーグルマップが、プレーケストーレンの代わりに、フォスモークというまったく関係のないフィヨルドの小さな町を紹介することがあったのだ。
幸いにもそこは目的地から30キロの距離で、その町はグーグルマップのせいで寄り道する羽目になった観光客が通り過ぎることに慣れてしまった。
それでも、これらの観光客は少なくとも素晴らしい自然を見るチャンスには恵まれただろう。だが、オーストラリアのブルー・マウンテンズ国立公園を目指す観光客は、そこから30キロ離れた何の変哲も無い郊外の袋小路へと誘い込まれた。
観光客を乗せた車やバスが続々と現れ、中にはそこにあった家のドアを叩き、道を尋ねたり、トイレを借りたりする者もいたらしい。
3. ストリートビューに胸を晒された女性(カナダ)
カナダ、モントリオール在住のある女性はグーグルマップで自宅を検索して仰天した。自分の胸部がぱっきりと映っていたのだ。
自宅の前をグーグルカーが通過した時、彼女は玄関に座って携帯電話をいじっていた。それに気がついた彼女は、ストリートビューの写り具合を確かめてみることにした。そして卒倒する羽目になる。
その時着ていたタンクトップの胸元が絶妙な角度で緩んでおり、中身がカメラに映ってしまっていたのだ。それだけでなく、自宅の住所表示や車のナンバープレートまで世界最大の地図サービスに公開されてしまっていた。
苦情を受け付けたグーグルはすぐさま顔にぼかしを入れたが、ただ彼女の目の高さの部分が見えづらくなっただけのことだった。
女性はグーグルをプライバシーの侵害で訴え、裁判所もその訴えを認め、顔をぼかしただけでは身元を隠すには不十分と判示した。結局、グーグルには和解金約22万5000円と利子、ならびに裁判費用1万6000円程度の支払いが命じられている。
2. ライバル店にグーグルマップを悪用され倒産した(アメリカ)
中小企業のオーナーは、顧客に店の宣伝をするためにグーグルマップを利用している。しかし2010年、アメリカ、バッファローに出店していたいくつかの宝石店は、突然客足が途絶えたことに悩んでいた。
オーナーがグーグルマップで店の情報を検索すると、あろうことか「閉店」と表示されていたのだ。これが客足が途絶えた原因だった。
犯人は商売敵の宝石店だと思われた。その同業者は商売敵に悪い評価を与えつつ、自分には高評価を残すという情報の改ざんを行っていた。
こうした事例は他にもある。セルビアンクラウンというレストランは米国でも珍しいライオンの肉を提供する店だったが、一晩にして売り上げが75パーセントも低下した。それから数ヶ月して、ある顧客がなぜ土、日、月が定休日なのか問い合わせてきた。
なんとオーナーの知らないところで、グーグルマップの店舗情報が改ざんされ、定休日が週3日に書き換えられていたのである。
なおこのレストランは結局売り上げ減少の危機を脱することができず、閉店に追い込まれた。
1. 地政学的緊張を煽ってしまう(各国)
グーグルマップのミスが国家問題にまで発展することがある。
ニカラグアがグーグルマップのミスのおかげでコスタリカに侵入してしまったのだ。だが、こうした危険な過ちはそう珍しいことではない。
昔の地図製作者のように、国同士が国境を巡って揉めている時、グーグルマップには(文字通り)一線を引いてやるという大切な役割がある。
中世とは違い、グーグルにはそれぞれが主張する国境をすべて地図に表示するだけの十分な技術力が備わっているはずだ。
にもかかわらず、そのような如才のなさを示すのではなく、グーグルはアクセスした国の主張に基づく世界地図しか表示していない。ある政府が別の国の政府や国境紛争を承認していなければ、それが表示されることはない。
例えば、アメリカはクリミアを「占領地」とみなしている。そのため、アメリカでグーグルマップを利用するとクリミアは点線で区切られており、その地位に疑義があることが示唆される。
しかしロシアでグーグルマップを利用すれば、クリミアは紛うことなきロシアの一部であり、国境の問題はないことになっている。
このように政治とは距離を置こうとするグーグルであるが、デリケートな状況に陥ったこともあった。
ある時は、まるで第三次世界大戦の勃発でも煽っているかのように、ドイツの港をオランダのものにしてまった。
