内定が出たことで緊張が解けやや冷静になると、これまで感じなかった不安を感じることも少なくないだろう。
不安を感じること自体は決して悪いことではない。
これまでと全く違う環境を前に慎重になることはごく当然のことなのだ。
しかしその慎重さから迷いが強くなり過ぎることは好ましくない。
せっかくの冷静さ、慎重さを失わないように、考え、納得して、自分自身で決断して欲しい。
そこで冷静に判断するための心構えと、判断の指標となるツールを紹介したい。
これまで自身の転職経験と、人事担当者として多くの応募者をフォローしてきた経験から詳しく解説していこう。
最後まで読んで、自分自身の判断で大切な一歩を踏み出して欲しい。
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合格した企業に本当に入社して良いのか判断する前に考えること
選考に合格した企業に本当に入社して良いのか、いざとなると迷うという人は多い。
こうした時は判断するまえに一旦立ち止まってと考えてみることだ。
時には勢いも大切だが、やはり自分で考え、自分で答えを出すことは後悔の少ない決断には必要なのだ。
合格の後で陥りやすい迷い
なにも迷うのはあなただけではない。
他の人もやはり、あなたと似たような不安や迷いを抱くということを知っておいて欲しい。
例えば次のような迷いは合格の後で転職希望者が陥りやすい迷いや不安だ。
- 採用のために条件を妥協し過ぎてしまっているのではないか
- 同僚や上司と折り合いが悪いといったことはないだろうか
- 求人票や面接の話と実態が違っているということは起きないだろうか
- 総合的に見れば現在の職場の方が良いのではないか
こうした迷いや不安は転職先がどのような会社であってもまず感じることだ。
やはり現在の職場に留まるべきか、転職に踏み切るべきか、転職が現実のものとなったからこそ迷うのだ。
わたしも数回の転職を経験したが、そのたびに不安や迷いを感じた。
繰り返しになるが迷いや不安は誰にも生じることなのだ。
まずはその迷いが悪いことや異常なことではない、という事を知って安心して欲しい。
最後に決めるのは自分自身
家族や友人に相談して判断するという人もいるが、結局最終的に決断するのは自分自身だ。
不安や迷いがある時に周囲の人にアドバイスを求めるというのも良い方法のひとつではある。
自分では気が付くことの出来ないことや成功体験、失敗談を聞くこともできるかもしれない。
しかしよくあるケースとして、自分が不安に思っている点に同意してもらうことで安心してしまうこともある。
簡単に言うと、あなたが持っている不安に対して「やっぱりそうか」と思うことができて安心してしまうような場合だ。
人任せは確かに気が楽だが絶対におススメ出来ない。
アドバイスも心に留めておきながらやはり自分自身で納得して、自分で決断することが転職成功には不可欠なのだ。
転職するべきか判断する点数表
自分自身でも客観的な判断を下すために役に立つ、点数表を紹介しよう。
感情や雰囲気でなく、この表から転職するべきか否か、合格した会社で良かったのか、判断の助けにして欲しい。
転職理由から自分の転職の課題を見出す
自分が転職に対してどのような課題を持って臨んでいるのかを客観的に見るには、転職理由から考えるのが良い。
一般的に多い転職する理由は下記の通りになっている(大手リクナビネクスト)。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)※リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」より
客観的な判断のために点数表にして評価してみる
これらの転職理由から課題を並べ、自分の置かれている状況を点数表で見てみよう。
自分で考え、自分で評価した点数表からは、客観的な判断材料が見いだせるはずだ。
確認項目 | 重み | 点数 | 重み考慮点数 | ||
---|---|---|---|---|---|
今の職場 | 転職先 | 今の職場 | 転職先 | ||
上司・経営者の仕事 | 1 | 3 | 3 | 3 | 3 |
労働時間・環境 | 3 | 2 | 4 | 6 | 12 |
同僚など人間関係 | 3 | 4 | 3 | 12 | 9 |
給与・手当 | 2 | 2 | 4 | 4 | 8 |
仕事内容の面白さ | 3 | 3 | 4 | 9 | 12 |
社長がワンマンか | 1 | 2 | 3 | 2 | 3 |
社風が合うか | 2 | 3 | 3 | 6 | 6 |
会社方針や経営状況 | 1 | 2 | 3 | 2 | 3 |
キャリアアップできるか | 2 | 1 | 2 | 2 | 4 |
昇進や評価 | 3 | 1 | 3 | 3 | 9 |
点数表の使い方
- まずあなたの思う優先順位、重要度を3段階で「重み」に入力
- 今の職場と転職先の評価点を5段階で評価する
- 評価は直感的に入力する
- [1]不満
- [2]不満を感じる
- [3]分からない、どちらともいえない
