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ファミマのポイント戦略について、考えられるシナリオは大きく3つ。1つ目は現状維持。ファミマがTポイントを今後も採用し、独自ポイントも始めない。2つ目はTポイントから離脱し、新たに始める独自ポイントに一本化する。3つ目がTポイントと独自ポイントなどの併用だ。すでに独自ポイントなどの展開を見据えて、伊藤忠とユニー・ファミマHDは共同出資会社を作っており、2つ目や3つ目のシナリオが現実味を帯びる。
ファミマという唯一無二のパートナーを失うシナリオは、過去に増田氏を襲ったある出来事を思い出させる。増田氏は1990年代後半、米宇宙大手や三菱グループなどと組み、「ディレク・ティービー・ジャパン(のちにディレク・ティービーに社名変更)」を設立し、自ら社長に就いた。「日本にも有料多チャンネル放送の時代が来る」とにらみ、大勝負に打って出た。
しかし、歯車は徐々に狂っていった。ライバルのスカイパーフェクTV(現スカパーJSAT)に押され、加入者数が低迷したからだ。
1998年秋、増田氏はディレクTV社長を事実上解任される。三菱商事や松下電器産業(現パナソニック)といった主要株主が方針を転換したためだ。その後、ディレクTVは単独での事業展開を諦めて、加入者はライバルのスカイパーフェクTVが引き受けるという結末をたどった。
増田氏は当時を振り返り「せっかくいいものを作っても力のある企業が後から来て、うわーっと宣伝してしまうと潰される」と語ったことがある。だからこそ、Tポイントを始める際は、ローソンや新日本石油(現JXTGエネルギー)と真っ先に提携し、資本力がある大企業が参入して来ても、事業基盤が揺らがないように陣営固めを急いだ。
再び訪れた危機に増田氏はどんな手を打つのか。関係者からは「Tポイントと独自ポイントの相乗りを飲まざるを得ないのでは」という声も漏れる。優れたビジネスモデルを売る「企画会社」を標榜するCCCにとって、一緒に事業を進めるパートナーの存在は欠かせない。裏返せば、企画会社を掲げ続ける限り、パートナーの離脱はCCCに常につきまとうリスクでもある。