<診療科別>医師1,637人が考える「専門医」の価値とは?ー医師アンケート結果より

「医師」と一括りに言っても、診療科によってその役割や業務内容は大きく異なります。内科、外科、麻酔科、産婦人科、精神科など診療科が違えば、仕事上の判断や優先順位も変わります。それでは、診療科によって「専門医」の価値や重要性に関する認識はどのように変わってくるのでしょうか?

2018年3月~5月にかけて実施した専門医の取得理由やメリットに関するアンケートでは、診療科別での専門医資格のメリットや、自身のキャリア上重視していることなども調査しました。以下にその結果について紹介します。

<診療科別>医師のキャリアの中で重要なこととは?

 

 

専門医を重要とみなす医師が多い診療科、少ない診療科とは?

下表では、「専門医を所持している割合」、「専門医のメリットが取得や更新の労力・費用に対して「見合っている」という割合(専門医取得者のみを対象)」、「専門医が他の医師の能力の評価に参考になると答えた割合」をそれぞれ診療科別で比較しています(回答数20件以上の診療科のみ)。

診療科別での専門医の重要性

専門医を所持している割合

専門医を所持している割合が特に多かったのは、脳神経外科、消化器外科、救命救急科、小児科、神経内科でした。一方で総合診療科、内科・総合内科、精神科、皮膚科、内分泌・糖尿病・代謝内科では専門医の取得率が低い傾向にありました。

なお、総合診療科で専門医を所持していると回答した医師の取得していた資格については、総合内科専門医が多く、その他には家庭医療専門医、外科専門医、救急科専門医などを取得していました。2018年4月からは総合診療科で新しい専門医の制度が開始しており、3年後の2021年に最初の総合診療専門医が誕生する予定となっています。

取得や更新の労力・費用に対する専門医のメリット

専門医のメリットと取得・更新にかかる費用や労力との比較では、診療科によって大きく傾向が分かれました。費用や労力に対してメリットが見合っているという回答割合が高かったのは、内分泌・糖尿病・代謝内科、放射線科、麻酔科でした。一方で、消化器外科、外科、耳鼻咽喉科では見合っているという回答割合が低く、資格のメリットに満足していない医師が多いことが読み取れます。

他の医師の能力を評価する際の「専門医」という指標の有効性

専門医は医師の質の担保という意味合いがありますが、各診療科での「専門医」は医師の能力を評価する上でそれぞれどれぐらい参考になっているのでしょうか?

上表では、特に脳神経外科、放射線科、呼吸器内科では「専門医」が他の医師の能力を評価する上で参考になると考えている医師の割合が高いという結果になっています。一方で、総合診療科、精神科、形成外科では医師の能力の指標として専門医の有無は参考にならないと考えている医師が多いことが読み取れます。

脳神経外科・放射線科では重要、総合診療科・精神科では重要でない―診療科別の「専門医」資格の重要性

以上を踏まえると、「専門医」がキャリアの中で重要視されやすい診療科としては、脳神経外科と放射線科が挙げられます。脳神経外科では専門医の歴史が昭和41年からと長いことや、プログラム制を2011年度から取り入れ、新専門医制度のモデルケースになるといった先行した取り組みを実施していることなどが、「専門医」を重視する傾向に繋がっているのではないかと考えられます。

また、放射線科も専門医の歴史が昭和41年からと長く、画像診断管理加算には専門医の有無が考慮されるなど、専門医の有無が診療報酬上ひいては給与や待遇面でメリットがあることが、「専門医」の重要性が高い背景にあるものと考えられます。

一方で、総合診療科と精神科では「専門医」が他科に比べて重要とみなされていない傾向にあります。総合診療科の場合は、医師の役割・位置づけとして専門医と対照的な存在として考えられていることが、専門医資格の重要性が他科に比べて低いことの背景にあると思われます。精神科の場合は、精神保健指定医が重視されているため、相対的に専門医の重要性が低くなっていると考えられます。

このほか見えてきた点として、外科・消化器外科については、専門医を所持している割合が多いもののそのメリットに満足していない人が多く、専門医制度の運営において何らかの課題を抱えていることが推察されます。

各診療科の医師がキャリアにおいて重視していることは?

