白い幼虫が朽木の中へと潜っていく。それから数週間かけ、幼虫はずしりと重い成虫へと姿を変える。成虫のオスの頭には角が生えている。今、北米大陸では、カブトムシの羽化の季節を迎えている。
この動画は、昆虫愛好家の河野博史氏がタイムラプス(微速度撮影)で幼虫から巨大な成虫になるまでを撮ったもの。この動画を見れば、ヘラクレスオオカブトの変態は驚異としか言いようがないことがわかる。
「ヘラクレス」の名は、古代の神話に登場する半神にちなんで名付けられた。北米に生息するヘラクレスオオカブト属の仲間は全長8センチ程度だが、中南米に生息する種には18センチになるものもいて、空中を飛ぶ昆虫の中では世界最大級だ。
「中南米と西インド諸島に生息するヘラクレスオオカブト属のヘラクレスオオカブトは、世界最大のカブトムシです」と言うのは、米ネブラスカ大学リンカーン校のコガネムシ科の専門家ブレット・ラトクリフ氏だ。(参考記事:「コスタリカ昆虫中心生活『巨大カブトムシとの出会い』」)
「南米に生息するヘラクレスオオカブトの幼虫の多くは、ポーランドのソーセージ、キルバサくらいの大きさをしています」と、ラトクリフ氏は言う。
イモムシが成長してチョウとなる変態は、多くの人が知るところだ。ただ、カブトムシの変態となると、チョウに似ているが、あまり聞きたくない経過をたどることは知られていない。