本当によくわからない著作権の問題

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最近、著作権について関心を持っているがよくわからない。

疑似著作権について

『著作権の世紀』の著者、福井健策弁護士に聞く 「疑似著作権」広がり懸念“という記事があった(関連:”蔓延する「疑似著作権」“)。

かいつまんで言うと、そもそも著作権で保護されるものではないのに著作権で保護されると主張したり、あるいは保護されると思って自重してしまう問題。

たとえば”「ネットで拾った」画像を一冊にまとめて出版、波紋を呼ぶ“だけど、これはどうなのだろう?みんな著作権侵害だと言っているけど、そうなのだろうか?というのは、著作権法では、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義していて、ネットで拾った写真のうちどのくらいが「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」なのかな。単に事実の描写に過ぎないものもあるんじゃないか。視覚的なメモというか。

例えば「近所のコンビニで万引きがあった」と報じるのは著作権の侵害にならない。事実は著作権で保護されないから。仮にA新聞のみがその事実を報じて、誰かがA新聞を読んでブログに「俺んちの近くのコンビニで万引きがあった」と書いても著作権侵害ではない。だから、たぶん写真でもスナップショットくらいだと写真そのものには著作権は適用できないんじゃないかと思う。

ともかく、著作権で保護されないにも関わらず、みんなが著作権で保護されると勘違いしている状況はよくないと思う。早いところ白黒つけてほしい。

著作権に関心を持つ理由

いつから著作権に関心を持っているかは覚えていないけど、以前に辞書は著作権の保護にあたらないという話を聞いた。いや、もしかすると辞書の編集には著作権は当てはまるかも知れない。どの単語を選んで載せているとか、そうした工夫は保護されるかも知れない(しかしアイディアは保護されないらしい)。しかし単語の意味は辞書であるのならその言語を使う人はみな共有しているものなので、特定の辞書に所属するものではないらしい。

いまWebには多くの言語がある。一方で日本で手に入る教科書は英語は多いものの中国語ですら質の高いものは少ない。だから、Webをクロールして表現はぱくるとまずいけど、単語の出現頻度とかそうしたものは利用できるのではないかと思っている。

たぶん、こうしたWebの資産を上手くいかしているのはGoogleなどのアメリカ企業で、疑似著作権問題あるいは類似した問題によって阻まれているのは日本ではないか。最近、著作権法が改正されて

 今回の改正は,「文化芸術立国」,「知的財産立国」の実現に向け,昨今の情報通信技術の一層の進展などの時代の変化に対応し,インターネット等を活用した著作物等の流通の促進や,障害者の情報利用の機会の確保などを図るため,必要な改正を行うものです。

 具体的には,次の3本柱から構成されています。

  1. インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置
  2. 違法な著作物の流通抑止のための措置
  3. 障害者の情報利用の機会の確保のための措置

ネット時代の著作権を意識したものに変わったらしい。それ以前は検索エンジンも勝手にWebページをクロールしてキャッシュを保持しているから著作権法違反とかいう意見もあったくらいで、それがアメリカに比べて日本の検索エンジンがしょぼかった理由の一つとされる(たぶん人材の質が一番の理由だけど)。

ともあれ、著作権侵害にならない範囲でWebの情報を上手く使うことは今後ますます重要になってくるだろうし、ニートやっているとそうしたところに勝機を見いだしたくなる。というか、2chまとめブログってあれ大丈夫なの?堂々とやったもの勝ちなのかもね。大手まとめサイトはバイトを雇って編集させたりして会社形態になっているらしい。今からまとめサイトに参入しても勝ち目は薄いけど、時宜を得て行動した人は成功しているわけだ。

追記:著作権が保護される理由

著作権法の第一条には

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

とある。著作権法の目的は文化の発展である。表現の自由に例外を設けて著作権を保護することで、著作者のやる気を引きだした方が全体として得であるという判断なのだろう。一方で、疑似著作権のようにガチガチに萎縮させてしまうとかえって文化の発展には不都合なので、著作権法の目的から言ってもおかしなことになる。件の写真集は写真集を出されることでやる気を失って写真を撮らなくなったりするだろうか。2chまとめサイトが出ることで2chに書き込むことは損だと考えて書かなくなるか。

たぶん疑似著作権の根底にはケチの根性があると思う。嫌儲と言ってもいい。ネットにある画像を編集してコメントつけただけで金を儲けやがって許せない、俺だってやればできたのに、みたいなものがあるんじゃないかな。

弁護士のくず

『弁護士のくず』という漫画がある。型破りな弁護士があれこれする、GTOとかサラリーマン金太郎みたいな設定の弁護士漫画である。お堅い弁護士のイメージからはずれたふざけた男が主人公が本質を飾らずに突いているから小気味いい。

最近の話題は著作権についてで、かなり長いシリーズになっていた。普段の倍くらい長い話だったと思う。シリーズ「盗作の真相」は盗作だと指摘された漫画家を弁護することになって、何が著作権で保護されて、何が保護されないか、世間でいかに著作権が理解されていないかについてがテーマである。

まだ2巻までしか出ていないが、おそらく3巻くらいに「盗作の真相」が入ってくると思う。また、以前とコミックのタイトルが変わっている。以前のコミックは

で10巻まであるようである。

弁護士はオワコンというけど、この男みたいに本人の才覚があればまだまだ旨みのある仕事なんだろうなー。

1 個のコメント

  • あまり専門的に勉強しているわけではないのですが、
    著作権法を勉強した時に著作権により保護される対象がこのようなもの(定義)と理解した時に驚いた覚えがあります。
    著作権素人と法の感覚の乖離や定義該当性の判断基準の曖昧さ等です。

    写真自体については、
    定義との関係で余程芸術性が認められない限り著作権により保護される対象とはならないと思います。
    (写真が著作物に該当するかについての判例もあったはず)
    従ってスナップショットについてはまさに仰る通りと思います。

    昔読んだある著作権法の教科書の導入部分に、
    「著作権法はその国の文化レベルを示すバロメーター」という表現がありました。
    著作権法関連の問題に触れるといつもこの言葉を思い出して感じるところがあります。

    こういう問題には立法的解決が一番だと思いつつも、どういう保護の仕方が良いのかは時代によって変わるため難しい問題ですね。

    だからこそ解釈の余地の多いこの分野は弁護士に旨みがありますし、
    ある程度勉強し、萎縮しないで行動を起こせば勝機(商機)もあるんじゃないかなぁと思います。

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