信頼を裏切られた宮川選手は本当にかわいそう
監督とコーチが、立場や信頼関係を利用して、あまりにも狡猾に宮川くんを追い込んでいた事実を知り、愕然とした。
本人が自ら会見を開き、その事実を、自分の口で公にできたことだとは少しだけ救いだったんじゃないかな。
会見を開き、自分の口で事実や気持ちを語ることができたのは、今の彼にとって、最善だったと思う。
事件後、彼の周りに相談できるいい大人がいて、彼にそんな選択肢を提示してくれて、よかったなと思った。
事実や自分の気持ちを偽ることなく、誰をかばうこともなく、誠実に正直に語った宮川くんはとても立派だった。
宮川くんが語った内容も本当にまともというか、健全というか、酷いパワハラによる洗脳も解けたのが伝わって、少し安心した。
高校2年生のときから信頼していたコーチに、騙され、追い込まれ、裏切られた心の傷は、そう短時間では癒えるはずもないけれど、彼ならきっと大丈夫だと思った。
今、宮川くんの周りにはいい大人がついてくれている。
だからきっと彼は大丈夫。
素直で正直で優しい人ほど洗脳されてしまう
そんな宮川くんと一緒にしては本当に申し訳ないけれど、会見を聞きながら、わたしは、地下鉄サリン事件の林医師の手記を思い出していた。
心の弱さに付け込まれ、洗脳され、酷い無差別テロの実行犯になってしまった林医師。
洗脳が解けたあとに書かれた手記は、ただただ後悔と自責でいっぱいだった。
正常な状態に戻って、自分の犯した罪に押しつぶされそうになりながら、それでも押しつぶされまいと必死に向き合い、事実を公表することで責任を果たそうとしている彼の手記を読み、不謹慎かもしれないけれど、わたしは林医師が可哀想になってしまったし、決して他人事ではないと感じた。
林医師は決して悪人ではなく、洗脳により、正常な判断ができない状態にされ、コントロールされ、利用されていた。
当然、林医師と宮川くんを一緒くたに語ることはできないけれど。
でもそういうことってきっと、誰にでも起こりうることなんじゃないか。
たとえば学校の先生だって、小さな洗脳下にあるんじゃないか。
クラスの子どもたちはどうか。
PTA役員時代の自分を振り返っても、そういう面が少しはあったんじゃないか。
親として子供に接するとき、そういう面がないと言い切れるか?
常に、自分自身の感性や価値観で物事を判断することを放棄しちゃいけない、放棄させられちゃいけないと、改めて思った。
脳みそをフリーズさせちゃ絶対にいけない。
どんなことも、行動に移す前に、いったん、自分の脳と心で咀嚼しなきゃいけない。
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依存症は事実を正確に認識することができなくなる病気
宮川選手が、もうアメフトはやらない、自分にはアメフトをやる資格がない、今はアメフトを続けることなど考えられないと、とても強くはっきりとした口調で答え、何度同じ質問をされても、一切揺るがなかった様子が、とても印象に残った。
そんな宮川選手を見て思い出したのは、TOKIO山口さんの会見。
山口さんはあの会見で、いつかTOKIOに戻りたいと発言した。
お酒をもう飲まない、禁酒するという意思もなかった。
それはアメフトをやめるときっぱり言い切った宮川選手とは、とても対照的に見えた。
あの会見での山口さんは、自分のしてしまったことの重大さを、全く認識できていなかった。
状況把握もできていなかった。
それはきっと依存症のせい。
依存症になると、無意識のうちに、きっともう潜在意識レベルで、依存している対象を失わないこと、そして依存し続けることが最優先事項になってしまい、正確な状況認識もできなくなってしまうんだと思った。
普通に考えればわかることもわからなくなってしまうし、自分の置かれている状況も見えなくなってしまうし、ことの重大さにも気づけない。
そう考えると、TOKIO山口さんのことも、もう全然他人事に思えなくなった。
わたしはチョコレート依存症で、安いチョコレートが酷い児童労働で生産されていることを知りながらやめられない。
人に依存してしまったこともある。
相手の気持ちや状況判断を見誤り、誤認してることにすら気づかなかったり。
好きと依存は違うよな。
ちょっとここで、自分を客観視しなきゃいけないなと思った。
けど何にも洗脳されず何にも依存しないのは無理かも
そんな、洗脳されーの依存しーのなわたしは
会見での宮川選手がものすごーーーく健全に思えて
あんな風に
自分を失ってもちゃんと取り戻していける人になりたいと思ったし
『主観』をつねに『客観』することを忘れちゃいけないと思った。
最後に
宮川選手の会見からたくさんのことに気づかせてもらえた。
宮川選手がいい大人に支えられ、自分を許すことができ、そしてまたいつか、人を信じ、大好きだったアメフトを取り戻せるよう、心から応援します。