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 PEZY Computing前社長の齊藤元章被告の初公判が2018年5月22日、東京地裁で行われた。齊藤被告はスーパーコンピュータの開発をめぐる助成金詐欺や脱税などで起訴されている。齊藤被告は「詐欺の事実は間違いない。深く反省をしている。期待と信頼を裏切り、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に迷惑をかけてしまい申し訳ない」と詐欺を認めた。

 齊籐被告は「開発遅れや失敗を報告すると信頼を失い、助成金を得られなくなると考えて虚偽の報告をした」と、積層メモリーやメニーコアプロセッサーの開発遅れが詐欺の背景にあるとした。脱税については2010年12月期は認める一方、2011年12月期以降は「脱税の意図はなく、節税として許される範囲であると認識していた」と無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、齊籐被告が自動車レースで借金を抱えており、PEZYから齊籐被告個人に貸し付けて借金の返済に充てていたと指摘。このほか、第1世代のメニーコアプロセッサー「PEZY-1」で台湾のプロセッサー製造委託先への未払いがあり、取引先にPEZY-1の量産品を納入するために第2世代の「PEZY-SC」で助成金を水増ししていたと述べた。