専門医の重要性が診療科によって異なることを見てきましたが、専門医以外にキャリアの中で重視していることも各診療科で変わってくるのでしょうか?「専門医以外に自身のキャリアアップや他の医師の評価で重要なこと」について各診療科の医師を調査したところ、下表のような結果となりました(※各診療科で回答の多いものを赤色、少ないものを青色で色付けしています)。

診療科別でのキャリアにおける重要項目

全体では「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」の順に重要という結果になっていました[1]が、診療科別でも多くの診療科でそのような傾向が共通していることが見て取れます。一方で、全体的な傾向との差異に着目すると、その診療科の特徴も見えてきます。

症例数が重視される診療科を見ていくと、内視鏡を用いる科や外科系など手技が問われる診療科が多いことがわかります。その他、放射線科でも症例数を重視する傾向が見られます。

精神科ではやはり、「指定医など専門医以外の資格」が重要という答えが多くなりました。「他の医師の評判」や「症例数」よりも上位に来ていることから、精神科における精神保健指定医の重要性が窺い知れます。実際、当社で精神科医師の転職を支援する際に、「精神保健指定医が取得可能な施設かどうか」が条件になるケースもしばしば見られます[2]

リハビリテーション科では「医師以外のスタッフからの評判」が他科に比べて重要視されている傾向が見られます。リハビリテーション領域では理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)など医師以外のスタッフが多いことが影響しているのかもしれません。

<診療科別>専門医に関する自由回答

最後に、専門医に関する医師の自由回答の一部について、診療科別に紹介します。専門医のメリット・重要性や問題点も含めたキャリアに関する他の医師の考え方を知ることで、自身の今後のキャリアを振り返る機会としてみてはいかがでしょうか。

  • 内科・総合内科

    • 高度先進医療や専門医療を行なっている医療機関においては専門医や指導医は重要かもしれないが、開業医はもちろん一般病院でも地方の医療機関では微妙である。設備やスタッフ不足などで、手術をしない◯◯外科専門医やカテーテル治療や上下内視鏡をしない××内科専門医では非常に紹介しづらい。結局、もっと大きな医療機関に紹介され、患者さんから最初からそちらに紹介して欲しかったなどと言われてしまう。
    • 資格維持のための、学会などの参加がデメリットだと思う
    • 内科の専門医更新は、セルフトレーニング問題を行うことにより、改めて内科全般を勉強・理解しようというきっかけになり評価できる。糖尿病専門医は更新条件が厳しく、更新する度に、委員会は何様のつもりかと憤慨する。両者ともホルダーであることのメリットは、今まで感じたことはない。むしろデメリットが大きい。内科専門医については、他科の医師や患者から、苦手な血液や膠原病についてのコメントを求められるなど業務に支障が出る。よって現在の名刺には、「内科認定医」のみ記載し、専門医の表記をしていない。糖尿病外来も、専門性のための存在でなく、糖尿病の患者を診る「係」。糖尿病外来は、数多くの医療機関で募集しており、専門医である必要はない。いずれにせよ否定的な意見しか浮かばない。
    • 専門医を持っていても、診療報酬や給料が変わらないのは不満。
    • 今後は、専門医の有無が雇用に重要になる気がする。

    消化器内科

    • 2段階制の専門医制度は、資格取得の障害になるし、資格更新のための負担も大きい。
    • 肝臓病に関しては十分メリットがあります。デメリットは非専門医からの妬み・嫉み・やっかみ(田舎ならではのデメリットです。)
    • 専門医ならまだましだが、指導医の維持は大変だ
    • 多くの医師が取得しており、あまり深く考えることなく取るべきものであろうと考え取得してきた。
    • 初期臨床研修を終え消化器内科を専門と決めた時点で、内科認定医を取り、その後消化器病専門医、内視鏡専門医を取得することをキャリアの1つの目標としていたので、両者の専門医を取得しているとことは、自身の自信につながっていると思う。ただ、内科認定医が将来的になくなってしまうことが突然決まったことには戸惑った。現在総合内科専門医を取得するかどうか迷っている。広く内科を知っていることのメリットは大きいとは思うが、総合内科専門医の維持のための単位数が多く、学会参加などの負担が大きくなることが予想される。

    呼吸器内科

    • 学位と同様、あまり意味はないように思う
    • 専門医は先に取ったもの勝ちで既得権益のようなもの。専門医をとらない信頼できるベテラン医はたくさんいるが、やはりトラブル時に”専門医です”といえるのは大きい。
    • 専門医の種類が多すぎる。簡単に取れるものから、かなり難しいものまで様々
    • 学会費や総会出席などの費用や出張がいくつも重なり、ハードな時期が毎年ある
    • 取得・維持にかかる労力に対するメリットは低いと思います。ただ取得の過程で勉強することなどはいい経験になると思います。

