なぜ日大は凋落したのか…体育会系が経営牛耳り、田中理事長は山口組と交際疑惑
日大の田中英壽理事長 (写真:読売新聞/アフロ)
23日、日本大学アメリカンフットボール部の内田正人前監督と井上奨コーチが緊急記者会見を開き、内田氏は日大常務理事の職を一時停止し、井上氏はコーチを辞任することを発表した。会見では司会を務めた日大企画広報部の米倉久邦氏が、記者の質問中にも「もういいでしょう」「早く次に回してください」と口にするなど、その傲慢な態度も注目を集めた。記者が、「このままだと日大のブランドは落ちますよ」と米倉氏に投げかけると、憤然として「落ちません」と司会者が回答するなど異例な会見となった。しかし、「日大ブランドはすでに落ちている」と指摘するのが、大学業界を取材するジャーナリストの島野清志氏だ。島野氏に日大の内実を聞いた。
――日大の特徴は?
島野清志氏(以下、島野) 文理学部や芸術学部、医学部など幅広く学部を揃え、日本最大規模の総合大学です。附属高校・中学校もあり安定性は高く、補助金に対する依存度は7.5%と低く、経営は自立しています。ちなみに、早稲田大学や慶應義塾大学の補助金依存度は10%程度です。そのため、日大の運営の独立性は高く、23日の記者会見で広報部の態度が悪かったのも自負心によるものでしょう。“大学冬の時代”にあっても「日大は安全圏にいる」という意識が見え隠れしています。
――日大の経営は体育会系が牛耳っているとの報道もあります。
島野 もともと内部では体育会系が強く、現在の田中英壽理事長は相撲部出身、内田氏はアメフト部出身です。日大芸術学部は応援団が支配してきましたが、学生運動後に反動で保守派が盛り返してきた影響によるものです。かつての国士舘大学や拓殖大学のような保守的な大学の系統に属しているというイメージです。
――保守的な大学だからこそ、内田氏が台頭する素地があったと?
島野 そう思います。しかし、最近の日大は系列高校も含めてスポーツがパッとしません。野球の東都リーグで日大は強いイメージがありますが、今は2部リーグですからね。高校野球でも日大一高、日大二高、日大三高、日大豊山は、以前ほどの強豪校ではなくなりました。日大相撲部も名門ですが、かつてほどの勢いは見られません。箱根駅伝でも昔は常連でしたが、今年は本選出場を逃し、“古豪”といわれています。
大企業病に侵されて停滞
――スポーツ系が弱くなるなかで、学問系はいかがですか。
島野 同じく弱くなっています。日大は法科が売り物ですが、日大法科大学院は司法試験合格率が低い。中央大、明治大、法政大、日大の法科大学院は生き残れるといわれていましたが、それも怪しくなってきています。そもそも日大の法科には120年の歴史があり、「司法の日大」といわれて司法試験には強かったのですが、それも厳しくなりました。公認会計士試験でも、合格者数は専修大学に抜かれています。日大の良さは資格取得に強いだけではなく、公務員試験にも強い実績を持っており、支援システムもしっかりしていましたが、実績を見ると下落しています。