- [4]まあまあ満足
- [5]満足
- 重み評価点は「重み×評価点」となる。
このように点数にして並べてみると改めて次のようなことが分かる。
- 自分が何を重視しているか
- 転職で解決したかった課題がクリアできそうか
- 転職で得られること、転職先で注意すべきこと
例で見ると、労働時間や待遇面では改善が期待できるが、人間関係においては自身の努力が必要だ、という見方が出来る。
漠然とした不安や悩みはこれでかなり前向きに考えることが出来るだろう。
一度決めたら基本的に迷わないようにする
現職に残るか、内定を受けて転職するか、どちらを選んだとしても自分で決めたならもう迷わないことだ。
決断してなお「せっかく合格したのに」「やっぱり現職の方が」などと迷っているとする。
それでもやはり自分が決めたどちらかの職場で働くことに変わりはないのだ。
迷った気持ちのまま働いても良い仕事はできない。
当然良い結果にはつながりにくいはずだ。
職場を決めると同時に「覚悟」を決める
現職と転職先どちらで働くべきかは、自分自身で考えて、決断したはずだ。
考えて決めたのであれば、あとは覚悟を決めることが大切だ。
覚悟を決める、とは次の2つの心構えを持つことだ。
- 良いことも、悪いことも、自分ならなんとかできると信じること
- 不安材料は自分の努力や対応策で解決しようとすること
迷いを断ち切ってより良い仕事をするためにはこの2つが必要なのだ。
覚悟を行動で示すと成功しやすい
現職に残ったとしても、転職先であっても、この覚悟を決めた人の方が成功しやすい。
さらに言えばその覚悟を行動で示す人は成功できる可能性は高いといえるだろう。
紹介した点数表で客観的にあなたの思う重要度や不安を見出すことが出来たはずだ。
その不満に対して対策を考えて、実践することが大切なのだ。
例えば職場でのキャリアアップに不安がある職場で働くことを覚悟したとしよう。
不安に思うのなら社外のセミナーを受講したり、資格取得を目指したり、自身のスキルアップのための行動を取るのが良い。
言うまでもなくそういう行動が自分自身のキャリアアップにつながりやすい。
「覚悟を決める」とは決して単なる精神論ではなく、具体的な行動をもって対処しようとする、ということなのだ。
判断・決意・覚悟がビジネスでは大事
ここまで現職に留まるか、転職するかという迷いについて説明してきた。
しかし転職のシーンに限らず、ビジネスでは判断・決意・覚悟が重要だ。
ビジネスにおいてこれらはあなたの資質になる。
- 判断・・・客観的事実から良し悪しや状況、出来る・出来ないを知る
- 決意・・・判断から導き出された結果から行動を決める
- 覚悟・・・良いことも悪いことも自分の責任で対処することを決める
また、これらは無制限に時間をかけて良い訳ではない。
転職では転職エージェントや転職先が内定を提示し、あなたの諾否の回答を待っているのだ。
このような時にじっくり考えたいからといって時間をかけすぎることはオススメしない。
判断、決意、覚悟のプロセスをいかに短時間で正確に乗り切って答えを出すことが出来るか。
合格を出してくれた相手方に対して真摯に、迅速な回答が出来るか。
そこにはあなたのビジネスの資質と、誠実さ、信用が問われるのだ。
まとめ
転職が具体的になった時に感じる迷いや不安など、その対処について解説してきた。
用意した点数表を活用しながらこれまでのおさらいをしていこう。
合格の後で迷うのはあなただけではない
次のような迷いや不安は合格の後で転職希望者が陥りやすい。
- 採用のために条件を妥協し過ぎてしまっているのではないか
- 同僚や上司と折り合いが悪いといったことはないだろうか
- 求人票や面接の話と実態が違っているということは起きないだろうか
- 総合的に見れば現在の職場の方が良いのではないか
最後に決めるのは自分自身
- 誰でも、何度転職しても迷いや不安はある
- 他人のアドバイス任せにして安心してしまうことは避けた方が良い
- 自分自身で納得して、自分で決断することが大切
点数表の評価から客観的に判断する
- 転職理由(課題)と転職先(解決)を点数で比較する
- 今回の転職によって課題が解決できるかが客観的に見える
- その上で今回の転職に納得できるかどうかを自分で判断する
一度決めたら基本的に迷わないようにする
迷わないためには「覚悟」を決めるということだ。
- 判断・・・客観的事実から良し悪しや状況、出来る・出来ないを知る
- 決意・・・判断から導き出された結果から行動を決める
- 覚悟・・・良いことも悪いことも自分の責任で対処することを決める
ビジネススキルにも通じるこれらの過程を、限られた時間の中で行う。
大切なのは一般論や他人の意見ではない。
あなた自身が自分で決め、決めたからには行動に移すという、一連のプロセスだ。
迷った時こそ本来の仕事に対する姿勢や資質が問われる、といってもいいだろう。
迷うことを悪いことと考えず、試金石と考えてこの方法を試してみて欲しい。
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