北原みのり「韓国の女は、立ち上がった」
連載「ニッポン スッポンポンNEO」
そのようなことがネット上で語られるようになり、あっという間に今年8月、メガリアというサイトが立ち上がったのだ。メガリアとは、メルス+イガリアの造語だ。韓国ではマーズをメルスと呼ぶ。またイガリアとは、ノルウェーの作家、ガード・ブランテンバーグのフェミニズムSF小説「イガリアの娘」からきている。小説では、男女のジェンダーが入れ替わり、男性が抑圧された世界が描かれている。
……と言うと、またまた「男性差別か?」と過剰に反応したがる人がいるので、念のために言っておくが、メガリアは男性差別が目的ではない。女性が差別されている現実を「男性にわかりやすく説明する」ために、立場を入れ替えるようなことを敢えてする。いわば、女性嫌悪社会の鏡のような役割を果たしている。
メガリアのサイトを見ると、まずこういう一文が目に入ってきて、泣ける。「大韓民国の女性嫌悪がなくなる日まで、メガリアの努力は続きます。(女性嫌悪に)敏感で、疲れ生きる人々が、これ以上、敏感になり、疲れないために!」と記されている。そしてこうも記されている。あなたの変化を、サポートするよ! と。
韓国の女たちは立ち上がった。日本はどうする。
※週刊朝日 2015年11月27日号
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表