NTTドコモが独自のAIエージェントサービス「my daiz」(以下、マイデイズ)を5月30日から順次、スマートフォンやタブレット向けに提供する。AIエージェントをキャラクター化した「my daizさん」「my daizくん」の登場によって、ドコモのユーザーにおなじの「ひつじのしつじくん」の行く末がどうなるのか心配な方も多いはず。NTTドコモの大場さおり氏、飯野友里恵氏にマイデイズのさまざまな話を聞いてきたのでまとめてみたい。
ドコモでは、スマホなどに音声によるユーザーインタフェースを組み合わせ、ユーザーの生活に役立つコンテンツを提案する「しゃべってコンシェル」、その有料版である「iコンシェル」サービスを長年に渡って提供してきた。
今春からスタートする新しいマイデイズは、従来のコンシェル系サービスに、NTTグループが開発してきたAIテクノロジー「corevo」(コレボ)の「先読みエンジン」とスムーズな連続会話を実現する「多目的対話エンジン」を追加し、IoTデバイスへのアクセス制御の中枢となるエンジン「AIエージェントAPI」も盛り込んだ。進化を遂げたドコモの“本格AIエージェント”だ。
当初使える機器はスマートフォンとタブレット。キャリアフリーのサービスなのでドコモの回線契約はなくてもいい。5月30日からすぐにサービスが使えるようになるのはドコモの回線契約があり、かつAndroid OS 5.1以上、またはiOS 10以上のデバイスのユーザーから。
iOS端末ならドコモ回線がなくても5月30日から使える。ただし、「ドコモの回線契約がない、Android端末のユーザー」は2018年秋以降まで待つ必要がある。
AIエージェントを起動する方法など、一部の使い勝手にはハードやOSなどプラットフォームに依存する部分がある。これは後ほどまた詳しく触れよう。
ドコモが発表した2018年夏モデルのスマートフォンやタブレットは、マイデイズをプリインストールして出荷する。上記の条件に従い、既発売の端末についてもしゃべってコンシェル、iコンシェルを5月30日以降に順次マイデイズに更新するアップデータを配布する。では、アップデート後に「ひつじのしつじくん」「メイドのメイちゃん」はどうなってしまうのだろうか?
結論から書くと、2人のひつじとすぐにお別れすることはなさそうだ。マイデイズの設定メニューからキャラクターを入れ替えればまた会える。ただ、ひつじのしつじくんが活躍できるのは別途用逸される「ひつじのへや」の中だけで、できることも雑談やあいさつ、お天気などに限定されてしまう。
新しいマイデイズが特徴としている機能はほぼ使えなくなってしまうので、ユーザーは「進化」か「ひつじ」、どちらを選ぶか決断に迫られる。ひつじのしつじくんはアスリートでいうところの“現役選手は引退したけれど、違う形でチームに関わる”感じに似ているかもしれない。ドコモとしては今後はマイデイズを推していくということなのだろう。
ひつじのしつじくんのファンだった方は、最初は四角い豆腐のような姿のマイデイズを味気なく思うかもしれない。ところが実は、マイデイズはいろいろな姿にトランスフォームできるという。
マイデイズアプリを起動するとキャラクターは常時左下に表示され、アプリのメニューを切り替えていくと、その姿がクルマや買い物かご、おうちなどに変形するのだ。スマホの充電を始めると、びりびりとふるえ出す。なんだか愛着がわいてくる。
アプリのメニューを開くと、キャラクターの隣に「レベル」と書いてある。これは何なのか? 大場氏に尋ねると「ユーザーの行動パターンを学習して積み重ねてきたレベル」とのこと。
レベルが上がると何が起こるのかは取材の時点では明らかにしてもらえなかった。ここからは筆者の勝手な想像だが、レベルが上がるとゲームキャラのように成長して姿を変えていくのではないか?
ドコモの関係者たちが「マイデイズが他のAIエージェントにない強みは、ユーザー一人一人に合わせた“パーソナライズ”」と、口をそろえてアピールしているだけに、マイデイズがユーザーの色に染まりながら成長してくれたらきっと楽しいだろう。
スマホの中にいるマイデイズはどうやって起動するのだろうか。流行のスマートスピーカーのように話しかけると答えてくれるのだろうか。実はその振る舞いが使うデバイスによって少しずつ違うのだ。
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