20年近く前か、僕のひとつ上の先輩が、社内会議で、
「最近は、アニメを作るんじゃなくて、消費しているスタッフが多いのではないか?」
と、いきなり言い出した。
社長はじめみんな「?」だったと思うが、僕は理解できた。


クリエイターが「アニメをやってるだけで幸せ!」と間抜け面でいうのは、何の美談にもなってない。
むしろ逆だ。

お前がアニメで楽しんでいる場合ではない。
生みの苦しみではないが、作品を生み、しかも良い作品にしようとする時、どれだけの苦労が伴うのか。
誰だって容易に想像できるだろう。

現に「アニメをやってるだけで幸せ!」「アニメだけやっていればいい!」と気が狂ったように連呼していたバカが、去年とんでもない作品を吐き出してファンをがっかりさせたのは記憶に新しい。
「アニメをやってるだけで幸せ!」なんて、ただのお前の自己満足だ。知らねぇよ。


宮﨑さんが高畑さんのお別れ会で、「僕らは仕事に満足していなかった。もっと遠くへ、もっと深く、誇りを持てる仕事をしたかった」と述べたのは、ただの述懐ではなく、現代のクリエイターへの提言のような気がしてならない。


ケネディ大統領の名言ではないが、「アニメがあなたに何をするかではなく、あなたがアニメに何をすべきか」、考える時に来ているのではなかろうか。