北海道は2018年度から、地域の公共交通網の連携による運営効率化を探る実証事業に乗り出す。鉄道やバスなど複数の交通手段を切れ目なく利用できる環境づくりを目指し、十勝地域をそのモデルに選んだ。人口減が進む中で地域交通を守るため利便性の向上を目指す。
道は22日、産官学でつくる「シームレス交通戦略推進会議」の第1回会合を帯広市内で開いた。JR北海道や十勝バス(帯広市)などの事業者のほか、帯広商工会議所や十勝観光連盟などの経済団体、道運輸局など行政機関が参加した。座長には北海道大学の岸邦宏准教授が就いた。
会議では交通業者間の連携強化策を議論。鉄道とバスとを円滑に乗り継げるダイヤの設定などを模索する。初会合ではドイツの事例が紹介された。同国では地域の運輸業者による「運輸連合」が60団体ほど組織され、企業の垣根を越えた運行計画や運賃制度を適用しているという。
十勝地域はJR帯広駅のある帯広市を中心に路線バスが多く、地域交通網を巡る議論が進んでいるため道がモデル事業の実施場所に選んだ。事業は3年間の予定で、初年度に当たる18年度は関係者による議論で情報を共有する。19年度からは交通事業者も含めた社会実験を展開する。
利用者が減って路線が縮小するバスや鉄道など地域の公共交通網を維持し活性化するには、住民が使いたいと思えるような利便性や安全性が欠かせない。自家用車から公共交通へのシフトを促すためにも、推進会議を通じて地域での連携体制を強化していく。