【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ中央銀行は23日、臨時の金融政策決定会合を開き、複数ある政策金利のうち事実上の上限金利とする「後期流動性貸出金利」を3%引き上げ年16.5%とした。通貨リラの急落を受け、緊急利上げに踏み切った。中銀は声明で「物価安定のため、強力な金融引き締めを決めた」と説明した。
トルコ経済は巨額の経常赤字や物価上昇に直面している。エルドアン大統領の圧力で中銀の独立性が一段と損なわれるリスクも意識され、リラの対ドル相場は23日、一時1ドル=4.92リラまで急落し、過去最安値を更新した。年初からの下落率は約23%に達していた。緊急利上げ発表後は1ドル=4.6リラ前後と前日と同水準まで戻した。
中銀は金融引き締めを嫌うエルドアン氏の意向に反し、4月下旬の通常会合で0.75%の利上げを実施した。しかし、市場は不十分と判断、リラ売りが続いていた。
銀行間でリラを貸し借りする際の金利は年18%を超えており、今回の利上げで通貨安に歯止めがかかるかは不透明だ。エルドアン氏は23日、「部分的な通貨変動はトルコ経済の現実と合致していない」と強弁した。