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2017年6月2日金曜日

栗城史多という不思議

栗城史多さんがエベレスト登頂を断念したらしい。今回で7回連続の登頂失敗ということになる。


栗城さんのことは、これまで、まあちょっとどうだかなと個人的に思ってはいたものの、本人をよく知らないし、話したこともないし(正確には10年くらい前に一度だけあいさつ程度を交わしたことはある)、判断はずっと保留してきました。ただしそろそろひとこと言いたい。さすがにひどすぎるんじゃないかと。


栗城さんはフェイスブックにこう書いています。


本当は30日に登頂を目指す予定でしたが、ベンガル湾からのサイクロンの影響でエベレスト全体が悪天の周期に急に変わり本当に残念でした。 
25日の好天に登頂できればよかったですが、異様な吐き気が続き、本当に悔しいです。。 
高所ではどんなに体調管理しても何がおこるかわかりません。 
ただ今回初めて「春」に挑戦しましたが、秋に比べて春は好天の周期も多く、西稜に抜けるブルーアイスの状況もよくわかったので、来年に繋げられます。 
皆さんご存知だと思いますが、栗城史多はNever give upです。


この状況でどうして「来年に繋げられ」るといえるのか、どうして「Never give up」といえるのか、本当にわからない。タイミングとか体調管理でなんとかなるレベルではまったくないことは、ヒマラヤに登ったことがない私でさえわかります。常識的に考えれば、もうとっくに登り方を変えるか、あるいは目標の山を変えるかするべきなのに、頑ななまでにやり方を変えない。これでは、ただの無謀としか思えないのです。


かつて、服部文祥さんが栗城さんのことを「登山家としては3.5流」と言って話題になったことがありました。3.5流という評価が合っているかどうかは別として、登山家としての実力が服部さんより下であることは間違いない。野球にたとえてみれば、栗城さんは大学野球レベルというのが、正しい評価なのではないかと思います。ちなみに服部さんは日本のプロ野球レベル。日本人でメジャーリーガーといえるのは数人(佐藤裕介とかがそれにあたる)。


それに対して、栗城さんがやろうとしている「エベレスト西稜~ホーンバインクーロワール無酸素単独」というのは、完全にメジャーリーグの課題です。栗城さんが昔トライしていたノーマルルートの無酸素単独であれば、それは日本のプロ野球レベルの課題なので、ひょっとしたら成功することもあるのかもしれないと思っていました。しかし、日本のプロ野球に成功できなかったのに、ここ数年はなぜか課題のレベルをさらに上げ、執拗にトライを重ねている。


大学野球の平均的選手が、「おれは絶対にヤンキースで4番を打つ」と言って、毎年テストを受け続けていたとしたら、周囲の人はどう思うでしょうか。大学生の年齢なら、これから大化けする可能性もないとはいえないから、バカだなと言いつつ、あたたかい目で見守ることもあるかもしれない。しかし、実力だけが大学レベルで、年齢は35歳。これまですでに7回テストに落ち続けている。となると、たいていの人はこう思うはずなんです。


「この人、どうかしてるんじゃないか?」


私は栗城さんを批判したいというよりも、とにかくわからないのです。この無謀な挑戦を続けていく先に何があるのか。このあまりにも非生産的な活動を続けていくモチベーションはどこにあるのか。これが成功する見込みのない挑戦であることは、現場を知っている栗城さんなら絶対にわかるはずなのに、なぜ続けるのか。それともそれすらもわからないのか。あるいは、わかっていて登頂するつもりはハナからないのか。そこに至る挑戦の過程そのものがやりたいことになっているのか。もうこれが事業になっているからいまさらやめられないということなのか。……すべてわからない。


さらにわからないのは、ファンの存在です。栗城さんのフェイスブックには応援のコメントが並び、だれもが知っているような大企業がスポンサーについてもいます。彼ら彼女らは、栗城さんに何を見ているのだろうか。


