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和歌山市・ツタヤ図書館誘致で関係者に出回る“怪文書”の中身ーー談合疑惑はさらにブラック化?

[2018年05月24日]

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来年開館予定の和歌山市“ツタヤ図書館”の誘致を巡り、ある疑惑を指摘する告発文書が筆者のもとに届いた(写真は海老名市ツタヤ図書館)

「これ、表に出ると、犯人捜しが始まるんと違いますか?」

「タレコミ」が世に出た時の組織の怒りを心配する関係者の話を聴きながら、筆者は1枚の「怪文書」に見入っていた。

和歌山市図書館 指定管理者疑惑について」と題したその文書には、差出人名はない。特定の人物を非難したり、貶(おとし)めたりする言葉もない。その代わりに、淡々と“ある事実”だけが書かれている。

それは、昨年末に和歌山市が行なった市民図書館の指定管理者(運営者)選定に不正があったことを示唆したもので、その経緯が簡潔に書かれていた。

来年完成予定の駅ビルに移転する、その新しい市民図書館の指定管理者にはレンタル大手TSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が選ばれた。館内にはスターバックスや蔦屋書店を併設、いわゆる「ツタヤ図書館」誘致が決まったのだが、その選定プロセスがいかに不透明であったか、「CCCありき」ともいえる疑惑について、その経緯をこれまでもリポートしてきた。

その一連の記事では、様々な側面から和歌山市当局とCCCに、日本一の図書館受託会社TRC(図書館流通センター)をも巻き込んだ官製談合の疑惑が浮かび上がっている。

筆者が「怪文書」の存在を知ったのは、4月下旬のこと。その数日前、差出人不明の文書がある市民団体の関係者の元に送られてきたとのことで、ひょんなことから仲介者を通して、その怪文書全文のコピーを入手した。

筆者に届いた怪文書(告発文書)の文面

筆者に届いた怪文書(告発文書)の文面

まずは、基本的な事実認識についてだが、告発文書の本文は「15年まで、市はTRCに業務を委託する予定であった」から始まる。そして、市民図書館が入居する予定の南海市駅ビルについて「17年(に)駅前開発を行う設計業者を市で業者選定を実施し株式会社アール・アイ・エーが選んだ」とした上で「駅前再開発の設計はアール・アイ・エーが設計した」としている。

株式会社アール・アイ・エーは、CCCのフラッグシップ・代官山蔦屋書店を手掛けたことで知られる設計会社である。2月7日に配信した記事(著名教授も「だまされた!」ーー和歌山市・ツタヤ図書館“談合疑惑”の裏で、競合“ガリバー企業”の不可解な影)でも報じた通り、新しい市民図書館の運営者の椅子は当初、傘下のシンクタンクが基本計画策定業務を受託したTRCがほぼ手中に収めたものと見られていた。

ところが、市当局はある時期から突然CCCに方針転換。この文書でも「17年5月の基本設計発表後、市、アール・アイ・エー、CCCが密かに設計打ち合わせをやり、CCCありきでことがすすんでいた」と続き、事態が急展開したことをほのめかしている。

さらに、注目すべきなのは、その後のくだりである。「やりとりを特定されないよう、電話でやりとりを進めていた」の部分は、筆者の取材でも知り得なかった隠蔽工作が具体的に書かれている。


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