    循環器内科

    • 専門医の維持が果たして勉強になっているかどうか不明
    • 専門医資格自体のメリットは特に感じません。取得に際しての勉強はそれなりに役に立ちました。
    • 現時点では専門医資格の必要性は感じないが、今後の世の中の流れからは必要であると思われる。
    • 専門医を取ることのメリットはよく分からないけど皆んなが取ろうとしてるから取る感じが普通かなと思っているが新制度が不明瞭過ぎて不安になる
    • 専門医資格は,医師として当然所有すべきものであり,保有していることのメリットは.全くない。むしろ、取得や更新のために高額な取得費用や維持費がかかるといったデメリットとがある。しかしながら、非保有医師は、今までの経歴が証明できず、問題のある医師として扱われる可能性が高い。取得維持コストにみあった、社会的評価が得られるようになることを切に望みます.

    神経内科

    • 給与に反映されない。専門医であっても、診るのは一人のヒトであって、専門性を謳っても仕方がない。
    • 内科専門医を取得の上、神経内科専門医をとる2階建てはやめたほうがいいのではないかと思います。
    • 専門医の診療に対するインセンティブがほとんどないことがデメリットと考える
    • 専門医試験合格率を下げて、むやみに専門医数を増やさない。
    • 専門医の維持は、権力とお金の維持でなく、専門医個々の経験と実力の維持であるべき。専門医から見て、専門医機構は何をしたいのか全く分からない。

    内分泌・糖尿病・代謝内科

    • 専門医資格の取得が最終目的化しない卒後教育の在り方が問われている。
    • それなりの立場で活躍するためには必須だと思います。
    • 女性医師が、産休育休をとりながら専門医資格を取ろうとするのはなかなか時間がなくて大変です
    • 大学では専門医を取った事で増える雑用も多い。
    • 専門医自体は、取得による診察料アップなどにつながらない限り、学会の集金装置でしかないのはある程度事実。新専門医機構は更に露骨である。年会費や学会の参加費宿泊費など維持コストも膨大である。それでも初期または後期研修医というステージを一旦はクリアしたという証明のため、若手は一度は取得しないといけない。職場環境により問題なさそうなら更新もある程度の所で放棄してよいだろう。

    総合診療科

    • 専門医資格のハードルが下がりが乱発されているため、年々専門医の意義が下がっている。
    • これから専門医を取る医師の指導医の立場でなければ、必要ないと思います
    • 専門医を維持し続けることが不可能と考え、取得を諦めたものもあります。医師の働き方や医師に期待される社会貢献は多様化しているので、多少柔軟な取得基準、あるいは維持基準があってもいいのではないかと思います。専門医と準専門医など、ランク付けも一考かもしれません。産休や育休、病気療養中などへの配慮も引き続き必要かと思います。専門医を持っていることで報酬に差を出すことは希望しません。
    • 学会の集金システムでしかない。 所属する医局の教授が学会長をされ裏方でサポートの仕事を経験できたが、学会費が、一線をはなれた年配の先生方の懇親会費にもなっているのを見て残念に思った。
    • 今後新専門医は制度をもっと明瞭化すべきと考える。

    外科

    • 私たちのころは外科学会専門医、サブスペシャリティの専門医、加えて学位を取得することが自然な流れでしたが、持っているからといって何のインセンティブもありません。むしろ維持するための時間的、経済的な負担ばかりが多くなるだけです。専門医という資格に対して少なくとも敬意を持てるような制度構築をすべきです。努力をしないで専門医の取得や維持はできません。新専門医制度に関しては問題点が山積みであると思っており、とても限られたスペースではコメントできません。
    • 外科の場合資格よりも実際の手技が重要と思われる。手術が下手な外科専門医が増えている
    • 外科系の専門医のビデオ判定試験はどんどん難しくなる一方であり、一時代前のさほど厳しくなった頃と比べて不公平に感じることがある
    • 専門医資格は取得するときは勉強になるが、取ってしまったら、ほとんど意味がないと思う。学会に支払う年会費以外に専門医の取得、更新のための費用が高くなり、脱退する学会も検討せざるを得ない。
    • 専門医を持っていても手術がうまいとは限らない。専門医は一つの指標となるが、必須のものではない

