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【格闘技】

田口良一が統一王座陥落 遅すぎたダウン認定…

2018年5月21日 紙面から

12回、ヘッキー・ブドラー(右)からダウンを奪う田口良一。スリップの判定だったが、試合後にくつがえった=東京・大田区総合体育館で(久野功撮影)

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◇WBA&IBFライトフライ級タイトルマッチ12回戦

 ダブル世界戦▽20日▽東京・大田区総合体育館▽観衆3700人

 日本初の統一王座防衛に臨んだWBA、IBF統一ライトフライ級王者・田口良一(31)=ワタナベ=が挑戦者ヘッキー・ブドラー(30)=南アフリカ=に12回判定0-3で敗れた。最終回にダウンを奪いながら一時スリップダウンと裁定される不運もあった。IBFミニマム級王者・京口紘人(24)=ワタナベ=は挑戦者ビンス・パラス(19)=フィリピン=に3回にダウンを奪われながらも判定3-0で勝ち、V2に成功した。

 最終12回、田口の左が完ぺきなカウンターとなりブドラーをとらえた。だが、挑戦者の尻もちは、レフェリーの死角となって一度はスリップダウンと判定。これが、勝負のあやだった。ダメージがないと信じたレフェリーは、そこから続いた田口の一方的な猛攻でも試合を止めようとせず、そのまま終了のゴングが鳴った。

 終了後、レフェリーはリング上で映像を確認。ワタナベジム渡辺均会長の猛抗議もあってか、スリップの裁定を取り消しダウンと認定して判定にも反映されたが、時すでに遅し…。TKO決着でもおかしくなかった一戦は、ジャッジ3者ともに1ポイント差の僅差で田口が辛酸をなめた。

 「終わって、負けたと思った。12回、仕留めきれなかったのが実力。敗戦は受け入れます」

 田口らしいボクシングではなかった。打たれたら打ち返す気の強さが身上だが、前半は突っ込んできた挑戦者に対し単発でジャブを返すのみ。「先に行くつもりが体が動かず逆に先手を取られた」と振り返った。

 石原雄太トレーナーは「メンタルコンディションだと思います。統一王座の見えないプレッシャーや、今までで一番厳しかった減量…。あんなに出だしが悪かったのは30戦以上やって初めて」と敗因を口にした。田口が何とか気持ちを作り、巻き返したのは9回以降。逆転を狙った最終回に運にも見放され、王座陥落を突きつけられた。

 「今後については今はまだ何も考えられない」と田口。引退か再戦、あるいは階級を上げての現役続行か-。昨年の大みそか、国内史上3人目の複数団体制覇を果たしたファイターは、わずか半年後にボクシング人生の岐路に立たされた。

 (藤本敏和)

 

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