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米オラクル(Oracle)はこれまで、Java開発実行環境「Java SE」(Java Platform, Standard Edition)を無償で提供してきた。ところが、2018年9月からは有償版しかなくなるのをご存じだろうか。
オラクルが現行の最新バージョンである「Java SE 10」をリリースしたのは2018年3月。ローカル変数の型を指定せずに済む型推論などの機能を備えているのが特徴だ。
そしてJava SE 10は、「オラクルが提供する最後の無償版Java SE」でもある。9月にリリースする次期バージョンのJava SE 11からは有償版だけになる。
バージョンアップの方針を大幅変更
オラクルは、Java SEの有償化の方針を2017年に公表した。同時に打ち出したのが、Java SEのリリースサイクルの変更だ。リリースサイクルに対しては企業ユーザーの関心が高い。日本IBM クラウドソフトウェア第1テクニカルセールスの上野亜紀子部長は「(同社のアプリケーションサーバー製品のユーザーからは)Javaのリリースサイクルの変更の問い合わせが多い」と打ち明ける。ここから説明していこう。
まず、従来のバージョンのリリースサイクルを振り返っておく。Java SE 6のリリースは2006年12月、Java SE 7のリリースは2011年7月、Java SE 8のリリースは2014年3月、Java SE 9のリリースは2017年9月だった。6と7の間は4年7カ月、7と8の間は2年8カ月、8と9の間は3年6カ月である。
オラクルは、本来は2年に1回のバージョンアップを目標としていた。ところがJava SE 7は2年7カ月、Java SE 8は8カ月、Java SE 9は1年6カ月、このスケジュールから遅れている。日本のJavaコミュニティで有名な櫻庭祐一氏も「8も9もずるずる遅れた」との印象を持っているという。
日本オラクル Java Global Business Unit セールスコンサルティングの宇野浩司ディレクターは「提供すべき機能がたまっているのに、スケジュールが安定しなかった」と語る。一方、他のプログラミング言語では半年から1年に1回の定期リリースが主流になっていた。
そこで、Java SEも6カ月に1回、必ずバージョンアップするサイクルに改めた。これにより、Java SE 9のリリースである2017年9月から6カ月後の2018年3月にJava SE 10がリリースされたのだ。
このような半年ごとのバージョンアップにはメリットが多いという。オラクルでJava SEのリリースサイクルを管理しているジョージ・サーブ副社長は「技術革新の速度を高められるだけでなく、安定性も高められる」と自信を見せる。