    消化器外科

    • 体力の面で、外科系専門医はいつまで更新できるか不安です。
    • 正式なものにしてほしい(専門医がないと手術ができない など)
    • 筆記試験で取れる専門医より技術が評価される技術認定医や高度技能医の方が資格としては価値があると思う。
    • 大学病院は年功序列、専門医を取得するため若手が積極的に術者として手術を経験できる環境にないうえ、専門医を持っていても手術をする機会に恵まれるとは限らない。
    • 専門医を持っているからといって優れた医師ではないことを、世間は知るべき

    脳神経外科

    • 卒業後現診療科を専門としトレーニングと研鑚を積み非常な努力で準備し合格率の高くない試験に通り取得した専門医資格であるにも関わらず、取得後は非取得者への排他的待遇をする程度のメリットしかなく、努力に見合っていない
    • 意味ない制度だと思います。論文業績と患者のリピート率で評価すべき
    • とりわけ若手の、他領域への興味や感心が損なわれている。
    • 専門医をもっていないと、その分野が専門であるとなかなか名乗りにくい。ただ、取得したからといって、あまりメリットはない。
    • 専門医とは名ばかりで,能力を担保しない専門医資格や認定医資格が横行している。外科系大学教授であり,○○外科指導医でありながら,全くOpが出来ない教授が,2018年でさえ,存在していることの恐怖を国民は知っているのであろうか?

    泌尿器科

    • 専門医取得のメリットが不明確な時代にあって、専門医制度が専門性や能力など多くの指標を満足させるものであるべきと思う。
    • 細分化と総合診療的な領域の二極化が進みます。
    • 現在の環境で普通に医者をしていれば更新できる。医師として教育を受けた環境上、専門医など持っているのが当たり前すぎて、持たないという発想がありえない。特別な資格という認識は全くない。
    • 今後は専門医と非専門医の差別化が予想されるので、取得せざるを得ないと思います。
    • 新専門医の講習単位が多すぎてつらい

    整形外科

    • 資格は無いよりあった方が良いと思うが、資格が無くても困る事は少ないと思う。
    • 専門医は患者への最低限の保証と考えていたが、新専門医制度にそれを期待できない。
    • 専門医は持っていて当たり前、経験年数があるのに持っていないのは医学部卒業して医師免許がないのと一緒だと思います。メリット、デメリットを論じる意味はない。
    • 特に外科系は、オペをしないと専門医でないとの方針なのかと疑問に思う。
    • 専門領域に関する傷病を有する患者を診療した場合のメリットが必要と思われる(例えば、変形性関節症の患者にその診断を下すにしても、整形外科専門医が診断して治療する場合と、いわゆる町医者が湿布を処方して終わりにする場合とで診療報酬に差をつけてほしい)。

    形成外科

    • 診療報酬に取り入れて、手術の技術に対する差別化を図らないとだめだと思われる
    • もう少し厳しくてもいいと思います。
    • もともとダメだった専門医制度が、新専門医制度で更にダメになった。学会の自己満足、集金の手段だったものが、国の管理下に、異形の医師管理ツールへ変貌を遂げようとしている。一回取得したら、誰も更新しない資格になるとおもう。
    • 専門医の取得基準が低すぎて、専門医を有する事の意味が薄い気がします。
    • 子供が小さいので、大変。形成外科専門医をもっているメリットがあまりない。形成外科をずっとやるなら持っててもいいが、科自体特殊なので、バイトなど、ほとんど使えない。

    皮膚科

    • 皮膚科専門医の維持は、子育て中の医師には難しい。取得したことがあるかどうかが鍵になると思う。
    • 今後アレルギー専門医もとります
    • 専門医資格は当該科の一種の卒業試験のように捉えている。メリットに関しては、自分のクオリティを提示する分かりやすい判断基準となりうる。デメリットは、資格を取るにあたり、各科で難易度が大幅に異なることだろう。
    • 資格がある医者のほうがより安心できると言っても理解、対応する患者が少ない。
    • この忙しい職業にこれ以上何をさせようというのか

    耳鼻咽喉科

    • 専門医を維持するのにコストがかかりすぎるわりにメリットがあまり感じられない。
    • 専門医維持の労力を考えると、放棄する人が増えるのではないかと思います。
    • 専門医の更新も条件が厳しくなったので、その分、将来的に専門医と非専門医の保険点数に差をつけたり変化があることを期待しています。
    • 資格更新するために、自分に必要のない講義を受け、ポイントをかせがなければいけないのが苦痛。
    • 保険点数などでも専門医資格を取得することでの加算などを検討していただきたい。

