岸朝子選「東京五つ星の手みやげ」

  • #1

    黒松(どらやき) 北区東十条「草月」

    黒 松模様の黒糖の皮生地で、つぶあんをつつんだ、どらやき「黒松」は 先代と二代目の手によって昭和33年につくられました。全国にその味を知らしめたので 昭和45年の全国菓子大博覧会金賞受賞がきっかけ。当初20個ほどの売り上げだった「黒松」は現在なんと多い日で1日2万個も売れる大ヒット商品になりま した。しかも30年以上1個100円の値段もかわらず。美味しさの秘密は極上の皮生地、東十条の地でのみ買い求められるこだわりの、どらやき、五つ星の手 みやげをご堪能ください。
  • #2

    言問団子(団子) 墨田区向島「言問団子」

    古今東西の味があふれる“飽食”の都会でベストセラーとなったのが、料理暦50年という岸朝子が選んだ「東京五つ星の手みやげ」(東京書籍刊)。今回ご紹介する老舗の一品は、墨田区向島の「言問団子」。花見の名所、隅田川を挟んで浅草の対岸に位置する「言問団子」は初代が江戸末期に現在の地に開店、以来創業160年。黒・白・黄色の三色の団子にこめられた歴史と職人のこだわりを、満開の隅田川の桜並木とともにじっくりご堪能ください。
  • #3

    銀座マカロン(西洋菓子) 中央区銀座「ホテル西洋銀座」

    銀座のスィーツの中でも、隠れた名品として、大人に人気なのが、ホテル西洋銀座のケーキショップの2代目シェフが考案した「銀座マカロン」。伝統的なフランスのお菓子マカロンとの違いは、生地の薄さと大きさ、ふんだんに入ったラムレーズン入りのバタークリーム。完成までおよそ3時間、パテシエがひとつひとつ手作業で生み出す過程も、ためいきものです。1個230円(!)も納得か。銀座に美食家たちまでもひきつける、五つ星の手みやげの秘密をご堪能ください。
  • #4

    豆大福(大福) 文京区音羽「群林堂」

    東京に数々の人気豆大福がある中で、今回ご紹介するのが大正5年から文京区音羽に店を構え、文人たちにも愛された群林堂。小豆は北海道十勝産、赤えんどう豆は富良野産と、素材にこだわり、絶対に添加物をつかわないので賞味期限は当日。特徴はごつごつとするほど入っている赤えんどう豆に多めの餡、そして乾燥を防ぐための片栗粉。1個137円というお手ごろな値段に開店まえから行列ができ午後3時ごろにはうりきれるという。デパートからの数多くの出店依頼も断り、この地で"五つ星の手みやげ"の味を守り続けている。
  • #5

    アップルパイ(洋菓子) 千代田区神田淡路町「近江屋洋菓子店」

    老舗の洋菓子店「近江屋洋菓子店」はパン屋として明治17年に創業。2代目がアメリカに渡り、パンと洋菓子の腕を磨いて現在の礎を築いた。現在は4代目。今回紹介するのは4代目自ら、毎朝青果市場でりんごを仕入れるこだわりの「アップルパイ」。パイ生地には普通のバターより値段が倍のカルピスバターをふんだんに練りこむ。1ホールあたりにりんご3個分をつかい、ドーム上に膨らんだアップルパイは、どこか懐かしい正統派の洋菓子。
    毎日夕方に焼きあがるため、その時間に訪れる常連客も多いという。1カット315円、1ホール2730円。明治から続く老舗の何かが違う“正統派”アップルパイをご堪能あれ。
  • #6

    穴子寿司(寿司) 台東区谷中「乃池」

    戦前の趣を残す建物が並ぶ谷中で、正真正銘の江戸前にこだわり手みやげとしても谷中の名物となった寿司が「すし乃池」の「穴子寿司」。御年78歳のご主人が毎朝仕入れる東京湾の穴子は他店の4倍の250匹で、4人のお弟子さんとご主人の5人がかりで毎日さばかれる。門外不出のダシで煮た穴子に、2週間煮詰めたツメ。谷中散策の折にわざわざ探して手みやげとして購入するお客さんも数多い。「この店の穴子の味が忘れられない」と再来店のお客の言葉にご主人は「商売冥利につきる」とのことである。
  • #7

    鯛焼き 港区麻布十番「浪花家」

    明治42年創業に今川焼き屋として創業したこの店の初代が「今川焼きは丸型でつまらないと“めでたい”の『たい』の型にしたところ売れ出したという。そう、この店が「元祖鯛焼き」、鯛焼き発祥の店なのである。昔風の木造の店内で忙しく鯛焼きを焼くのは四代目。
    北海道十勝産の小豆を8時間かけて大釜で煮ることによって、甘い餡の中にも豆の香りが広がる。ひとつずつ鉄型で焼く一丁焼きが、皮の甘みを出すという。一丁焼きのため一日2000個が限界だが、あちこちから電話で予約をしてまで買いに来るという「元祖鯛焼き」なのである。
  • #8

    カレーパン 江東区森下「カトレア」

    下町の森下にある一見普通のパン屋さんだが、この店こそ大正時代に元祖カレーパンを考案したパン屋さんである。明治10年創業の東京でも有数の老舗のパン屋であるこの店が関東大震災で店を焼き、二代目が、立て直しのために当時人気だったカレーをパンにつめカツレツの衣であげ「洋食パン」として売り出した。現在も一日およそ1000個を売り、一日4回、揚げたてのカレーパンができあがる時間には地元の客が並ぶ。森下の地に生まれて昔ながらの味を守る「元祖カレーパン」の秘密をご堪能あれ。
  • #9

    栗まんじゅう 中央区日本橋「清寿軒」

    1861年江戸末期に初代澤村清造が創業した清寿軒は、ビルに挟まれひっそりと築80年の和風の店構えを守る。かつては日本橋界隈の花柳界を相手に接待用の和菓子として重宝された清寿軒の味を引き継ぎ、すべてを一人でこなすのは7代目。1個210円、人気の栗まんじゅうの栗餡は、栗とこし餡の割合が8対2.、きめの細かい餡から大きな栗が顔をのぞかせる。手みやげの箱に大きくかかれた「大福帳」文字は大正時代のデザイン。日本橋で144年続く小さな和菓子屋の大きな栗まんじゅう、老舗が伝える江戸の味をご堪能あれ。
  • #10

