JFA田嶋会長の講演資料が残念すぎる 組織のトップがこの思考レベルなのは狂気の沙汰
5月20日に東京大学のキャンパスで、東京大学ア式蹴球部の100周年特別記念講演に日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が登壇しました。
現場からのツイートによると、以下のような資料をスクリーンに投影して、プレゼンテーションを行ったそうです(呟いた本人に掲載許諾済)。
講演の会場からツイートしたイティサカ氏に確認したのですが、口頭で以下のような補足説明をしたとのこと。
棒グラフの右端がベストコンディションのパフォーマンス、左端がワーストコンディションのパフォーマンスで、日本がポーランド、コロンビア、セネガルを相手にしても、日本のスカウティングや相手のコンディション次第では番狂わせを起こせる可能性はあると考えている。
これに対して、僕は条件反射で以下のようなツイートをしたのですが、久々に4桁RTされる事態に。
それなりに社会経験があるビジネスパーソンであれば、僕が書いた「突っ込みどころが満載すぎる」点は、補足せずとも理解できるとは思いますが、人によっては「この資料のどこが残念なの?」と感じる人もいると思うので、解説しますね。
ロジカルシンキングの欠片も感じられない資料
本来、こういったグラフを描く場合は、横軸に数値の単位を添えるのがセオリーです。この資料にはその数値が表記されていないため、各国のパフォーマンスをどうやって数値化したのかの「論拠」が提示されていません。
また、ゼロの目盛り線も存在しないため、例えば日本の絶不調時とポーランドの絶不調時に何倍の開きがあるのかも計測できません。
グラフ化したということは、何かしらの数値的根拠があって描写したと信じたいですが、ゼロの目盛り線もない、数値の単位も明示されていない点から仮説を立てると、田嶋会長は「なんとなく」これらの線を引いた可能性が高いです。
これはまさに田嶋会長は、定量的なデータではなく、定性的な心証で物事を判断する思考回路を持っていることの証左とも言えるでしょう。
ハリルホジッチ前監督の解任理由について、監督の評価に使う定量的なKPIを一切提示することなく、「コミュニケーション不足が原因」の一点で突破したのも頷けます。
こういったプレゼンテーションを行う際、メインメッセージを下支えする根拠がいかに論理的かつ定量的で、誰にも納得感があるものかどうか、という点が非常に重要になります。
今回の場合、 「W杯で勝てる可能性がある」という意見を支える論拠が上記グラフになるわけで、「どうやって数値化したの?」「もしかして左端に書いてあるFIFAランクからエイヤでグラフ書いてない?」「そもそも相手がピーキング成功したら無理ゲーじゃん!」という突込みがたくさん湧いてきます(ちなみに今回の講演ではQ&Aタイムはなかったようです)。
こんな思考レベルの人が組織のトップにいるのは狂気の沙汰
田嶋会長は、問題解決手法の基本をゼロから学び直した方がいいレベルかと。
僕はよく、コンサルティング企業の新人研修の外部講師を毎年4月に担当してるんですけど、上記グラフは、プレゼン資料の「良くない例」として新入社員に紹介したいくらいです。
よくもまあ、こんな「ふわっとした」資料を日本で最も偏差値の高い大学で出せるもんだなと感心します。
論理的思考能力の欠片もない人物が組織のトップに君臨し、監督解任の決定権など日本サッカー界の「舵取り」を任されている現状は、まさに狂気の沙汰です。
僕はJFA会長を解任する権限は持っていませんが、情報発信者の端くれとして、これからも「日本サッカー界の危機」について、懲りずにしっかりと論理的に論じていければなと思います。
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