ある学生がハロゲンの検出を行なおうとしていた。ハロゲンが検出されれば実験は成功である。ワクワク感とドキドキ感の両方を感じながら、合成した試料を銅線の上に乗せ、バーナーの中に入れてみた。 すると、鮮やかなエメラルドグリ-ンの炎が上がった。「これぞ、まさしく探していた宝石の色!!」とまでは、大げさには思いはしなかったものの、実験が成功したことに大満足であった。ついでに、失敗している分もチェックしておこうと、他の試料についても同様の実験を行なったところ、これも緑の炎が観察された。 「もしかして、失敗と思い込んでいた反応も成功していたのかも」と学生のテンションは上がり、次々と試料を変えては燃やしていった。そして、どれもこれも全て緑色の炎に包まれた。宝石も希少だからこそ高価である。始めは興奮していた学生も徐々に冷静になっていった。むしろ、あまりにも良い結果が続いたので、逆に不安になってきた。 そこで、先生に相談した。先生が「試料は何を使ったんや?」と尋ねられ、学生は「新たに試料を使うんも勿体ないんで、NMRを測定した試料をを使いました」と答えた。しかし、溶媒の重クロロホルムがハロゲンを含んでいるということに気づくまで、もう暫くの時間がかかったのであった。 自分が何を目的に実験をしているのかということを考えて、使って良いものと使ってはいけないものを区別しなければなりませんね。 |
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