    フルーツケーキ 港区南青山「ルコント」

    昭和38年に創業者アンドレ・ルコントがホテルオークラに招かれたことがきっかけで、昭和43年日本にはまだなかった本場フランス菓子専門店「ルコント」は当時六本木に開かれた。「万事フランス流に・・」のルコントの教えを守りつつ作り続ける名物のフルーツケーキは、ルコントが世界中から厳選した10種類のドライフルーツをたっぷりのラム酒に1ヶ月つけこむ。1本3150円。これが本場のフルーツケーキというものか・・と美食になれた現代の日本人もきっと驚く。日本をこよなく愛したアンドレ・ルコントの教えを忠実に守り日本人シェフパティシエ達が焼き上げる、芸術ともいえる本場の「五つ星の手みやげ」をご堪能ください。
  • #11

    本饅頭 中央区明石町「塩瀬総本家」

    日本で初めて饅頭が誕生したのは、今からおよそ650年前の1349年、室町時代のことである。そして、その餡入りの饅頭を初めて作った店こそ、この「塩瀬総本家」なのである。
    「五つ星」で今回紹介するのは、塩瀬7代目が450年前に考えた「本饅頭」。1575年の「長篠の合戦」で出陣する徳川家康に献上したという歴史ある一品である。
    蜜付けした大納言と漉し餡を1?oにも満たない薄皮でつつんだこの「本饅頭」の作り方は「本邦初公開(BY塩瀬34代目川島英子氏)。650年続く老舗の伝統の技、老舗の心、ここにあり、なのである。
  • #12

    芋ようかん 北区田端「土佐屋」

    初代が大正12年にこの地に創業、2代目が、さつまいもが美味しい時期にしかつくらない、季節限定の芋ようかんを考案した30年ほどまえから口コミで人気になり、「土佐屋の芋ようかん」はその名を知られるようになるが、その味の秘密は"夫婦で力をあわせた手間と隙"。実は3代目である高橋功さんご夫婦は、自分達の代限りで暖簾をたたむという。田端で愛され80年の芋ようかんは、ちょっぴり切ない五つ星の手みやげです。
  • #13

    いちご豆大福 新宿区住吉町「大角玉屋」

    今や日本中にあるいちご豆大福の考案者が、大角和平さん、この店の三代目。大角玉屋は大正元年、初代政吉がこの地に創業、豆大福ではその名が知られた店だが、昭和60年2月発売のいちご豆大福は今までにない新商品として和菓子界空前の大ブームに。三代目はキウイ・バナナ・パイン・ナスなど今までに100点以上のアイデア和菓子を作ってきた。三代目の飽くなき和菓子の追求が産んだ、大ヒット商品をぜひご堪能あれ。
  • #14

    シュークリーム 中央区銀座「ウエスト」

    数寄屋橋交差点から徒歩3分にある、「ウエスト」本店。もともとは初代が昭和22年に高級レストラン「グリル・ウエスト銀座」を創業したが、戦後の贅沢規制の都条例により半年後に、喫茶店として再スタートしたもの。名物のシュークリームは一般的なものとの違いが2つある。ひとつは、カスタードに生クリームもバニラエッセンスも加えずに素材を最大限にいかした、昔ながらのカスタードクリーム、そして、普通のシュークリームよりも二回りは大きく、大人の握りこぶしほどの大きさはあるというそのボリュームである。甘すぎず食べ応えもあり、男性に人気。シンプルなものだからこその、五つ星“銀座のシュークリーム”の違いをご堪能ください。
  • #15

    餡なし草餅 墨田区堤通「志満ん草餅」

    向島名物といえば、「言問団子」「長命寺の桜餅」そして、この「志満ん草餅」である。
    創業当時から変わらない真ん中のくぼんだ形は、渡し舟に乗るときに白みつやきな粉がこぼれないようにと、明治の初めに初代が考案したもの。「草餅はヨモギが命」と語る4代目は四季によって違う天然のヨモギを調理しわける。ひとつずつ職人が丹精をこめて手作りをするため一日の量に限りがあるが、節句の時期には1万5000個もの注文が入る。経木に包まれた昔ながらの餡なし草餅は、135年の歴史に培われた「五つ星の手みやげ」である。
  • #16

    ロールケーキ・プランタン 世田谷区成城・マルメゾン

    生のフルーツをたっぷり巻き込んだロールケーキ「プランタン」は、ここマルメゾンで
    15年前に誕生した。マルメゾンのシェフ大山は日本洋菓子界の先駆者で、数々の弟子達が有名店のオーナーシェフとして活躍する。自慢の特製ヨーグルトクリームに新鮮な完熟フルーツを宝石のようにちりばめる。「伝統の中にオリジナリティを作らなければならない。」今やフルーツ入りのロールケーキは洋菓子のスタンダードのひとつであるが、その原点である大山シェフのこだわりをご堪能あれ。
  • #17

    人形焼 中央区日本橋・重盛栄信堂

    重盛栄信堂は大正6年に初代重盛永治が、安産の神水天宮のある人形町に創業。重盛栄信堂の人形焼は昔から七福神をかたどったものですが、7は奇数で鉄型に入らないので初代が頭の長い福禄寿をはずし六福神としたそうです。卵白、卵黄を別々に攪拌し、加糖練乳やはちみつ、みりんも加えた秘伝の生地づくりと、少し固めの漉し餡を2:8の割合で鉄型にいれ、4丁ずつをバーナーで。下町風情のある人形町に響く4丁焼きの音色に導かれ、伝統の味をご堪能ください。
  • #18

    玉だれ 中央区日本橋・栄太楼総本舗

    栄太楼総本舗の初代は屋台できんつばを売り歩き、日本橋のこの地に1857年に創業。それから20年後に誕生した「玉だれ」は、なんとわさびを使った今までにない和菓子。香りと辛味が日本茶に合うと、茶席で評判になったとのこと。わさびに粉末の山芋と上白糖、しかしこの餡には一切熱を加えません。職人が手間隙かけて作り上げた求肥にほんのり透けて見える緑色。わさびの辛味と風味が広がる、歴史ある異色の生菓子は、明治以来グルメの間で好まれる知る人ぞ知る「五つ星の手みやげ」なのです。
  • #19