    精神科

    • 専門医のメリットがあまり感じられない
    • 直接的な精神科臨床から外れているので、在ったほうがいいな資格、として継続したいと思っています。
    • 患者としては、医師の一定の質の担保と、病院・医師選びの基準になってくれれば助かるが、現実的には、その分野の最低限の知識と経験がある、というだけなので基準にはなってない。
    • 精神科専門医は、取得した際は、なんのメリットがあるか分かりませんでした。後だしじゃいけんのように、それがないと保険診療の減算が加わりました。
    • 精神科の場合は、精神保健指定医と言う資格の方が、専門医の資格より、臨床上有用性が高い点、で余りメリットを感じない。各科においても、専門医の習得に見合う臨床上のメリットがないと習得へのモチベーションが下がると思う。

    眼科

    • ときどき「専門医」ですか?と聞いてくる患者がいるので、患者への一定の影響はあると思う。取得の過程で得た知識はそれまでに得た知識よりもずっと多い。
    • 専門医制度は上納金のようなもの。次回は更新しません。
    • 診療報酬に違いが出ると適正かと思います。
    • 維持に費用や手間がかかる。制度が変わりそうで煩雑になりそう
    • 新専門医制度は説明不足過ぎるため始めるのであればもっとしっかり構築してからにして欲しいです。

    放射線科

    • 専門医資格と管理加算を連動させると一般病院は専門医しか採用しなくなる。今の放射線科がその状態。
    • 専門医と診療報酬をリンクさせようとしているので診療科によっては専門医は必須です。
    • 放射線診断の場合、専門医がないと話になりません。逆に専門医であればどこでもやれて、独立可能です。機構認定専門医になっても放射線科の場合はあまり変わりません。
    • サービス残業が多く、地方会や研究会に出席できず、年1回の総会にも出席は殆ど不可能。5年の更新時に必要な単位数は(サービス残業が多く)取得困難。 過去1人部長1人医員の状態が多く、放射線科に複数の医員が是非必要です。 派遣大学や関連病院はこの事をよく理解すべし!!!
    • 放射線診断専門医に関しては特にデメリットは感じません。持っていれば遠隔読影で仕事がいただけるので有り難いです。

    小児科

    • 専門医取得=臨床能力が高い、とは思わないですが、自分自身、専門医を取得し維持するためには知識のブラッシュアップも必要ですし、その過程に意味はあると思っています。 一方で、学会参加の点数制など、見直すべき部分もあると感じています。
    • 現在の小児科専門医は持っていないと話にならない最低限の資格と位置づけている。なので、専門医未所持の小児科医師は小児科医師ではない。相手にしない。今後はシステムも大きく変わるのでなんとも言えないが、最低限の資格として維持はするつもり。
    • 小児科しかわかりませんが、今年専門医の更新のため、新制度移行期間のため新制度と旧制度両方の書類を提出しましたが、わかりづらくて大変でした。新制度は症例が必要など手間がありましたが、海外留学や産休、育休期間は考慮されず(専門医停止する方法しかなく)時代にそぐわないと感じました。オンラインセミナー受講以外は、煩雑なだけで専門医更新に必要と課す意味がないと感じました。また新専門医制度に関しても、診療科により、大分温度差があると感じます。
    • この春に新専門医の更新をするが更新申請項目がいい加減な気がします。取り敢えず形態を整えました的で、この内容でどうしてして専門医と名乗ることができるか不明です。米国のように科に隔たりなく、さらに診療報酬に反映させなければ、学会の維持費のために設けている機関にしか思えない。
    • 求人を見ると、専門医を希望する病院が多いので、選択肢が広がる。ただ、実際に勤務していると、専門医だから得するということはない。専門医か専門医じゃないかは、医師の能力評価には全く繋がらないと思う。

    産科・産婦人科

    • 科の専門医自体はみんな基本所有しているものなので、持つていてあたり前という気がする。サブスペシャリティの専門医を持って初めてメリットがあると思うが、その効果を発揮できる場所で働いていないと意味はないと思う。
    • 学会の認定医は維持可能だが、専門医機構の新専門医は、移行措置でも取得出来ず、これからも取得は困難な状況である。産婦人科は、母体保護法指定医もあり、指定医資格が重複しておりややこしい。学会認定医だけは、維持したいと思っている。
    • 複数科の専門医を維持することができにくくなっているので、どんどん医療が細分化されて専門バカが増えていくと思う。
    • いずれ専門医をやめて「元◯◯学会専門医」として活動する医師も増えてくるのではないか。
    • 婦人科では専門医でないとできない検査があるため外来をする上で必要かと思います。また、細胞学会専門医は持っていないと細胞診の診断ができません。メリットというほどのことではありませんが、仕事上に必要なものです。

