2018.05.21 Mon posted at 19:02 JST
(CNN) 世界保健機関(WHO)が、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を2023年までに世界の食品から一掃することを目指し、段階的な戦略を発表した。
WHOがこのほど開始したキャンペーン「リプレース」では、各国が人工のトランス脂肪酸を食品から排除し、世界的な根絶につなげるための手順を紹介している。
人工のトランス脂肪酸は、植物油を固形化する際の「水素添加」と呼ばれる製造工程で生成される。そうした水素添加された油脂は、揚げ物やスナック、パンや焼き菓子などの製造に使われ、ショートニングやマーガリン、コーヒー用クリームなどに含まれる。
他の油脂に比べて腐りにくい一方で、悪玉LDLコレステロールを増加させたり、心疾患や脳卒中、2型糖尿病といった疾患のリスクを高めたりするなど、健康への悪影響も指摘されている。
WHOの専門家によると、特に南アジア諸国ではトランス脂肪酸の摂取量が多く、心疾患リスクが極めて高い。
一方、中南米にも摂取量が多い国があるものの、既に対策に着手しているといい、南アフリカでは法律が制定された。
リプレースのキャンペーンでは、食品供給源の見直し、健康的な油脂の利用促進、法制化、啓発活動、対策の徹底などを呼びかける。
日常生活の中で非伝染性疾患の原因となる要素の排除をWHOが呼びかけるのは今回が初めて。
米疾病対策センター(CDC)の前局長トム・フリーデン氏は、2002~09年にかけて、米ニューヨーク市でレストランからトランス脂肪酸を一掃させる取り組みを主導した。
同氏が代表を務める公衆衛生団体はWHOと連携して、リプレースに基づいてトランス脂肪酸の一掃を目指す各国の取り組みを支援する。
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