    シャリアピンパイ 千代田区内幸町・帝国ホテル「ガルガンチュア」

    帝国ホテルの名物メニュー、シャリアピンステーキ。著名な声楽家シャリアピンのために作られた伝統の一品である、歴史は昭和11年に遡る。「シャリアピンパイ」はシャリアピンステーキを贅沢にパイで包み込んだ一品で、3年前、ホテル1階のテイクアウトコーナー用に考案された。パイの調理には名門ホテルが誇る3人のシェフ、肉専門のシェフ、調理シェフ、パイ職人がその経験と技を結集する。まさに、帝国ホテルの伝統から生まれた「五つ星の手みやげ」なのである。
  • #20

    花園万頭 新宿区新宿・「花園万頭」

    江戸時代の後半1834年に石川県金沢で創業した「石川屋本舗」、3代目が明治39年、新宿は花園神社前に店を移し、名前を「花園万頭」と改めた。「日本一高い、日本一うまい」のキャッチフレーズの「花園万頭」は1個315円。香川産の和三盆糖と氷砂糖、北海道十勝産の小豆から手間隙かけて作り出す、あっさりとしたこし餡。そして、大和芋と秘伝の粉の調合が作り出すもちもちとした食感の生地は、170年の歴史と職人達のプライドが作る新宿の「五つ星の手みやげ」なのである。
  • #21

    かのこ 中央区銀座・鹿乃子

    1946年に、初代吉田千蔵がこの地に創業。千蔵は和紙を扱う「鹿島」という店の子供であったため、店名を「鹿乃子」に。そして、この店にしかない物を作りたいと、江戸時代から伝わる「かのこ」(求肥を餡で包み、蜜漬けの豆で来るんだ生菓子)をアレンジし、6色のかのこを創作、評判に。現在は、千蔵の孫、三代目小川敦弘が自ら職人として現場に立つ。三代に渡って受け継がれた伝統のこし餡、心地よい食感の求肥、表面を彩る蜜付けの小豆。花かのこ小倉、1個210円。「和菓子というよりも、豆菓子と自負している」と語る銀座の「五つ星の手みやげ」である。
  • #22

    雷おこし 台東区浅草・「常盤堂雷おこし本舗」

    元祖雷おこしが生まれたのは江戸時代後期。はじめは浅草寺境内の小屋で売っていたもの。東京大空襲で浅草が全焼したのり、戦後物資不足の中当時の店主穂刈恒一が店を建て直した。現在の店主穂刈久米一はその孫である。うるち米を細かく挽いて小麦粉と合わせ、蒸し、練り、乾燥させ、細かく砕き、焙煎する。手間隙かけて作る「煎種」に水飴、白砂糖、バターを加えて火にかける。シンプルなだけに職人の勘だけが頼りの技である。250年の歴史があり、浅草寺参詣になくてはならない東京みやげの定番である。
  • #23

    ブラウニー 千代田区一番町・「山本道子の店」

    「村上開新堂」をご存知だろうか。1874年創業の130年以上の歴史を誇る会員制の洋菓子店である。「山本道子の店」のオーナー山本道子はその店の5代目店主でもある。山本は幼い頃から祖父に味見をさせてもらい、それが今日の財産になっているという。伝統の「村上開新堂」のレシピは伝えつつ、それとは別にマドレーヌやクッキーなどを山本のオリジナルな味を楽しんでもらおうと1990年にオープンしたのが「山本道子の店」である。ブラウニーはアメリカの代表的なお菓子。ベルギー産「カルボ」チョコレートに、バターは「カルピスバター」、小麦粉は「特等粉」。材料にこだわり、丁寧に焼き上げた、外はサックリ中はしっとりの、老舗の5代目の新しいこだわりの味をご堪能あれ。
  • #24

    カツサンド 渋谷区神宮前・「まい泉」

    ご存じ!とんかつの名店。そのはじまりは一人の主婦が老舗のとんかつ店の味に惚れ込み、 修行を始めたことからはじまった。一代で現在の隆盛を築き今もソースの研究を続けているオーナーの小出千代子さんはいう「女が厨房に入るのは不潔だと言われる時代でした。とにかく美味しいものを出そう、そんな思いで歩んできた」昭和40年の一号店のオープン以来、“箸で切れるとんかつ”と評判を呼び、なかでも手みやげとして知られるカツサンドは、国内産の厳選したヒレ肉、口当たりの絶妙なパン、そして秘伝の特製ソース・・・。
    まさに三味一体の味!素人の主婦が飛び込んだとんかつの世界で、手探りでたどり着いた「五つ星の手みやげ」をどうぞご堪能あれ。
  • #25

    揚げまんじゅう 千代田区神田・「竹むら」

    食通で知られる作家の池波正太郎が「男も通う甘味処」と書き記した名店。昭和5年の創業当時と変わらぬ店構えは「東京都選定歴史的建造物」の指定を受けている。さらにもうひとつ何よりも大切に守り通しているものがある。名物の「揚げまんじゅう」だ。二代目・堀田喜久雄さんはこう言う「昔流に言えば小豆一升に対して砂糖何匁という割合も、親父が店を始めた頃から変わっていない、これからも変えるつもりはない」。初代から受け継ぐ「揚げまんじゅう」は、最高級、北海道十勝産の小豆から作られる餡を、優しく生地で包み、小麦粉の衣でカラリと揚げてある。油を感じさせないサクっとした食感に加え、あっさりと仕上がっている餡が、何とも食欲をそそる。時代に流されることなく、頑固に守り通してきた老舗の味。どうぞご堪能あれ。
  • #26

