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福地鶏、卵の売り上げ順調 県開発の品種

県が開発した「福地鶏」=坂井市の県畜産試験場で(県提供)

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 県が開発した卵肉兼用種の福地鶏が、順調な滑り出しを見せている。スタートした昨年度は、農家に供給するひなが予定より六百羽多い三千羽となり、卵の年間売り上げは想定の二倍近い千二百万円超に達した。本年度は五月下旬から肉の出荷も始まり、県はさらなるブランド化を目指す。 

 福地鶏は、福井市の農家上道正冨さん(90)が品種改良した産卵能力が高い「ウエミチレッド」の雄に、肉質が良い「岡崎おうはん」の雌を掛け合わせた。卵は黄身が大きく、直売所などでの価格は一般的な鶏卵の二倍に当たる一個五十円。肉は適度な歯応えがあり、ジューシーなのが特長。

 県生産振興課によると、ご当地ブランドという安全・安心と、上質の味が消費者の心をつかんだ。特に卵かけご飯などが好評で、菓子店からの引き合いも相次ぐ。昨年度末の時点でひな三千羽を農家に供給。卵は昨年六月から量販店など県内四十九店舗で販売・提供され、年間売り上げは千二百五十二万円だった。

 一般的なブロイラーは生後七百~八百日まで産卵が見込めるが、福地鶏は肉質が良い五百日までに出荷する方針。本年度は昨年度に卵を産ませた三千羽のうち、二千五百羽が福井市中心部の料理店十店舗ほどに出荷、炭火焼きなどで提供される。

 価格は一般的な材料を使うメニューに比べて二~三倍になる見込み。鶏料理専門店からは「今まで食べた鶏肉で一番味がある」との評価が寄せられている。数量に限りがあるため、量販店などでの販売はない。

 県は本年度、福地鶏の肉も含めた販売目標額を初年度実績の倍に当たる二千四百万円に設定した。同課の担当者は「付加価値をもう一つ備え、農家も飲食店も潤うブランドに育てたい」と話す。県は本年度、県畜産試験場を改修予定で、来年度からはひな五千羽を供給できる体制が整う。

 (山本洋児)

 

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