山里亮太【1】「文字起こしニュース」を根絶やしにしたい
(ネットニュースに明日はあるのか 藤代裕之先生に聞く/全7回)
はじめまして。J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太です。ネットニュースに燃やされ続けた男がネットニュースの明日を探るこの連載。ネットニュースを作るには、まずはネットニュースの現状を知る必要があるということで、1回目は、ジャーナリストで法政大学社会学部メディア社会学科准教授の藤代裕之さんに話を聞きます。
藤代先生は現在、大学でソーシャルメディアに特化した授業を行っていらっしゃいます。
僕は、ネットニュースについて日頃思っている疑問というか、怒りというか、恨みつらみがあるものですから......。今日は、そんなこともぶつけてみたいと思います。
いろんな人がニュースを作れるようになった
山里:今日はよろしくお願いします。先生も教えてらっしゃるソーシャルメディアもそうですけど、ネットの影響力大きくなりましたよね。
藤代:そうですね。毎年学生に「きょう新聞見ましたか? テレビ観ましたか?」と聞くんですけど、たしかに新聞はものすごい勢いで減っていますね。テレビは意外と観ているかなという感じですが、観る時間は減っていていますね。テレビって"ながら視聴"のメディアなんですが、今は"ながらスマホ"が多くなっています。接する時間の中心がテレビからスマホにシフトしています。(図1)
山里:スマホにかんして言えば、スマホで見るニュースの信憑性がぐっとあがってきたと思うんです。スマホのニュースは、今まで新聞にはかなわないなと思ってきたけど、いろんなアプリが出てきてニュースがどんどん流れてくる。ソースをみると有名な新聞社だったりして。いまはスマホの方がいろんな情報が一気に入るし便利だなと。
ただ、気になるのは、そこの中に入ってくるめちゃくちゃなニュースですよ!
僕が、というより芸人の1番の敵だと思っているのが「番組の文字起こし」ね。それに事件っぽいタイトルをつけて、大事なニュースとニュースの間にひょこっと入ってきたりして......。
今日ね、僕先生に伺いたいのは、そういうニュースを根絶やしにしたいんですよ!
藤代:根絶やし!?(爆笑) 難しいですねぇ。
すべての人が発信手段を持つ時代。これまでなら一部のプロしか使いこなせない切れ味のいい刀を誰でも振り回せるわけで、「はた迷惑」なうえ「生兵法は大怪我のもと」といった副作用は小さくありません。とはいっても元に戻ることは考えられない。読み手が力をつけて、下手な剣法に傷つけられないようにするしかない。厄介だし、理不尽だけど。
最近のテレビや新聞が出せないタブーを業界人のやまちゃんがどこまで切り込めるか・・・と思いつつも切り込んでくれることを期待します。
実際「ネットはゲスい記事ばかり!」とか怒ってる人、「そういう印象を持つぐらい釣られたことがあります!」って言ってるのと同義だし、結局はゲスい話題が大好きな人なんだよな…と思ってしまう。