    モカロール 豊島区駒込・「アルプス」

    16世紀の中頃、ポルトガル人によって長崎に伝えられたというロールケーキ。もっとも馴染み深い洋菓子のひとつであろう。そんな洋菓子の定番を1959年の創業以来、お店の看板メニューにしている名店がある。豊島区・駒込のアルプスだ。初代より受け継がれたレシピを今も忠実に守り作られる人気の「モカロール」。三代目となるオーナーの太田恭崇さんは、みずからを「パティシエ」ではなく、あくまで「洋菓子職人」だと胸を張る。バタークリームは有塩バターと無塩バターを組み合わせたものを使用。そこへコロンビア産のコーヒー豆から抽出したカフェエッセンスを加えることにより、上品な甘さと絶妙な苦さのモカクリームに仕上がるのだ。 時代を超え愛されてきた洋菓子の定番。その神髄をご堪能あれ。
  • #27

    あべ川餅 大田区大森東・「餅甚」

    時は享保元年(1716年)のこと。初代甚三郎が東海道を行く旅人を相手に、「あべ川餅」に 黒蜜を添えてだしたところ大変な評判を呼んだ。以来300年に渡ってお店の看板メニューとして親しまれている。しっとりとした柔らかさが自慢の丸餅には宮城県産のコガネモチを使用。大豆の香ばしさをしっかりと残した黄粉。そして秘中の秘として後継ぎ以外には一切つくり方を教えない一子相伝の濃厚な黒蜜。この3つが一体となり創業以来の代わらぬ味を今に伝えている。現在10代目当主の福本義一さんは言う「餅のつきかた、黒蜜は火の加減・・・。どれもほんの少し違うだけでお店には出せなくなる。」300年守り続ける秘伝の味をご堪能あれ。
  • #28

    エンガディナー 世田谷区砧・「オテル・ドゥ・スズキ」

    日本では、まだ馴染みのうすい「エンガディナー」は、もともとスイス・エンガディン地方に古くから伝わるクルミ菓子。キャラメルソースに砕いたクルミをたっぷり絡めたフィリングをサブレ生地で包んである。その伝統の銘菓に魅せられ、日本人の味覚に合うようにアレンジしたのが「オテル・ドゥ・スズキ」のオーナー・パティシエ鈴木鉄士さん。
    クルミは香り高いカリフォルニア産を使用。キャラメルソースには、北海道産の蜂蜜・水飴・バター・生クリーム・牛乳を加え、スイスのものよりも甘すぎずビターな仕上がり・・・。
    フィリングを包むサブレ生地は、サクッとした食感にこだわり、自らの手で練り上げ2日間かけ完成させる。本場スイスに負けないシェフこだわりの味をご堪能下さい。
  • #29

    生菓子 千代田区麹町・「鶴屋八幡」

    鶴屋八幡、初代の今中伊八は、元禄時代より続く大阪の老舗菓子店「虎屋大和大掾藤原伊織」で修業。当主から「この製法を踏襲し、後の世に守り伝えよ」と言い渡され、文久3年、大坂の高麗橋に「鶴屋八幡」を創業。上生菓子は、江戸時代から伝わる味と共に形をめでる伝統の和菓子・・・。
    鶴屋八幡の作業場では、50年に及ぶ経験を誇る熟練の職人達が腕を振るい、季節に合わせ6種類程度の上生菓子を用意している。春の菜の花を模した「菜種きんとん」、夏に涼しさを呼ぶ吉野葛を使った「星の光」、秋の紅葉を再現した「竜田」、冬の干し柿を餡で表した「霜降」など・・・。
    どれも職人の技が光る逸品である。
  • #30

    桜あんぱん 中央区銀座・「木村屋總本店」

    ご存じ!「あんぱん」の元祖として知られる銀座の木村屋。初代・木村安兵衛が日本人初のパン店を開いたのは明治2年(1869年)のこと。当時はパン作りに欠かせないイーストが手に入らず、代わりに酒饅頭の酒種を利用することを思いつき、その中に日本人に馴染み深い餡を入れてみたところ、これが大きな評判を呼び、日本にパン食が広まるきっかけともなった。
    生地の発酵はイーストなら4時間程ですむが、酒種だとおよそ12時間以上かかってしまう。しかし香りや味わいは酒種の方が優れているという。その木村屋・伝統の酒種を今回、番組が初めて、テレビカメラによる撮影を許された!元祖としての誇り高き一品をご堪能あれ。
  • #31

    ロイヤル・マスクメロン・シャーベット 中央区京橋・「京橋千疋屋」

    ひとつ1万500円の手みやげがある。高級果物店として知られる千疋屋のロイヤル・マスクメロン・シャーベットだ。素材のクラウンマスクメロンは日本一の産地・静岡県袋井市で特農家と呼ばれる契約農家の手により慈しむように育てられている。その調理方法は最高級メロンを丸ごとひとつ使ったなんとも贅沢なもの。香り豊かでひんやりとしたジューシーな甘さが自慢で、網目のついた皮をシャーベットの器として使用しているのも心憎い演出だ。また味とともに驚くのが、千疋屋の印が入った桐の箱に入れられていることではないだろうか。人生の晴れの日、あるいは最上の感謝を表す贈答品にふさわしい贅を極めた逸品をご堪能あれ。
  • #32

    玉饅 中央区人形町・「玉英堂彦九郎」

    室町時代の終わり(1576年)に京都で創業。430年の伝統を誇る老舗和菓子店だ。1954年に東京にも進出したが、店が2つあると家伝の味が保てないとして京都の本店を畳んだ。仕事場に立つ職人はわずか二人。24代目の若主人と、その父親たる先代だけ。息子の仕事に厳しいまなざしを向ける先代はこう言う「大きい事を考えないで、一生懸命やるのが大切」。 自慢の玉饅は真ん中の栗に、色も味も違う三層の餡が重なり、その表面を上品な外皮で包んで ある。一口ごとに違った味が楽しめる逸品だ。京都で磨かれ、今は東京の銘菓として親しまれている伝統の技、老舗の心をご堪能あれ。
  • #33

    レーズンクッキー 港区南青山・「欧風菓子クドウ」

    フランス菓子でもドイツ菓子でもなく欧風菓子の店としているのは、オーナーの宮東悠さんがヨーロッパ5ヶ国で腕を磨き本場の味を修得したという自信の表れ。人気商品のレーズンクッキーはアーモンドの香ばしさ、レーズンのほのかな酸味、そしてバタークリームのコクのある味が見事に調和した逸品。素材にもこだわった自慢のレーズンは最高級のカリフォルニア産。それをラム酒とさとうを創業以来30年以上にわたり煮つめた秘伝のシロップで煮ている。南青山で店を構える本場ヨーロッパの味をご堪能あれ。
  • #34

