日中韓三首脳会談の二年半ぶりの開催はまず意義深い。北朝鮮の非核化を共通テーマとし、朝鮮半島に平和を定着させるための構想づくりが重要な課題である。力を合わせて取り組んでほしい。
飛行機に乗れば数時間で行ける日中韓の三カ国は、まるでお互い、地球の反対側にいるような冷たい関係になっていた。
韓国大統領が日本を訪問するのは六年半ぶり。中国首相の公式訪日も八年ぶりになる。不信と対立の根深さがうかがえる。
歴史問題や沖縄県・尖閣諸島の領有権問題が原因だった。
中韓間も、安全保障をめぐる問題でこじれていたが、ようやく会談が実現した。この流れを今後も維持したい。
今、三カ国の前にあるのは、北朝鮮の核問題だ。これに関連し、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が七~八日、中国を空路訪問し、習近平国家主席と会談を行った。
近く開かれる米朝首脳会談に向けて、再度意見調整をしたようだ。この会談を受けて習氏は、トランプ米大統領に電話をかけ、北朝鮮の考え方を伝えている。
九日、今度はポンペオ米国務長官が平壌を訪問した。首脳会談実現に向け、最終的な調整を進めるのが目的だった。
そんな重要なタイミングに、三カ国の首脳が同じテーブルに着いたことになる。
ただ、北朝鮮への姿勢、非核化に向けた手順をめぐっては、微妙な差があるようだ。
日本は、「具体的な非核化の行動があるまで、圧力を緩めない」とし、あくまで「CVID(完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化)」を求める強い姿勢だ。米国に近い立場といえる。
韓国と中国は、北朝鮮が主張する段階的な非核化に一定の理解を示し、最終的には、この問題を米朝首脳会談に委ねる考えだ。
会談後の記者発表でも、違いがにじんだ。それだけに日本が主導し「北朝鮮の完全な非核化」での連携を確認したことは重要だ。
日本人拉致問題解決への支援と協力に、中韓の首脳が理解を示してくれたことも心強い。
日中韓の首脳は今後、さらに信頼関係を深めてほしい。
そして、各国がバラバラに北朝鮮にアプローチするのではなく、米国も含め、朝鮮半島の新たな平和構想を練り上げていく努力をするべきだ。
それが、東アジアの恒久的な平和と安定に欠かせない。
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