ある学生が先輩にNMRの試料調製の仕方を教えてもらっていた。先輩は慣れた手つきでさっさと試料を作っていく。それを見ながら、学生は「意外と簡単なんやな」と思っていた。その時に、印象に残っている注意が「重溶媒は高いから、あんまりようけ入れ過ぎんようにな。指2本分くらいの量でええから。」というものであった。 翌日、学生は1人でやってみることにした。測定する化合物を入れて、重クロロホルムを加えて溶かすという作業を繰り返し、8本の試料の調製を完了した。もちろん、指2本分の高さは厳守である。そこに通りかかった先輩が、その光景を見て絶句した。そして、ようやく一言。「それはNMRチューブやなくて、試験管やで!」 それからしばらくの間、学生は心持ち少なめに、溶媒を使うようになったのであった。 研究室に入った頃は、何も知らなくて当然です。教えてもらった時は確認をして、不明な点は質問して明らかにすることが大切ですね。 |
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