    黄金芋 中央区日本橋人形町・「寿堂」

    人形町通りにあってひときわ目を引くレトロな建物は、関東大震災後の昭和初期に建て直したもの。看板商品の黄金芋は焼き芋の形をした和菓子。明治30年代にはすでに店頭に置いていたという。芋の身は、白いんげん豆てぼに卵黄を加えた黄身餡、外側の皮は全卵と薄力粉で作り、独特の香りを漂わせたニッキがなんとも食欲を誘う。製法から包装まですべて昔ながらの手作業で仕上げ、なかでも細い針金を通し宙づりにして焼く製法はこの店独特の技。素材は客の好みや時代に合わせて進歩することはあっても、職人の手作業で紡ぎ出す伝統の味は、これからも守っていきたいという。
  • #35

    栗どら焼 板橋区常盤台・「栄太楼」

    川越街道沿いの常盤台で4代つづく老舗の和菓子店。なかでも自慢の一品は「栗どら焼」。
    餡は北海道十勝産の小豆を厳選し、その中に大粒の栗をまるごとひとつ入れてある。皮に用いる砂糖の配合は店の宝として秘中の秘なのだという。厚さ8ミリもある普通の倍ほどの鉄板が店頭にあり、客の前で焼いてみせる。その鮮やかな手さばきがなんともいい。初代の孫にあたる現在の主人・坂本浩一さんはいう「日本人と小豆は切っても切れない仲というのが親父の口癖でした。その言葉を信じて、とにかくいいものを作っていければと思う」。素材の配合に工夫を凝らした名品をご堪能あれ。
  • #36

    入山せんべい 台東区浅草・「入山せんべい」

    舗や名店がずらりと揃った浅草で、煎餅の美味い店といえば「入山せんべい」を外すわけにはいかない。大正3年(1914年)の創業以来、店頭にあるのは煎餅だけ、しかも自慢の醤油煎餅ただひとつ。店頭で職人たちが長火鉢の前に座り、備長炭で一枚ずつ丁寧に返しながら手焼きしている。出来たてをその場で食べられるのも嬉しい。煎餅の元となる米は、初代から変わらず同じものを使い、その米でできた生地を筵で5日間かけて天日干ししてから焼いている。醤油もまた保存料や添加物を一切使用していない極上品だ。米と醤油が織り成す絶妙の味と、パリッとした小気味良い歯ざわりを、ぜひ堪能してほしい。
  • #37

    明神甘酒 千代田区外神田・天野屋

    かつて外神田周辺は江戸の調味料をまかなう一大生産地だったことをご存知だろうか。自然の崖を利用した室(むろ)で糀を作り、江戸後期には味噌や糀を扱う店が100軒以上も軒を連ねたという。しかし度重なる地震や製造法の変化により、現在では神田明神前の天野屋一軒のみ。先祖代々守られてきた地下の室で、蒸かした米から糀を作り、そこから甘酒を醸造する。6代目の天野博光さんはいう「うちが甘酒作りをやめてしまうと本物がなくなってしまう」。砂糖などの調味料を一切使わない優しい甘みをご堪能あれ。
  • #38

    江戸前佃煮 中央区日本橋室町・日本橋鮒佐本店

    佃煮の元祖と伝えられている店。江戸時代に佃島の漁師たちが魚を塩煮にしていたのをヒントに、初代の鮒屋佐吉は当時普及し始めた醤油を使って煮込んだものを売り出したところ、庶民に広く愛されていった。店の命ともいえるのが、代々継ぎ足しながら使用している伝統のタレ。その伝統のタレで煮あげた何種類もの佃煮が並んでいる店内には、ほんのりと佃煮の香りを漂わせ、昔の家庭を郷愁させる。歴史と伝統もさることながら、素材・調味料にいたる隅々にまでこだわり、作り上げた江戸前佃煮をぜひともご堪能あれ。
  • #39

    吟匠 中央区日本橋室町・日本橋文明堂日本橋店

    「カステラ1番、電話は2番・・・」。ご存知!高級カステラの代名詞ともいえる文明堂だ。  
    様々なカステラのバリエーションをもつ文明堂にあって、昔ながらの本物の味を伝える逸品がある。それが「吟匠」だ。桐の箱に収められ1本2625円と、少々お値段は張るが、しっとりとした食感と絶妙な甘さは、まさに老舗の誇りそのもの。火加減に細心の注意を払いながら、途中窯から2度取り出し、味や焼き上がりにムラが出来ないように職人の技を加え、味に命を吹き込んでいる。これは懐かしいというより、新鮮な味との出会いなのかもしれない。
  • #40

    吉良まんじゅう 墨田区両国・両国大川屋

    明治2年創業。赤穂浪士討ち入りの舞台となった吉良上野介屋敷跡のすぐ側に店を構えている。
    両国の師走の風物詩・吉良祭のためにと考案されたのが「吉良まんじゅう」だ。5代目のご主人・大川朝生さんはいう「食べものに能書きは要らない。美味いのか、不味いのかただそれだけ」。忠臣蔵の敵役の名前をいただいているだけに、確かに憎らしいほど美味い。白餡に黄な粉を混ぜた「黄な粉餡」だが、2種類の異なる黄な粉や砂糖などの配合は秘中の秘だという。上品な甘さと香ばしい黄な粉の香りをご堪能あれ。
  • #41

    人形町風鈴 中央区人形町・江戸菓子匠つくし

    「西洋風茶碗蒸菓子」といわれ、どんなものか想像つくだろうか?実はこれ「プリン」のこと。
    創業明治10年の老舗「つくし」で、平成に入り初代・鷺谷米蔵が記した秘伝の書が偶然発見された。そこに記された「西洋風茶碗蒸菓子」の文字。5代目となる現在のご主人・鷺谷光寛さんは、これを現代に蘇らせ、改めて「人形町風鈴」と名づけ店の看板商品に育て上げた。卵は季節によって産地を変えるなど素材選びに細心の注意を払い、和菓子づくりの繊細な技を随所に生かしながら西洋菓子の「プリン」に命を吹き込む。食感はやや固め。味は濃厚な卵の味と、ほろ苦いカラメルによる美味しさの二重奏といったところ。ぜひ平成生まれの“文明開化な味”をご堪能あれ。
  • #42