    麻酔科

    • 専門医制度自体は良いと思うのですが、ポイント制により学会場に長蛇の列となるなど、純粋に学術・技術を評価したものと乖離した制度となっており、役人の天下りに都合よく無知な医師がお金を吸い取られている構図が見て取れます。
    • 女性医師ということで、患者によっては露骨に男性より臨床経験が少ないのではとか、色々言われることがある。ある程度仕方ないことだが、そういうときに専門医という肩書きがあるほうが、ないよりも受け入れが良くなることもあるという印象がある。また外勤は専門医の有無で金額が違う。さらに試験で勉強したことは研修医の教育にかなり役立っていると思う。
    • 手術麻酔のスポット勤務に関しては、専門医資格の有無はあまり報酬に影響していないし、今後も影響は少ないと思います。
    • 専門医試験を受験することで広範な知識を得ることが出来、診療に深みを持たせることが出来ることはメリット。しかし、その後の更新でかなり金銭がかかることがデメリット。また、実際にその科からは離れているのに保持している専門医(カンは鈍っているはず)は問題。更新にそこまでお金がかからず、技術や知識が保たれている人のみが更新できる専門医制度があることが理想だと思います。
    • 専門医制度そのものを否定するつもりはないが,専門医を維持するために受講しなければならない講習の単位数が高めに設定されている(少なくとも麻酔科に関しては)のは問題である.すなわち,学会には極力出席して単位数を稼がなければならない一方で,学会期間中も緊急手術対応のために学会に出席せずに病院に勤務しなければならないこともある.そうすると,規定の単位数を取得するためにはもう講習の取りこぼしが許されない状況に追い込まれてしまう.もし,体調不良や冠婚葬祭などの理由で予定外に学会に参加できなくなったらと思うとストレスを感じる.学会で講習を受けられない場合はwebで受講することもできるが,別途費用がかかるため,webは利用したくない.

    救命救急科

    • 現在は救急の専門医資格は残していますが脳外科と眼科の専門医資格を以前は取得していたのですが現在は会費が無駄なので資格は捨て 現在は救急のみ残しています
    • 専門医更新の基準が、経験年数の高い医師が有利になるような点の配分になっているように思う。例えば、救急科に関しては、若手が自らの意思で参加できるようなoff the job trainng の配点には制限がある一方、市中病院の若手の臨床医には依頼が来ないような書類書きや会議などには、色々と配点がついている。若手は努力を続けるようにということなのか、そういう人たちが自分達な有利なような基準にしたのかわかりませんが。。。
    • 学会専門医と違い機構専門医では単位修得が主となり学会参加意義が単位習得」目的となり知識技術向上につながらないのでは。
    • 専門医資格は、病院機能評価などでも、何人いるのか書類を提出しているのにもかかわらず、病院事務方が「個人資格」と言い切っているのが残念。病院幹部が事務方に周知できていないのだろう。
    • 新専門医制度のダブルボード、トリプルボードの更新が容易に行われるよう期待したい。

    リハビリテーション科

    • 専門研修認定施設になるためには必要。若手のリクルートが可能になる。
    • 取ることができるなら取るに越したことは無い。しかし専門医の数が多くなりすぎて全身を診ることのできる医師が少なくなり、小規模の病院では自分で見ることができないから他院へ受診させるなど、臨床の現場で問題が起きている(総合病院のように複数の科がそろっているところは良いが。)
    • これまでもこれからも、専門医取得にメリットを感じられない。むしろ維持する手間等デメリットが大きいと感じる。
    • 今後も専門医取得は、医師の知識や技術向上に有用となって行くことを期待してます。また、専門医に対する診療報酬などの有利性が課題になっていくとも考えています。
    • 専門医資格は、転職時に非常に有利に作用した。回復期病棟の専従医としてのリクルートであったが、初めから専門医を指定した求人であった。また、転職後は専門医としての意見を十分尊重してもらえている。

     
    <脚注>
    [1] 全診療科合計のデータについては、全体版のアンケート結果の記事中の「自身のキャリアアップや他の医師の評価では、「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」の順に重要視」を参照。
    [2] 精神保健指定医の特集ページ参照。