文者の庵

-MONJA NO IORI-

叶わぬ約束

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今週のお題「あの人へラブレター」



普通に暮らしてればこの国には多くの制度や仕組みがある。僕は若い頃は受験制度に振り回された。高校受験では好きな子と同じ高校を受けようと言われ、大学受験でも同じような事を繰り返す。


でも、結局は想いが強くても現実は残酷でそういう二人は引き離されるのが世の中の定番パターンだ。想いが成就する事なんて滅多にない。


若い頃は決められたルールの中でレールに沿って生きていた。良い学校を出て良い会社に入るのが正解だと思っていた。今となっては当時から想像できないような暮らしをしている。


よくドラマで主人公が挫折して自暴自棄になってしまい育んできた愛情や友情が終わってしまうシーンがある。僕はど定番のそういった事を経験した。


どんなに辛くても苦しくても笑っているなんて事はできなかった。人間の身体はそこまで頑丈ではなく、意外とキャパシティを超えると壊れる事も知れた。


よくパラリンピックで義足や義手の人や車椅子の人が競技に臨んでいる姿を見る度に強いなと感じる。体のみならず、心が壊れたり折れたり弱くなった場合はどうすれば良いのだろうか?


色々あったけど、僕は元気でいる。いや、元気になれたという表現がお似合いだ。不完全ながらも日常生活を送れている。


人間にとって、男にとって最初の恋が最も重い荷物になってしまうという話を見かけた事があるが何となくわかる。


これはラブレターなんて呼べるものじゃない。ただ、僕には果たせなかった約束があり、心の何処かで決して結ばれる事が無いであろう想いを引きずったまま生き続けるのだろう。


いつになったら君に胸を張って会えるだろうか。生きている内にできれば叶えたいなとは思うささやかな願い。


片想い (文春文庫)

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