それだけではない。インドの高等裁判所は、グーグルがマップに軍の基地を表示したことを激しく非難した。何しろその基地は宿敵パキスタンとの国境付近にある極秘の基地だったのだ。
References:7 Times Google Maps Straight Up Ruined People's Lives | Cracked.com/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
国の大きさが違うから、いろいろと起きてしまうのか
2. 匿名処理班
俺も一時期、バイクでツーリングするときにグーグルマップのナビを使っていた。
離合できない山道や国道を縫うようなナビを平気でしてくれるので、ナビを使うときは必ず中継地点を設定するようになった。
そしてグーグルナビに表示される所要時間は1.5~2倍して丁度良いことを学んだ。
3. 匿名処理班
マップのルートナビに従っていたら道路が無いが1回、道が途切れているのが1回
最新の詳細な地図と併用が望ましいね
最新カーナビでも、間違っている事がある
4. 匿名処理班
依存度高いとこうなるんだね…
5. 匿名処理班
しょっちゅう名前が書き変わる海と島が有りましてねぇ
6. 匿名処理班
それだけネットに惑わされ毒されてるんだよ
7. 匿名処理班
何も知らずにただ便利ですごいなとしか思ってなかった自分が恥ずかしい
8. 匿名処理班
北区だったかな?そこの路地に「Google Mapのナビに従ってこの道来た人へ。この先道が細すぎて車では通れません。今来た道を引き返してください」的な看板があったっけな。
しかし、その先の電柱に幾筋もついた擦り跡を見て思ったけど、こういう人は何故どう考えて見ても通れない道を進む??以前海外でナビに従って湖に車ごとダイブした人もいたけど「Googleならば間違いない」とでも思ってしまうのかね?若しくは警告されるほど燃え上がっちゃう人?本当に謎ですわw
9. 匿名処理班
Googleの地図を改ざんしたり悪用すれば、小さな国1つくらいなら、破壊する事が出来そうだね。
家壊されたり、砂漠のど真ん中で遭難しかけたり、店つぶされたり、あげくに街1つ消したり、メチャクチャじゃん!
Googleは彼らに対してちゃんと賠償責任を果たしたのかな?
10. 匿名処理班
ネットワークの信用性は
8割とするべきかね・・・。
11. 匿名処理班
日本ではゼンリンさんに頑張ってグーグル独占状態を防いでいただかねば…
12. 匿名処理班
日本だと、ここまで大きいな問題が無く使えてありがたい
アップルのmapは別だけども
13. 匿名処理班
30km先の目的地に8時間かけて歩いて行くように表示された
14. 匿名処理班
自分の使用感だがナビの精度はGoogleMAPよりYahooのナビアプリのほうが高い気がする
15. 匿名処理班
以前、徒歩でグーグルマップの言うとおりに行こうとしたら、十数年は人が通ってないっぽい草ぼうぼうの荒れ地と変わらない場所が、道として表示されたことがあったの思い出した
一応かろうじて区画分けがかすかに見て取れたから、昔はその辺が普通に居住区だったんだろうけど、既にそうじゃなくなって久しい場所までそのままだったんだから、信用できないのも宜なるかな
16. 匿名処理班
とにかく検索しないとシンボルが表示されない
拡大しないとシンボルが表示されない
遠出して土地勘ないとこで把握しようとするとくっそ使いにくくてストレス溜まる
必要最低限の機能、デザイン重視、見目が良いだけのような志向で済まされたアプリほんと嫌い
17. 匿名処理班
あるアニメで国家機密が地図だったという作品があったのを思い出した。
地図って戦略上で重要な道具なんだよな。
付近の地域の地図を作ることで独立を維持している国家があるくらい。
18. 匿名処理班
※11
ゼンリン提供のナビで、道が無い場所が最短コースと表示される(我家から400m位の場所)
19. 匿名処理班
※11
普通にゼンリンもグーグルマップに協力してるんだよなぁ・・・
20. 匿名処理班
ただの一企業のサービスを公共サービスばりに使うから…間違いあって当選と思うわ。