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機械学習研究の現状とこれから

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日本ソフトウェア科学会 キックオフシンポジウム 基調講演2
Speaker: 杉山将(理研AIP/東京大学)

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機械学習研究の現状とこれから

  1. 1. 2018年5月17日 機械学習研究の 現状とこれから 機械学習研究の 現状とこれから 理化学研究所 革新知能統合研究センター 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 杉山 将 日本ソフトウェア科学会 機械学習工学研究会
  2. 2. 2 自己紹介 現職:  理化学研究所・センター長:研究者とともに  東京大学・教授:学生とともに  企業・技術顧問:エンジニアとともに 専門分野:  機械学習の理論・アルゴリズム開発  機械学習の実世界応用 (音声,画像,言語,脳波,ロボット, 自動車,光学,広告,医療,生命など)
  3. 3. 機械学習の国際会議の動向  参加者数が激増:  ICML: International Conference on Machine Learning  NIPS: Neural Information Processing Systems  企業のスポンサーも非常に活発:  00年代前半:アメリカのIT企業(Google, IBM, Yahoo, Microsoft...)  00年代後半:世界中のIT企業 (Amazon, Facebook, Linkedin, Tencent, Baidu, Huawei, Yandex…)  10年代:製造・金融など様々な業種のスタートアップ~大企業 3 2013 2014 2015 2016 2017 ICML 900 1200 1600 3000+ 2400 (Sydney) NIPS 1200 2400 3800 6000+ 7500+ (California)
  4. 4. ICML2016の採択論文の分布 4 アメリカ 企業 .com フランス イギリス イスラエル スイス 日本(10件≒3%) ドイツ カナダ • アメリカ一強 (多数の中・韓・印・欧を含む) • 日本人は非常に少ない • 中国が猛烈な勢いで追い上げ
  5. 5. 機械学習研究の現状と課題 現状の機械学習によって,  音声認識,画像理解,言語翻訳 などはヒトと同等以上の性能を達成 しかし,更なる飛躍には課題がある:  機械学習技術の研究開発に多大なコスト: 世界中の企業が研究者・技術者を青田買い  ビッグデータの収集に多大なコスト: ネットからビッグデータが取れない問題は, 現状の機械学習技術では精度が悪い  様々な規制がネック: 個人情報保護,倫理規定・・・ 5
  6. 6. 講演の流れ 1. 機械学習技術の研究開発に多大なコスト 2. ビッグデータの収集に多大なコスト 3. まとめと今後の展望 6
  7. 7. 7 最も汎用的なアプローチ 機械学習には様々なタスクがある データを生成する規則(確率分布)を推定すれば, あらゆる機械学習タスクが解決できる!  例:各クラスのデータの 生成分布がわかれば, パターン認識ができる 生成的アプローチとよばれる 決定境界 クラス+1 クラス-1 データの生成 規則を知る データの 全てを知る
  8. 8. 各タスクに特化したアプローチ しかし,確率分布の推定は困難であるため, 生成モデル推定に基づくアプローチによって, 必ずしも高い学習精度が得られるとは限らない 確率分布の推定を行わず,各タスクを直接解く  例:サポートベクトルマシンでは, 各クラスのデータ生成分布 を推定せず,パターン認識に 必要な決定境界のみを学習  パターン認識に対しては, 識別的アプローチとよばれる 8 クラス+1 クラス-1 決定境界
  9. 9. 各タスクに特化したアプローチ 各タスクに特化したアルゴリズムを 開発した方が,原理的には 生成的アプローチよりも性能が良い しかし,様々なタスクに対して個別に 研究開発を行うのは大変:  アルゴリズム考案  理論的性能評価  高速かつメモリ効率の良い実装  エンジニアの技術習得 9
  10. 10. 中間的なアプローチ あるクラスのタスク群に対して,研究開発を行う  汎用性と有効性のトレードオフを取る 10 生成的アプローチ 中間アプローチ タスク特化アプローチ
  11. 11. 11 確率密度比に基づく機械学習 多くの機械学習タスク群は 複数の確率分布を含む しかし,これらのタスクを解くのに,それぞれ の確率分布そのものは必要ない 確率密度関数の比が分かれば十分である 各確率分布は推定せず, 密度比を直接推定する r(x) = p(x) q(x) 非定常環境下での適応学習,ドメイン適応, マルチタスク学習,二標本検定,異常値検出, 変化点検知,クラスバランス推定,相互情報 量推定,独立性検定,特徴選択,十分次元削 減,独立成分分析,因果推論,クラスタリング, オブジェクト適合,条件付き確率推定,確率的 パターン認識 Sugiyama, Suzuki & Kanamori, Density Ratio Estimation in Machine Learning, Cambridge University Press, 2012
  12. 12. 12 最小二乗密度比適合 データ: , 真の密度比 との二乗誤差を最小にする ように密度比モデル を学習: Kanamori, Hido & Sugiyama (JMLR2009) r(x) min ® J(®) J(®) = 1 2 r®(x) ¡ r(x) 2 q(x)dx r(x) = p(x) q(x) fxq j g nq j=1 i:i:d: » q(x)fxp i g np i=1 i:i:d: » p(x)
  13. 13. ここまでのまとめ 密度比は,単純な最小二乗法で最適推定できる 多くの学習タスクが実は最小二乗法で解ける:  重点サンプリング:  ダイバージェンス推定:  相互情報量推定:  条件付き確率推定: 各機械学習タスクを直接解くのではなく,抽象化 したタスクの集合に対する解法を開発する 13