    モンブラン 大田区池上・エノモト

    チーフ・パティシエの河端晋輔さんは言う「いつまでもハイカラといわれるケーキをつくっていきたい」。大正14年創業の「エノモト」は老舗という形にとらわれず、常に新しい味を求め続けている。平成9年に誕生した人気商品の「モンブラン」もまた、そんな商品のひとつだ。 スポンジは卵本来のふんわり感をだすため薄力粉の使用を極力抑え、小さなドーム型に焼き上げている。そしてカスタード、生クリーム、マロンクリーンの3層からなるクリームは素材の持ち味を引き出し上品な大人向けの甘さだ。雪に見立てた粉糖と葉っぱをかたちどったチョコレートがかわいらしいアクセントになっている。
  • #43

    石衣 台東区浅草・梅源

    手作り自慢の老舗和菓子店は多いが、機械に一切頼らず、漉し餡からはじまりすべて手作りにこだわっている店がどれほどあるだろうか?梅源はそんな数少ない店のひとつ。明治20年の創業以来、店の看板商品は「石衣」。石のように丸めた漉し餡に、白い衣を着せたような砂糖のすり蜜をまとった江戸伝統の和菓子だ。口に運ぶと餡が溶け、後から上品な甘さが広がっていく。三代目のご主人・鵜飼慶之さんは言う「手間はすごくかかりますけど、それには変えられない味がある」。仕込みから出来上がりまで5日間かける老舗の心、伝統の技をご堪能あれ。
  • #44

    バウムクーヘン 世田谷区桜新町・ヴィヨン

    「日本で一番長くバウムクーヘンを焼いているのは僕じゃないかな・・・」。1965年創業のヴィヨンのご主人・大年壮さんは言う。バウムクーヘンの命ともいえる何層にも重なった美しい層は、まさにご主人の歩んできた年輪そのもの。生地はしっとりと柔らかく、口の中でゆっくりと溶けた後に、上品な甘さが広がっていく極上の逸品。オーブンで焼き上げる際、片時も離れず、職人の感を頼りに焼き色の微妙な調整を行っている。誰もが知るバウムクーヘンに、本物の味を吹き込む職人の技と心に触れて欲しい。
  • #45

    栗羊羹 墨田区向島・青柳正家

    職人が一つ一つ丹念に作っているため2日で80本の限定商品。そのお値段1本3700円。包みにあしらった菊の紋章は宮家御用達であることを表している。創業は1948年、三代目となるご主人の須永友和さんはいう「私に出来るのは初代の栗羊羹をそのままの味でつくり続け、次の代にバトンを渡すこと・・・」。小豆は厳選した北海道十勝産を使用。大粒の栗は熊本産の中でも「銀よせ」と呼ばれる極上品を使い、素材本来の上品な甘みを極限まで引き出している。口に運ぶとあなたの知らない奥の深い和菓子の世界を感じることができるだろう。
  • #46

    あんこ飴 葛飾区柴又・松屋の飴 総本店

    その名の通り飴状のあんこをさらし飴で包んだ素朴な一品。一袋300円。葛飾柴又で生まれ育った庶民の味だ。「松屋の飴 総本店」の創業は1868年、江戸時代から飴を一筋に作り続けた老舗である。その中でもあんこ飴は三代続いた伝統の味。さらし飴一つにも水飴に麦芽水飴と米水飴を混ぜ練り上げ、香ばしさを出すという手間を惜しまない。長く伸ばされた飴を切る仕上げの音は、帝釈天を訪れる人の間では慣れ親しんだ音。すばやく包丁で切り分けるリズムは“飴切り音頭”と呼ばれ「日本の音百選」にも選ばれている。
  • #47

    くるみ第三楽章 品川区旗の台・マロニエ洋菓子店

    昭和39年創業。ご主人は「菓子は一代一菓、一代でひとつの菓子を成し遂げればいい」そんな思いでタルトを焼いている。試行錯誤の末に作り上げた店の看板商品「くるみのタルト」はモーツァルト好きのご主人によって「くるみ第三楽章」という名を与えられている。サクサクの生地の上品な甘さ、ヌガーと呼ばれるソースのさっぱりとした苦味、そしてほのかに山の香りがするくるみが美味しさの三重奏を奏でる。
  • #48

    プティフール 千代田区丸ノ内・東京會舘

    大正11年、財界人や著名人が集う社交場として創業した東京會舘。創業当初から製菓部門を与かる初代製菓長の勝目清鷹は「日本の洋菓子の祖」といわれ数々の製菓を作り上げてきた。その勝目が東京會舘に残した銘菓が「プティフール」だ。ソフトクッキーにアーモンドの入ったクリームをサンドした「チロリアン」と、パウンドケーキにパイナップルをちりばめ、チョコレートでコーティングした「アナナパウンド」の2種類。伝統の製法を守りつつも時代に合わせ甘さを控えめに仕上げている。およそ50年もの間、愛され続けている味をご堪能あれ。
  • #49

    手取りはんぺん 中央区日本橋室町・神茂

    神茂の創業は元禄元年。東京を代表する練り物専門店だ。「はんぺん」といえば、おでんなどの煮物として親しまれているが、この店の看板商品「手取りはんぺん」に魅せられた常連客は口解けの食感と、ほんのりした甘さを楽しむため、そのままわさび醤油で食べるという。
    江戸時代からの製法にこだわり、素材は宮城県・気仙沼産のサメのすり身だけを使用し、混ぜ物は一切加えない。そして熟練の職人の手による形取りがフワリとした食感を生む。伝統の技を堪能できる一品だ。
  • #50

