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 総務省は、ソフトバンクがスマートフォンの販売で指針の趣旨に反する不適切な行為を行っていたとして、近く行政指導する。

 今回問題となったのは、ソフトバンクが販売代理店に対し、指針に直接抵触しない販売店の裁量に見えるような形で、スマートフォンの値引きやキャッシュバックを実質的に指示していたこと。販売代理店の情報提供で判明した。総務省は指針の抜け穴を突いた悪質な行為と見なし、ソフトバンクを厳重に注意する。

 携帯電話市場では一時期キャッシュバックによる顧客の争奪戦が過熱。総務省は是正に向けた取り組みを強化してきた。2016年3月に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を策定し、行き過ぎたキャッシュバックを禁止。現在は同ガイドラインに代わり「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」(2017年1月策定)に基づき、厳しく取り締まっている。

総務省は2015年12月、携帯電話大手3社にスマートフォンの販売適正化を要請
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 だが、2017年の春商戦から指針の抜け穴を突いたキャッシュバックが復活。「2017年夏以降はさらにひどくなった」(NTTドコモ幹部)。指針の抜け穴とは、販売代理店の独自の裁量によるキャッシュバック。指針の対象はあくまで携帯電話大手による端末購入補助であり、個々の販売店による独自の取り組みまで厳しく制限していない。

 特にキャッシュバックが目立ったのはソフトバンク系の販売店。業界関係者によると、ソフトバンクが2017年5月に販売店の評価体系を絶対評価から相対評価に一時的に切り替えたことが大きく影響しているという。販売店は評価が下がると、手数料収入が大幅に減ってしまうため、多少の身銭を切ってでも月末に追い込みのキャッシュバックを敢行せざるを得ない。ただ、これとは別に一部の販売店に対しては、ソフトバンクが直接指示していたことが明らかとなった。

 総務省は2017年12月~2018年4月に開いた有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でも、こうした実態を問題視。今後はさらに厳しく取り締まり、携帯電話大手が販売店に端末の販売価格や値引きを実質的に指示する行為は、業務改善命令の対象とする方針である。ソフトバンクは今回、有識者会議の結論が出る前の行為だったこともあり、業務改善命令の適用は免れた。

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