  14. 14. 講演の流れ 1. 機械学習技術の研究開発に多大なコスト: 密度比推定の理論と応用 2. ビッグデータの収集に多大なコスト: 限られた情報からの機械学習 3. まとめと今後の展望 14
  15. 15. ビッグデータを用いた機械学習 画像認識,音声認識,機械翻訳などで, 人間と同等かそれ以上の性能を達成 しかし,応用分野によっては, 教師付きビッグデータを簡単に取れない  医療データ解析  インフラの管理  自然災害の防災・減災  機能材料の開発 限られた情報からの学習が重要! 15
  16. 16. 2クラスの教師付き分類 大量のラベル付きデータを用いれば, 精度良く分類境界が学習できる ラベル付きデータ数 に対して,分離境界 の推定誤差は の速さで減っていく 16 正 負 分離境界
  17. 17. 教師なし分類 17 ラベル付きデータの収集にはコストがかかるため, 容易に入手できるラベルなしデータを用いる 教師なし分類はただのクラスタリングに過ぎない データがクラス毎にクラスタに分かれていないと, 正しく分類できない
  18. 18. 半教師付き分類 大量のラベルなしデータに加えて, 少量のラベル付きデータを利用 結局,教師なし分類と同じくクラスタリングする データがクラス毎にクラスタに分かれていないと, 正しく分類できない 18 正 負 ラベルなし
  19. 19. 分類問題の分類 19 高精度でラベル付コストの低い分類手法 が重要! ラベルあり (教師付き学習) ラベルなし (教師なし学習) ラベルありとなし (半教師付き学習) ラ ベ ル 付 け コ ス ト 高 低学習の精度 高 高低 高精度 & 低ラベル付コスト
  20. 20. 新手法1:正例とラベルなし データからの分類 20 負例が全くなくても,正例とラベルなしデータ だけから,最適な分類ができる 例:  クリック vs. 非クリック  友達 vs. 非友達 正 ラベルなし (正と負の混合) du Plessis, Niu & Sugiyama (NIPS2014, ICML2015) Niu, du Plessis, Sakai, Ma & Sugiyama (NIPS2016) Kiryo, du Plessis, Niu & Sugiyama (NIPS2017)
  21. 21. 新手法2:半教師付き分類 21 「正例とラベルなしデータからの分類」は最適 それに「正例と負例からの分類」を組み合わせ ても最適 正 負 ラベルなし Sakai, du Plessis, Niu & Sugiyama (ICML2017) Sakai, Niu & Sugiyama (MLJ2018)
  22. 22. 新手法3:正信頼度からの分類 正クラスのデータしか取れない:  他社のデータは取れず自社のデータしか取れない  成功例は入手できても失敗例は入手できない 信頼度さえ分かれば, 最適な分類ができる 22 Ishida, Niu & Sugiyama (arXiv2017) 正信頼度 95% 70% 5% 20%
  23. 23. 新手法4:類似データ対からの分類 類似データ対:  同じクラスに属する標本対  しかしクラスはわからない 財産,宗教,政治など,デリケートな質問に対して,  明示的に趣向を回答するのははばかられる  「あの人と同じ」であれば回答しやすい! 類似データ対と ラベルなしデータだけから 最適な分類ができる 23 Bao, Niu & Sugiyama (ICML2018)
  24. 24. 新手法5:教師なし分類 24 クラスタ構造がない場合でも,クラス比の異なる ラベルなしデータが2セットあれば,教師付き 学習と同じ収束率を達成可能 クラス比 =3:7 クラス比 =7:3 du Plessis, Niu & Sugiyama (TAAI2013)
  25. 25. 新手法6:補ラベルからの分類 多クラスの訓練データのラベル付けは高コスト  多数の候補クラスから正しいものを選ぶ必要がある 補ラベル:  パターンが属さないクラスの ラベル(補ラベル)を与える  補ラベルをつけるのは低コスト 「間違ったラベル」だけから, 最適な分類ができる! 25 Ishida, Niu & Sugiyama (NIPS2017) クラス 1 クラス 2 決定 境界クラス 3
  26. 26. 弱教師付き学習のまとめ 低ラベル付けコストで 高精度な機械学習 手法が有用! 26 UU, PU, PNU, SU, Pconf, Comp… あらゆるデータを 有効活用! ラベルあり (教師付き学習) ラベルなし (教師なし学習) ラベルありとなし (半教師付き学習) 高 低学習の精度 高 高低 Sugiyama, Sakai, Ishida & Niu Machine Learning from Weak Supervision, MIT Press, in preparation. ラ ベ ル 付 け コ ス ト
  27. 27. 流行りの深層学習との関係は? 深層学習=深層モデルを使った機械学習 学習法の研究はモデルの研究と直交! 27 線形 カーネル 深層 … モデル 加法 教師付き学習 教師なし学習 … 強化学習 学習法 新しい学習法を作れば, 最新の深層モデルと組合せ可!
  28. 28. 講演の流れ 1. 機械学習技術の研究開発に多大なコスト: 密度比推定の理論と応用 2. ビッグデータの収集に多大なコスト: 限られた情報からの機械学習 3. まとめと今後の展望 28
  29. 29. 今後の展望  人工知能(過去):  1次ブーム(1960年頃): 記号処理,論理推論  2次ブーム(1980年頃): エキスパートシステム  ニューラルネット(過去) :  1次ブーム(1960年頃): パーセプトロン(1層)  2次ブーム(1990年頃): 誤差逆伝播法(多層) 29  機械学習(現在):  1995年頃~:統計・凸最適化  1995年頃~:ベイズ推論  2010年頃~:深層学習 知能の要素技術を高度化  汎用人工知能(将来): 知能の要素技術を統合

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