アメフト元部員「監督絶対王政」
以前、日本大学のアメリカンフットボール部で内田前監督の指導を受けながらプレーしていた20代の元部員の男性が匿名を条件にNHKの取材に応じました。
男性は、「反則行為を行った選手と一緒にプレーした経験があるが、まじめで冷静な選手だったので試合の映像を見た瞬間、これは独断で行ったのではなく監督やコーチから指示されたのだろうと思った」と話しました。
その上で、「一番の問題は、監督の絶対王政のようになっていたことだと思う。上の言うことは絶対だというのが体育会の風潮だが、日大アメフト部は本当に絶対服従の世界だった。監督が一番上で、さらに逆らえないコーチを集めて、そのコーチに逆らえない選手を作るというのが1つの形として成り立っていた」と話しました。
内田前監督については、「自分の思い通りにならない人はいらないという方針で、刃向かった人は実際に試合に出さないなど“干されて”いたので、誰も口出しできない存在だった。寮生活のことで監督に意見しただけで『お前は一生試合に出さない』と言われ、実際に干された選手もいた。その選手は代表にも選ばれるようなプレーヤーだったので、なぜ戦力を落としてまで干す必要があるのかと疑問に思っていた」と述べました。
また、監督の意向を選手に伝えたとされる井上コーチについては、「反則行為をした選手の高校時代の監督だったので、自分の才能を見いだして抜てきしてくれた恩人を裏切ることはできなかったのだと思う。何度も何度も言われて精神的に追い詰められて正常な判断ができなくなっていたのではないか。監督に言われたら絶対にやるというのがルールだったので、同じように指示されたら私も他の選手も従ったと思う」と話しました。
選手と大学側の見解が食い違っていることについては、「内田前監督は話をするときには必ずやることを明確にする人で、濁すようなことはしないので、受け取り方の間違いというのはあり得ないと思う。会見した選手を尊重して、指示した本人が認めるべきだと思う」と述べました。
そして、最後に「反則をした選手はもうアメフトはやらないと言っていたが、あれほどの才能を持った選手はなかなか出てこないし、きのうの記者会見で本当は暴力的なプレーをするような選手ではないということが伝わったと思うので、個人的には再びアメフトができる環境を作ってあげてほしい」と話しました。
22日の記者会見で日大の選手が、反則行為を指示されたと話した日本大学アメリカンフットボール部の井上奨コーチは、部内に13人いるコーチのひとりで、「ディフェンスライン」を担当しています。
井上コーチは大学の系列校で、都内にある日大豊山高校のアメリカンフットボール部で以前、監督を務めており、今回、反則行為をした選手を2年生と3年生の時に指導していました。