福井発54年ぶり自然繁殖期待 県内 越前市で営巣のコウノトリ
産卵可能性 市が調査越前市大塩町の巣塔で営巣する国の特別天然記念物コウノトリの雄三歳と雌五歳のカップルが、巣で長時間、伏せているなど産卵した可能性があるとして、市が調査を進めている。関係者は県内での自然繁殖復活への期待を込めて見守っている。 (山内道朗) 市によると、住民らからの情報提供などを受けて二十一日から調査を始めた。二十一、二十二の両日は午前九時ごろから午後四時ごろまで、ビデオ撮影と目視で観察し、二十三日以降も目視による観察を続け、巣を離れた時間などを記録している。 県自然環境課によると、県内で野外に生息するコウノトリの産卵は昨年、県が越前市白山地区のコウノトリ飼育ケージの屋根に営巣した雄「みほとくん」と雌「ゆきちゃん」の例があるが、ふ化は確認されなかった。自然繁殖でひなが誕生すれば、一九六四(昭和三十九)年に小浜市国富地区で確認されて以来五十四年ぶりになる。 兵庫県豊岡市のコウノトリの郷(さと)公園によると、七時間の観察で巣に伏せている時間が50%の場合は産卵、80%になれば卵を温める抱卵の可能性を示す目安になり、十分間以上、巣を空にすることはない。越前市の観察では巣を空にすることはほとんどなく、二十四日昼も、巣に伏せ続ける様子が確認された。 くちばしで卵を転がす「転卵」を確認できれば決定的になるが判別が難しく、市は同公園に映像を提供して専門家に判断してもらい、二十八日以降に返事がもらえる見込みという。 市産業環境部理事でコウノトリ共生推進担当の坂田秀毅さんは「産卵に期待をしている。ひな誕生になれば県内では五十四年ぶりの快挙にもなるので、記録をしっかり取り、後世に残さなければならない」と話している。 カップルは四月下旬に巣作りを始めたとみられ、雄は白山地区で県が飼育する雄の「ふっくん」、雌の「さっちゃん」の孫、雌は「みほとくん」の攻撃を受けて保護され、回復後に小浜市国富地区で放鳥された。 巣塔付近は細い農道が多いことから、地元の関係者らは、近くの大塩町コミュニティセンターに駐車するなどマナーを守って観察するよう呼び掛けている。 今、あなたにオススメ Recommended by |