米軍統治下の沖縄に最大1300発の核ミサイルが配備され、1953年に那覇で誤射されたなどと放映したNHKスペシャル「沖縄と核」を制作したNHKの今理織(みちおり)ディレクターが2日、都内で講演した。海兵隊が本土から移転した背景に、沖縄への「戦術核」配備が関連していると指摘した。
アイゼンハワー政権が核重視の「ニュールック戦略」をとった50年代は、海兵隊が沖縄に移り、土地の強制接収で基地拡大された時期が重なる。今さんは「海兵隊と核はつながりがないと思っていたが、調べてみると、つながりを示す機密文書が大量に出てきた」と説明。
文書の中には、伊江島の土地接収は「戦術核の訓練のため」という記述もあり、今さんは「沖縄での土地接収の謎が解明されたのでは」と指摘した。2015年に米国が本土復帰前の沖縄への核配備を認めたため、「(元米軍関係者への)取材で証言が集まるようになった。時期もラッキーだった」と話した。
共同通信の編集・論説委員の太田昌克さんも講演し、核抑止を巡る日本政府内の内実を解説。「安保法制で、米国の核オペレーションに自衛隊が組み込まれていく」と語った。
講演は、東京法律事務所9条の会が主催した。