スーパーコンピューター開発会社「PEZY Computing」(ペジーコンピューティング、東京・千代田)による助成金詐取事件で、詐欺罪などに問われた前社長、斉藤元章被告(50)らの初公判が22日、東京地裁(前田巌裁判長)で開かれた。斉藤被告は詐欺罪の起訴内容について「間違いない」と認めた。
一方、法人税法違反罪などは一部を除き無罪を主張した。法人としての同社も同法違反罪などに問われたが、同社側は認否を留保した。
検察側は冒頭陳述で、水増し請求した助成金は助成事業と無関係の外注費に充てたり、将来の支払いに備えて預かり金にしたりしていたと指摘。助成対象のスパコン開発の遅れが発覚しないよう、事業期間内に終了したとする虚偽の実績報告書も提出していたという。
脱税は、一時2億円近くに達したペジー社から斉藤被告への貸付金残高を減らすためだったなどと指摘した。
起訴状によると、斉藤被告は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2012~13年度に実施した2つの助成事業で費用を水増しした虚偽の実績報告書を提出し、計約6億5300万円を詐取したとされる。さらに14年12月期までの5年間に、架空外注費を計上するなどの方法で法人税計約2億3100万円を脱税したとされる。
事件を受け、NEDOは2月、起訴対象となった助成金2件の交付決定の一部を取り消し、ペジー社は加算金約2億9千万円を加えた計約9億4千万円を返還している。関連会社も4月、科学技術振興機構(JST)からスパコン開発費として融資された約52億円を返還している。