「登頂に成功するかどうかは関係ない。彼のチャレンジ精神に感動するのだ」。これならわかる。しかしそれは、目標を実現するための努力を重ねている日々の姿に感動するというものではないでしょうか。私だって、栗城さんが年間250日山に入って冬の穂高から剱岳までバリバリ登り、エベレストのほかに毎年1、2回はヒマラヤやアラスカ、アンデスなどの山で高所の経験を積み、世界のクライマーと交流してルートの研究を日々行なっていれば、無謀なやつだと思いつつ応援したくもなる(それだけやってもエベレスト西稜ソロには届かないはずですが、気概は感じる)。


こう書くと、「彼はそういう登山界の常識に挑戦しているのだ」という声が聞こえてきそうです。ただ、ヤンキースの4番を目指すなら、野球にすべてを捧げる日々を送っていないと説得力ないでしょ。ふだんはフルタイムのサラリーマンをしていて、ヤンキースの4番と言っても荒唐無稽にしか聞こえないじゃないですか。野球ならすぐわかる理屈が、なぜ登山だとわからないのか。野球だって登山だって、そういうどうしても必要なことって確実にあると思うんですよ。常識を破っていくのはその先にある。


そのようすがまったく見えず、毎年、その時期が来るとトライにだけ出かけている姿は、やっぱりどうしても理解できないのです。不思議で不思議でしょうがない。栗城さんの真の目的はなんなのか。真相を知りたい。本当に、一度その心の底の底を聞いてみたいと思います。





【補足】

書き終わったところで、山岳ガイドの近藤謙司さんがこうツイートしているのを知りました。まさにこれです。




【補足2】

後日、もう少し詳しく書いてみました。

栗城史多という不思議2




26 件のコメント:

  1. 指摘しておきますと6回ではなく7回連続です

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    1. おっとそうでしたか。ありがとうございます。本文修正しておきました。

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    2. 以前だったか、どこかのマルチビジネスに協賛する著名人物の1人に栗城さんの名前が載っており、ドン引きした記憶があります。

      マルチに名前載せてまでやる挑戦に価値なんて見出して欲しくないですねー(棒

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  2. 服部さんはk2に登頂成功してるので言っても良いと思います。

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  3. まさに、そういった否定の壁に挑戦しているようですね。
    そしてそれを見せることで、同じように否定という壁を乗り越えながら夢や目標に向けて頑張っている人を、応援しようとしているのだと思います。

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    1. その事も書いてありますよ。ちゃんと読んでます?壁を越えようとしてる人は、それなりの努力なりしてるけど、壁越えたいなぁ、エイ!ちょんちょん、とジャンプしてダメだぁとなったらまた次回、特に練習や目標を立てず同じ小さいジャンプで壁を越えようとして見える、って事でしょ、常識を壊したい人はいままでの、常識というやり方だけ違うだけで、努力や研究は同じか、それ以上してますよ。

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  4. 通りすがりの山好きオヤジです。
    わたしは栗城さんの取り組みは登山ではなく興行と思っています。挑戦する姿を見せてファンが喜ぶ、それ自体に何の文句もありません。

    ただし先鋭登山の体だけ拝借して「無酸素単独」はダメでしょう。遭難してもどこからかシェルパが現れて救助してくれる、それのどこが単独なのか。
    デタラメな登山計画は置いといても、単独は彼が使って許される言葉ではない。この点を糾弾すべきなのは山岳関係者やメディアなんじゃないかなぁ、と思っていました。
    声を上げてくれたことに感謝します。モヤモヤが少し晴れました。

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  5. 批判してる輩も、賛同してる輩も、山に登らない人から見ると変わらない…
    そんなに否定するなら本人に直接言えばええのに、なぜ言わない?
    この筆者も含め、肯定も否定も大して面識無い人が殆どだろうに…
    終いには、山に登らない奴が何を?!とか言うんだろな(笑)
    山に登る奴は面倒だなってなるのに、分からないだろうな。

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  6. 8:30投稿の匿名さんはご存知ないようですが、栗城さんのFBには、多数の意見が投稿されていますよ。
    とても多くの方が直接本人に言っているようです。

