「赤いヘルメット」と「こたつ」の謎が解けた。

 京都市左京区の京都大学吉田キャンパスに隣接する百万遍交差点で今年2月、こたつを置いて座り込み、交通の妨害をしたとして、京大大学院生の上田雅子(31=男)と加藤雅俊(26)両容疑者が23日までに、京都府警に道交法違反(道路における禁止行為)の疑いで逮捕された。

「もしよかったら、こちらの方に来て、一緒に鍋を囲みませんか」

 2月25日の午後5時前、コート姿の男女4人が交差点のド真ん中にこたつを置き、鍋を囲みながら拡声器で通行人にこう呼び掛け、その場に10分以上居座った。ヘルメットをかぶり、拡声器で演説する学生もいた。

「若者が道の中央でこたつに入っている」

 通行人から通報を受けた下鴨署員が移動するよう注意すると、4人はこたつをリヤカーに積み込んで、大学構内に立ち去った。翌26日夜8時ごろにも同じ場所で、「こたつに入っているグループがいる」という通報があったが、署員が駆け付けた時はすでに姿はなく、同一グループかどうかは今のところ明らかになっていない。

 事件当日、男女4人を逮捕できなかったのには理由があった。

「現場は東大路通と今出川通が交わる、共に右左折レーンを含んだ6車線の広い交差点です。もともと交通量が多い上、車の往来が激しい時間帯だった。早急に退去させて、円滑な交通と学生たちの安全性を確保する必要があった。そのため、まずは学生たちを歩道に移動させたのですが、そのまま構内に消えた。警察官はキャンパスに入れないため、詳しい事情を聴くことができなかったのです。その後、現場の目撃情報やドライブレコーダーの映像から容疑者を特定した」(捜査事情通)

 府警によると、動機については現在捜査中とのことだが、ネット上では京大OBの作家、森見登美彦氏の長編小説でアニメ映画にもなった「夜は短し歩けよ乙女」をマネしたのではと、話題になっている。それは、こたつで大学構内をうろつく神出鬼没な「韋駄天コタツ」と呼ばれるキャラクターのことで、物語の舞台は京都。一部の学生は、昔からこの「韋駄天コタツ」を構内でやっているという。

■見た目と名前が女性

 逮捕された上田雅子容疑者は「見た目」と「名前」は女だが、性別はれっきとした男だ。今年9月の退去通知が出た築105年、日本最古の学生寮「吉田寮」に住んでいる。

 本人のものとみられるSNSではミニスカートをはき、「吉田寮で見つけた」という赤いヘルメットをかぶり、ピースする写真がアップされ、「予防拘禁という言葉は微妙なエロスを感じさせる」「男を縄で後ろ手に縛り、鞭打ちの拷問を加える自分の姿を想像すると、たまらなく心地好い」といった書き込みが……。

 さらに「私は過去に警察に捕まったことはないのだが、他人に逮捕されたことはありますか? と聞かれることがある」「私は後ろから武装した男に追いかけられ、逃げる途中で金縛りで動けなくなる夢を暫し見る。何の暗示だろうか?」とあった。

 相当な妄想癖と変わった性癖の持ち主のようだ。