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CD・DVDレンタルの「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が岐路に立っている。主力の共通ポイント事業でファミリーマートが離脱するかもしれないからだ。「Tポイント」の加盟企業で最大規模の顧客と店舗網を抱えるファミマが抜ければ、Tポイントそのものの魅力が落ちかねない。CCCの増田宗昭社長兼CEO(最高経営責任者)の脳裏には、衛星デジタル放送「ディレクTV」の過去がよぎっているかもしれない。
今回の事態の引き金を引いたのは、伊藤忠商事だ。伊藤忠が2018年4月、約1200億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施し、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)を子会社化すると発表した。狙いは伊藤忠主導でコンビニ事業を強化し、セブン&アイ・ホールディングスに迫ることにある。
伊藤忠にはもう1つ、隠れた狙いがあった。ポイントを中心にファミマのデータベースマーケティングの仕組みを再構築することだ。ファミマは2007年から、CCCのTポイントを採用し、マーケティングの肝と言える顧客分析でCCCに頼ってきた。そんな役割分担を見直し、伊藤忠とファミマがデータベースマーケティングを主導できる体制を整えようとしている。
2018年3月期の決算説明会の席で、伊藤忠の岡藤正広会長CEOはファミマのポイントについて「腹を決めてやると我々は言っている」と前置きしたうえで、「上期中には発表できると思う」と踏み込んだ。