    一部に誹謗中傷の物もありますが、殆どがまっとうで論理的な物でしたが、殆どが削除されました。
    栗城さん側が削除&アクセスブロックをしているようです。

    私は昔賛同者で、講演会に参加し、著書も購入しました。
    ですが、「無酸素単独」が「嘘」であることと、「まっとうな意見まで削除&ブロックしてしまう態度」に失望し、ファンをやめました。

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  7. 去年かいつか、指を9本失ったとテレビで見ました。
    詐欺的興行で自分の指を9本も捧げられるとはもしかすると本物の○カなんじゃないのかと思います。もしくは「指を犠牲にすれば感動秘話が1つ増える=お金増える!」とでも思ったんですかね。

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  8. とても不思議なことに、
    栗城への賛辞や応援の声は、スポンサーページを除くと、栗城のブログやFBのみ。しかも全て匿名。

    逆に、栗城へのバッシングや批判は
    個人のブログや掲示板はもちろん、ありとあらゆる媒体に書いてあり
    しかもツイッターやFBなど多くは実名で書かれています…

    これまで明らかになっている栗城サイドが主導したWikipediaへの悪質な工作や掲示板の荒らし行為、ステマや自演、様々なことを考慮すると、賛辞や応援は栗城サイドの自演と考えた方が適切な気がしますね……

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  9. 無酸素って本当にキツいですよ。それを何回か繰り返した栗城さんが大学レベル?ちなみに服部さんは無酸素未経験でしたね(笑)ちなみにあなたはヒマラヤすら登ったことがない(笑)評論家ばっかり。

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    1. 酸素が必要な高度まで達した事ないんだけど?@栗城w

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    2. ナイスギャグセンス
      クリボーは入り口オナニーしかしてないだろうがよ

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  10. K2?天気が良くて、酸素使えば誰でも登れるわ(笑)体力的にも技術的にも。服部だ?笑わせんな!!!

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    1. K2を誰でも登れるとは思えませんが・・・
      服部氏は栗城氏では不可能であろう冬季3スラ登攀など国内の登攀記録もあります。
      参考までに両氏のフルマラソン42.195kmのタイム比較
      服部文祥3時間23分6秒
      栗城史多6時間38分9秒

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  11. 赤岩って4級だよ?週末ハイカーの夏山レベルで登山家と言うのもダメだと思います。

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  12. お前もヒラマヤ登ってからものいえ。

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  13. 「そして、何よりも心が進まないのは600mのロープを張ってもそれは回収することはできない。つまり600mのロープと29本のアイススクリューを残置したまま帰ることになる。まるでエベレストにホッチキスを打つかのように。」栗城君、批判するのに赤岩のハンガーボルトは使うんだね?

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  14. 井の中の蛙、大海を知らず。せめてテント泊くらいしてから、ものいえ。

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  15. >お前もヒラマヤ登ってからものいえ。
    >井の中の蛙、大海を知らず。せめてテント泊くらいしてから、ものいえ。

    人様のブログに、非常識なコメントする者が居ますね。
    恥ずかしい事だとは、思わないのでしょうか????

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  16. 今、改めて読むと重く感じます。

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  17. 最悪の形で”終わり”を迎えましたね・・・・
    本人の”登山ビジネス”を支えた支援者やスポンサーたちが殺したようなもんだと思ってます

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  18. 本日2018-5-21亡くなりましたが、金の為だったのでしょう。最初から登頂しようとする気など更々なく常に下山の理由作りの為に出来もしない課題を掲げた栗城流ビジネスモデルだっのでしょう。実力がない彼を持ち上げた人たちの責任も重大でしょう。

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  19. 本人がなんの為にやってたかは結局他人にはわからないことだから何も言いたくないけど、商売のネタにしてきた人達にとっては、死んだら死んだで追悼本やら映画化やらでおいしんだろうな。

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  20. 富士山しか登った事ない私ですが、やはりプロの方達の意見は的を得ていて、今回の挑戦が如何に無謀だったのかを知りました。栗城君を嫌いない訳ではないので、今となっては違う形の挑戦の仕方をして欲しかったと思います。ご冥福をお祈り申し上げます。

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