    ばらちらし 千代田区九段下・寿司政

    創業は幕末の文久元年(1861)。直木賞作家の山口瞳をはじめ、多くの食通に愛されてきた江戸前寿司の老舗だ。名物の「ばらちらし」について、店長の玉村学さんは「刺身を盛り付けたものを“ばらちらし”と称する店があるが、本当の江戸前寿司は一つひとつのネタに丁寧な“仕事”を加えている」。寿司政ではアナゴやコハダなど東京湾で獲れた魚介を中心に、仕込みから完成まで足掛け3日かけて調理を施している。そして出来上がった折り詰めには、15種類もの職人の手間暇かけた妥協のない“仕事”の味がぎっしりと詰まっている。
  • #51

    「神楽坂饅頭」 新宿区神楽坂・五十鈴

    創業は昭和21年。先代の相田利市は小豆餡にこだわった丁寧な仕事で店に人気を呼び、一代で「五十鈴」の名を世に広めた。その跡を継いだ現在の主人は「自分の感性で新しい菓子をつくりたい…」と、伝統の小豆餡を西洋菓子のパイ生地で包んだ「神楽坂饅頭」を生み出した。餡に使う小豆は、皮が柔らかく調理が難しい北海道十勝産の「雅」を使用。丁寧に煮上げた小豆餡を独学で習得したパイ生地で包みオーブンで焼く。しっとりと香ばしい和と洋の美味しい二重奏をご賞味あれ。
  • #52

    「御目出糖」 新宿区揚場町・いいだばし萬年堂

    元和元年(1615)に京都三条寺町で創業。明治時代の東京遷都と共に八重洲に転居し、現在は飯田橋と銀座に店を構えている。東京で食べられる京菓子の店として親しまれてきた萬年堂には、400年に渡って愛され続けてきた家伝の銘菓がある。そぼろ状に裏ごしした餡を蒸篭で蒸し上げた「御目出糖」だ。ほんのりした上品な甘さと、もっちりとした食感は京菓子一筋に歩んできた老舗だからこそ失わなかった風味がある。婚礼の引き出物や各種の祝い事なら「御目出糖」と決めている常連客も多い。
  • #53

    「ル・クール・ピュー」 杉並区荻窪・レギュームコレクション

    オーナーシェフの鈴木芳男さんはフランス各地で修行後、国内の有名店で腕を磨き、ホテル日航東京のグランシェフをへて、平成14年に「ル・クール・ピュー」をオープンさせた実力派。新鮮な野菜を使ったケーキや焼き菓子が人気で、食べて美味しく健康にも配慮した品々がショーケースに並んでいる。今回ご紹介する焼き菓子の詰め合わせ「レギュームコレクション」もそのひとつだ。トマト・ナス・ズッキーニなど野菜本来の美味しさを大切にするため砂糖の使用は通常の焼き菓子の半分に抑え、添加物などは一切使っていない。口に含むと野菜の旨みとともに、これまで焼き菓子では経験したことのない独特の世界が堪能できる。
  • #54

    「江戸瓦・道成寺」 中央区銀座・松崎煎餅

    伝統を守りながら、味にモダンな感覚を取り入れることに躊躇しない大胆さが店の身上。 これは江戸文化が爛熟した文化元年に芝で創業後、慶応元年に文明開化の街となる銀座へと店を移していることと無縁ではないだろう。名代の瓦煎餅にあって「江戸瓦・道成寺」は6種類の味と彩が楽しめる人気商品。小麦粉、砂糖、卵で作った生地を一枚ごと丁寧に焼き上げた後、表面に焼印と糖蜜で四季折々の花鳥風月をあしらった「三味胴」をはじめ、どれも素材本来の優しい風味と上品な甘さが嬉しい粒ぞろいの銘菓だ。
  • #55

    「武州大納言」練馬区関町・武州庵いぐち

    栗を大納言小豆の餡で包み、こし餡と白餡を混ぜ合わせた半小豆(はんしょうず)と呼ばれるそぼろ状の餡で表面を化粧した上品な和菓子。薄皮な大納言小豆の柔らかい食感を大切にするため、一気に煮込むのではなく、火を止めひと手間加えたら再び煮込む。和菓子通なら口に運んだ瞬間、職人の丁寧な仕事が分かるという。絶妙な口当たりの後から奥深い上品な甘さが追いかけてくるその食感と味をご賞味いただきたい。
  • #56

    プティ・ガトー「ネビュルーズ・パラディ」大田区西馬込・メゾン・ド・プティフール

    オーナーシェフの西野さんは、数々のパティシエを輩出した“オーボンヴュータン”にて修行を積み、その後本場の技術を習得するため渡仏、帰国後は、日本で始めて焼き菓子専門店をオープンしました。現在は焼き菓子の枠を超え生菓子にも力をそそいでいます。 今回ご紹介するのは、チョコレートムースをコーヒーのガナッシュと合わせ、濃厚な味わいが楽しめる“ネピュルーズ”。そして、真っ白なクリームチーズムースの中にパッションフルーツとフランボワーズの2種類のソースを閉じ込めた“パラディ”。チョコレートケーキはコクがあり濃厚。チーズケーキは酸味があって甘さがほどよく、フルーツのソースがアクセントに・・・。バレンタインは他の人と一味違う物を贈りませんか?
  • #57

    「さくら餅」練馬区桜台・湖月庵芳徳

    岡山県で昭和元年に創業。戦後東京に店を移転している。現在、店で働く職人は三代目だけ。餡の仕込みから菓子の完成まで、全ての工程をたった一人で行っている。しかも機械に頼ることなく全部手作業。すべては父親から受け継いだ味を守るためだ。自慢の銘菓「さくら餅」は口に運ぶとまず皮の柔らかな食感に驚き、後から餡の上品な甘さが追いかけてくる逸品。また外側を包む2枚の桜の葉が放つ香りも嬉しい。一子相伝の五つ星の手みやげをご堪能下さい。
  • #58

    「大福」品川区北品川・木村家

    明治25年創業の老舗和菓子店。店の名物はいわゆる豆大福だが、どこにでもある品ではない。普通は「赤えんどう豆」を使用するところを、こちらでは「青えんどう豆」で色鮮やかな青い豆が顔を出す大福に仕上がっている。四代目は「青えんどう豆は煮過ぎると潰れるし、煮方が足りないと固くなる」という。火加減が難しく鍋から離れずに仕上がりを見極めなくてはならない。すべては青えんどう豆独特の風味と触感を楽しんでもらうため。また煮上がりに微妙な塩加減を施し、上品な甘さに仕上げてあるのも嬉しい。
  • #59

