米国のいいなり 自国の働く人捨てる日本の愚行

何のための働き方改革か

2018年5月22日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

いったい何のために私たちは働いているのか(写真:ロイター/アフロ)

 また。そうまた、大切な命が会社に奪われた。
 それでも国はのたまう。「生産性向上には裁量労働制拡大が必要だ」と。

 いったい何のための仕事なんだ?
 いったい会社は誰のものなんだ?
 人生を奪うような働き方をさせてまで、“アメリカさん”のいいなりになりたいのだろうか。

 しょっぱなから少々鼻息が荒くなってしまった。今回は「裁量労働制拡大と知られざる文書」について、アレコレ考えてみる。

 先週、東京のIT企業で裁量労働制で働いていた男性会社員(当時28歳)が、くも膜下出血で過労死していたことがわかった。

 亡くなる直前の2カ月間の残業時間は、月平均87時間45分。裁量労働制が適用される前には最長で月184時間の残業があった。

 男性は不動産会社向けのシステム開発担当で、チームリーダーに昇格した際に専門業務型の裁量労働制が適用された。長時間労働は適用前から常態化しており、適用後は徹夜を含む連続36時間の勤務もあった(みなし労働時間は1日8時間)。

 男性はTwitterに、

  • ・やっと家ついたー。この安心感よ。今月も華麗に300時間やー。ねむすぎ。
  • ・ねむい。13時から翌日の18時までってなんなん。
  • ・仕事終わるまであと22時間
  • ・うおー!やっとしごとおわったぁー!!社会人になってから36時間ぶっ通しで働いたの初めてやがな。

などと投稿。
 家族に頭が痛いと訴えた翌月、自宅アパートで亡くなっているのが見つかったという。

 代理人の弁護士は、
「男性の過重労働は裁量労働制の適用前からだが、適用直後には徹夜勤務があるなど、裁量労働制が過労死に悪影響を及ぼした可能性は高い」 と指摘している。

併せて読みたい

オススメ情報

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「米国のいいなり 自国の働く人捨てる日本の愚行」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

一番問題なのは、保護貿易主義が世界に広がりつつあることです。

林田 英治 JFEホールディングス社長