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 「ウチの社員はあいさつしなくってさあ」──。こう漏らす、IT企業の経営者やIT職場の管理職は少なくない。

 朝、出社しても、誰もあいさつしない。唯一あいさつするのは清掃員や警備員だけ。あるいは新人や転職してきたばかりの中途社員のみ。その人たちも3カ月もすれば、あいさつをしなくなる。それもそのはず、周りの人たちが誰もあいさつをしないのだから、自分もしなくなる。

「あいさつ運動をやろう!」とか、そういう話じゃない

 ならば、あいさつ運動や社訓の唱和などを社員に強制すればいいのだろうか。私が言いたいのは、そういうことではない。あいさつを強制するなど逆効果でしかない。

 そもそも、会う人、会う人、みんながわざとらしい作り笑顔であいさつしている光景がどう見えるか。不気味なだけだろう。本人たちも「やらされ感」しかない。今風にいえば「ブラック臭」がこのうえなく漂う。そんなIT職場で働きたいと思う人がどれだけいるだろうか。

 コミュニケーションが得意な人もいれば、苦手な人もいる。仕事に集中しているときに話しかけられると、気が散るエンジニアもいる。プライベートで嫌なことがあって、その日は元気にあいさつできる気分ではない人もいるかもしれない。あいさつの強制が同僚の気分や生産性を下げてしまっては本末転倒だ。

 あいさつは決して強要するものではない。本人のコミュニケーション特性や相手の気持ちを勘案する。つまり、気にかける。これがとても大事だ。

 それでも、あいさつが飛び交う(元気な)IT職場に変えたいというのなら、次の3つがおススメ。

  • トップ自らがあいさつをする
  • カジュアルなあいさつでOKとする(「うっす」「おはようさん」「ちわっす」で構わない)
  • 対面のあいさつにこだわらない(チャットでのあいさつでもいい)

 これだけで、多くの人が自然にあいさつをするようになる。その人らしいあいさつで良し。何事も自然な心地よさが大切だ。

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