    「酪円菓」世田谷区池尻ラ・テール洋菓子店

    マスカルポーネたっぷりのフレッシュクリームを、ふんわりと焼き上げたスフレタイプの生地で挟んだ「酪円菓」。グランシェフ中村逸平の自信作だ。彼はいう「素材、鮮度、旬がキーワード」。その言葉通り卵や牛乳さらには小麦粉、砂糖はどれも無添加や有機栽培のものばかり。そこに丁寧な熟練の職人の技を加えている。菓子にうるさい方は確かな仕事に感心するだろう。素材を大切にしたいというグランシェフの思いはフランス語で「大地」という意味の「ラ・テール」という店名に表れている。
  • #60

    「峠もなか」 台東区三筋 吉岡堂

    「峠もなか」はもともと、黄檗(おうばく)東本流(ひがしほんりゅう) 家元 小林鶴堂(かくどう)氏が、茶道の席でお茶に合うお菓子として、松庵という和菓子屋で考案された。昭和50年そのお店をたたんだ際、吉岡堂の五代目高橋幸基さんに、この味と技を後世に残したいと依頼。「峠もなか」は一枚一枚皮を手焼きで焼く「京風かる焼き」という製法で作られる。五代目は言う「この焼き方は東京ではうちだけ」と。日本でも数少ない製法で作られる「峠もなか」を是非、ご堪能あれ。
  • #61

    「ジャスタン」練馬区春日町 パティスリー・キャロリーヌ

    フランスの名店で腕を磨き、ジャパンケーキグランプリで優勝経験もあるオーナー・シェフの中川二郎が何よりも大切にしているのは独創的であること。三角形のチョコレート・ケーキ「ジャスタン」もそう。この形はルーヴル美術館にあるピラミッドのモニュメントをイメージしているという。表面はナッツでお化粧したチョコナッツクリーム、その中にアニス風味のクリームとチョコスポンジ。ナッツの香ばしさに魅了されながら口に運ぶと、最初にとろけるような食感が楽しめ、後から上品なチョコレートの甘さが追いかけてくる。
  • #62

    「太平焼」墨田区太平 蝶谷本店

    江戸時代後期、文政9年(1826年)の創業。以来7代180年もの長きに渡って愛されてきた銘菓「太平焼」。いわゆる「どら焼き」だが大きさはやや小ぶり。口に運ぶとまずは生地のしっとりとした食感に驚く。これは餡に接する片面を半焼きにしてあるため。さらに甘さを抑えた上品な餡もいい。7代目はこういう「自分が店を潰さないで、子供や孫に伝統を引き継ぎたい。それには日々勉強・・・」。家伝の「太平焼」は潰し餡の他に白餡など11種類もの味が楽しめる。代々の主人が伝統を守りながら、新しい味に挑戦していったからだ。
  • #63

    「キャラメルサレ」 目黒区中央町 リュードパッシー

    キャラメルサレのサレとはフランス語で「しょっぱい」という意味。でも口に運んでみると、「しょっぱい」かと思えばそうではない。まずはキャラメル特有の上品な「甘さ」を堪能した後に程よい苦味と爽やかな酸味が追いかけてくる。和菓子は餡の甘さを引き立てるのに塩を入れることがあるが、これをフランス菓子伝統のキャラメルケーキに応用したという。さらにグラニュー糖の焦がし方で苦味と酸味を調整し大人の味に仕上げているのだ。
  • #64

    「ラパン ド テール」 世田谷区奥沢 パーラーローレル

    「誰も見たことのないデザイン、誰も食べたことがない味・・・」それが、300種類にも及ぶ創作菓子を生み出してきたオーナー・パティシエ武藤邦弘の誇り。1980年の開店以来、看板商品となっている「ラパン ド テール」もそんなケーキのひとつ。鮮やかなピンク色をしたドーム状のメレンゲが外を覆い、中はしっとりとした食感のスポンジと爽やかな酸味の利いたカシスクリームになっている。オリジナルを何より大切にしてきた、孤高のパテシィエの自信作だ。
  • #65

    「ミセス・モア」 品川区上大崎 ピロシキ

    「添加物のない優しいお菓子を子供たちに・・・」それが主婦のお菓子づくりが高じて、ついに洋菓子店をオープンしたオーナー大西章子さんの願い。看板商品になっている「ピロシキ」もまた、自分の子供におやつとして与えていたもの。牛と豚の合い挽き肉、玉ねぎ、卵など全ての素材が生産者の顔が見える無添加の素材を使用。外はサクッ、中はモチモチとした食感の皮に、具がぎっしりと詰まっているピロシキ。すべて手づくりのためお店に出せるのは1日90個がやっと。その分ひとつ一つに優しい愛情がこもっている。
  • #66

    「福島家」 豊島区巣鴨 上生菓子

    文久元年、この地に創業。初代の福島弥三郎が書き残した。菓子の見本町「御菓子雛型」。数百点にも及ぶ和菓子のイラストが描かれており、現在の上生菓子はこの雛型をアレンジしたもの。優しい色合いをした春の桜。蛍をイメージした夏の幻灯。華やかに咲開いた秋の菊。
    優雅に美しい冬の梅。どれも熟練された職人がひとつずつ丹精込めて作られた品である。
    江戸時代から続く、四季折々の技をご堪能あれ。
  • #67

    「シブースト」 中央区銀座 ブールミッシュ

    1973年のオープン以来、日本のスイーツをリードしてきた名店ブールミッシュ。
    オーナー・パティシエ吉田菊次郎さんがフランスの宮廷菓子職人シブーストのレシピと出会い、その味を再現したケーキがある。それが店の看板商品「シブースト」だ。サクっとしたパイにリンゴを使ったプリン生地。そこへカスタードクリームとイタリアンメレンゲを合わせた独特の食感をもつクリーム。そして表面は香ばしいカラメル。150年の時を超え現代に蘇った宮廷菓子をぜひ堪能して欲しい。
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    ~花より団子セレクション~

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    ~花より団子セレクション~2

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    ~花より団子セレクション~3

  • SP4

    お食事セレクション

  • SP5

    洋菓子セレクション

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