ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

全てのオンラインゲームはやがて滅びるザナルカンドだ

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対人ゲーであれMOであれ、オンラインゲームは一つの国である。

王がいて、民がいて、耕す土地があり、栄える街がある。

これはそのまま、ゲーム開発者、ゲームユーザー、実装されたアイテムやジョブ、用意されたフィールドと言い換えてもらってもいい。

だが、諸行無常。永久に栄える国はない。ローマも、エジプトも、『FF10』のザナルカンドも、どれも最後は滅んでしまう。

オンラインゲームとて同じだ。遊んでいるうちはあって当然と思っていた王も、民も、土地も、最後は消えてなくなってしまう。それを知らないゲーマーはいない。

 

これは数ある趣味の中でも少し珍しい話だ。オンラインゲームはそれ自体がコミュニティの礎となる。即ち共通の趣味と目的を持つ人間が集まる空間は、オンライン上のそれとなる。

映画ファンなら映画館があり、読書家ならブックカフェや本屋がある。だがゲーマーはどうだ。ゲームショップは礎となるか。いやならない。

例外として日本にはアーケードゲーマーという人種も存在するが、FPSやMOBAやMMOを愛好する人間は現実の空間に定住することが出来ない、即ち遊牧民である。

故に、我々はオンラインゲームという虚栄の王国を数少ない拠り所とする。仮にそれが、コミュニケーション機能に富んだMMOではなく、FPSの苛烈な戦場であったり、MOBAの代わり映えのしない正方形の空間であっても、同じ志を持つ人間と出会えるのは、そこしかないのである。

 

だが先述したように、どんな王国であっても最後は滅びる。まして、オンラインゲームの寿命は本当に短い。

1~2年で滅亡するものが過半数を占めるだろうし、『World of Warcraft』や『Ultima Online』など、過去どんな栄えた作品であっても滅びの運命は避けられないだろう。今最も勢いのある『PUBG』や『LoL』でさえ、最後は衰退していくのだ。

そして自分たちの国を喪う悲しみは中々に重いものだ。仮にゲームといえど、ハマれば何百時間、何千時間、そして金銭さえ費やした空間だ。そこには仲良くなれた人がいて、達成すべき目標があった。それが跡形もなく消えてしまうのである。

仮に現実であれば、ゲームセンターであれ映画館であれ潰れてしまうのは無論悲しいのだが、それでも何か別の土地に変わり、受け継がれていく。

その住所や番地が消えることまではない。だがオンライン上の空間は泡沫のように本当に何も残らない。自分たちが楽しく過ごせた国は、まるでザナルカンドのように、「夢」のように消える。(スクリーンショットぐらいは残るかも)

 

さりとて、いつまでも「あの◯◯ってゲーム面白かったのにな、それに比べて今のゲームは云々」と言っても仕方ない。我々ゲーマーは遊牧民であることを受け入れて次の土地を見つけるか、そもそもゲーマーであることを辞めるしかない。

それでも、もし自分たちの国が気に入っていて、少しでも長く存続させたいのなら、我々にも出来ることはある。それは発信することだ。

自分たちが遊んでいるゲームがいかに素晴らしく、まだ十分に評価されていないかをSNSやコミュニティで伝えていくこと、それが国を最も発展させる方法である。

加えて、コミュニティとして人を集めたり、競技要素の強いゲームなら大会を開いたり、動画をアップロードして魅力を伝えるのも良いだろう。何ならそうした活動をしている人を紹介するだけでも、心強い支援にもなる。

*1

そして最後に、仮に自分たちの国が滅んでしまっても、「かつてこんな良いゲームがあったのじゃ…」と年寄りめいた過去の武勇伝を聞かせるのもまた良い。

オンラインゲームはその本質上、資料が極めて貴重で残りにくい。実際にプレイした人間の体験談は案外多くのゲーマーが聞きたがっているものだ。

*2

 

私はもう完全に流浪の民になったので、現状そこまで入れ込んでいるタイトルはない。だが私もかつて何千時間も入れ込んだ故郷を追われ、祈り子にもなれず今ここにいる。

何にせよ、自分が遊んでいるオンラインゲームのために、人を呼び込み魅力を伝えようとする活動に取り組むコミュニティは素直に尊敬する。

ある『OW』ランカーの知り合いがいるのだが、彼は元々『W:ET』等のクラス制FPSを過疎化により転々とした上で、『OW』に新規プレイヤーを呼び込んでいた。『OW』はもうしばらく人気が続いて欲しい、そんな彼のひたむきな祈りがそうさせているのだ。

だが何よりも重要なのは、まずそもそも、気になっているオンラインゲームは発売直後にスタートダッシュで遊ぶべし、ということだ。

 

*1:このように、正直人口が減りつつある中で新しいプレイヤーを確保しようと魅力的な動画を投稿している人がいる。(Titanfall2は実際マジでヤバみが深み)【Titanfall2】東北きりたんと音街ウナが生きのこれない動画#12 - ニコニコ動画

*2:例えば、このサイトでは有象無象として消えていった韓国の対人FPSのレビューが大量に残っている。これは今読んでも大変興味深い内容だった。FPS・TPS(マルチプレー)ゲームレビュー FF2400.jp ゲームの紹介とレビュー