反則行為の日大選手 会見始まる
日本大学のアメリカンフットボールの選手が試合中に無防備な状態の相手選手に後ろからタックルする重大な反則行為をした問題で、反則行為をした日大の選手の記者会見が、午後2時45分過ぎから東京都内で始まりました。
日大の選手は記者会見の冒頭、「本件でけがをさせてしまった関西学院大学の相手のクオーターバックの選手や家族、関係者に対して多大な迷惑をかけたことをおわびいたします」と謝罪しました。
記者会見で、この選手は「試合前日の練習後、コーチから、お前をどうしたら試合に出せるか監督に聞いたら、相手のクオーターバックの選手をワンプレー目でつぶせば出してやると言われた。『クオーターバックの選手をつぶしに行くので使って下さい』と監督に言いに行け。相手がケガをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろうと言われた」と試合前日のやり取りについて説明しました。
この選手は記者会見で、反則行為のあった試合前の内田前監督とのやりとりを明らかにし、「私は監督に対して直接『相手のクオーターバックを潰しに行くので使って下さい』と伝えました。監督からは『やらなきゃ意味ないよ』と言われました」と話しました。
記者会見でこの選手は、「試合当日、コーチに『クオーターバックの選手に突っ込みますよ』と確認したら『思いきり行ってこい』と言われた。さらに、試合前の整列のときもコーチが近づいてきて、『できませんでしたじゃ、すまされないぞ。わかってるな』と念を押された」と説明しました。
この選手は記者会見で、「本件直後は、何も考えられない状態でした。そのため相手のクオーターバックがケガをして代わったことにも気付いていませんでした。ふだんの試合でこんなことはありえません」と話しました。
記者会見でこの選手は、「大学が謝罪文を公表した翌日の今月11日に、監督とコーチ、私と両親で面会した。父が『監督・コーチがクオーターバックの選手にケガを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけだ』と公表することを求めたが断られた」と話しました。
記者会見でこの選手は「5月18日に私と父で関西学院大学アメフト部のクオーターバックの選手とその両親を訪問し、直接謝罪の意を伝えました」と話して、内田前監督が行う前日に被害を受けた相手選手への謝罪に赴いていたことを明らかにしました。
この選手は記者会見で試合前日の練習のあとに、コーチから「『相手のクオーターバックと知り合いなのか』、『関学との定期戦が無くなってもいいだろう』、『相手のクオーターバックがケガをして秋の試合に出られなくなったら、こっちの得だろう』、『これは本当にやらなくてはいけないぞ』と念をおされた」と明らかにしました。
記者会見の最後にこの選手は「真実を明らかにすることが、償いの第1歩だと決意して、この陳述書を書きました」と話して、「私の行為によって大きなご迷惑をお掛けした関係者の皆様に、改めて深くお詫び申し上げます」と頭を下げて再び謝罪しました。
記者会見でこの選手は「試合があった1週間を通して監督とコーチ陣からのプレッシャーがあったにしろ、自分で正常な判断をするべきだった」と自身の行動を顧みました。
この選手は記者会見で、内田前監督との関係について、「『日本代表に行くな』と言われた時も、『なぜですか』と聞けなかった。意見を言えるような関係ではなかった」と説明しました。
この選手は記者会見で、内田前監督からは「潰してこい」と言われただけだとした上で、「上級生の先輩を通じて『アラインをどこでもいいからつぶしてこい』、『相手のクオーターバックがケガをして秋の試合に出られなくなったら、こっちの得だろう』などと言われていたので、けがをさせろという意味だと認識していた」と話しました。
この選手は記者会見で、「アメリカンフットボールは高校の頃から始めたが、とても楽しいスポーツだなと思い、熱中していた。大学に入って厳しい環境に身を置くことになり、アメリカンフットボールがあまり好きではなくなってしまった」と話しました。
そのうえで今後、競技を続けるかどうかについては、「アメリカンフットボールを続けて行く権利はないと思っているし、この先続けるつもりはない」と話しました。
この選手は記者会見で、内田前監督について「直接話しをする機会はなく、意見を言える環境ではない」と話し、信頼はあったのかと問われると「そもそも話しをする機会がないので信頼があったのかはわからない」と言葉少なく語りました。
そして、厳しさに理不尽さはあったのかという質問には、「理不尽な部分もあったかもしれないですが、練習のキツさも含めて去年の結果が出たと思っているので、みんな、理不尽なことがありながらも練習をしていると思う」と話しました。
この選手は記者会見の中で、反則行為をやめることを考えなかったのかという質問に対し、「あのときの自分はそういうことは考えられなかった。1週間前から追い詰められていたのでやらないという選択肢はなかった」と話しました。
また、監督やコーチからの反則行為を指示するような指導については、「僕が言える立場ではない。同じようなことが起きないようにと、願っています」と話しました。
この選手は記者会見でけがをした選手とその親が被害届を提出したことについて「出されてもしかたないと思う。相手の選手や家族にとっては当然のことだと思う」と話しました。