北原みのり「韓国にもある女性嫌悪」
連載「ニッポン スッポンポンNEO」
確かに「女」という言葉から差別的意味は薄まった。それでも完全になくなったわけではない。差別を孕んだ言葉を使う私たちの社会に、女性嫌悪は宿命のようにつきまとう。
こういうことを言うと、必ず、もう200%必ず「気にしすぎ」「被害妄想だ」と言われるのだけれど、まずは「この社会は女性嫌悪に満ちているのだ」と認識することが、差別をなくしていく一歩だと、私は思う。
なぜなら、差別とは、誰にとっても見えるものではないから。それは社会秩序として認識され、文化として持続され、私たちの社会の空気として、そして権力が権力を維持するために利用される。乗り越えていくのは、簡単ではない。だからこそ、「ここに差別がある」と、みんなが認めることが最初の一歩なのだ。
そういう意味で、韓国で「この国がいかに女性差別的社会か」ということが大きく語られるようになったことは、とても意味がある。ああこの件は書きたいこといっぱい。
※週刊朝日 2015年11月20日号
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表