安倍政権が来週にも衆議院厚生労働委員会で強行採決を狙っている「働き方改革一括法案」。なかでも高度プロフェッショナル制度は労働基準法が定める1日8時間、週40時間などの労働時間規制を適用除外にするもので「 #高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制」です。
高プロは「健康確保措置」として義務化する年104日(祝日除く週平均2日)と有給休暇5日付与の休日以外は、休憩なしの24時間労働が合法になります。
しかも、この「健康確保措置」をきちんとやっているかどうかは、企業が高プロ導入の半年後、労働基準監督署にたった1回だけ報告する義務があるだけです。ブラック企業をなくすためにある労働基準監督署も高プロの長時間労働を取り締まることはできません。高プロは「過労死合法化」であり、「ブラック企業合法化」でもあるのです。
企業が労働基準法を違反してでも「残業代ゼロ」で「働かせ放題」にすることは、労働基準監督署が毎年発表している「監督指導による賃金不払残業の是正結果」を見れば明らかです。直近の2016年度で、労働基準法違反による賃金不払残業の是正企業数は1,349企業、支払われた割増賃金合計額127億2,327万円にも上るのです。労働基準監督署に取り締まられてやっと労働基準法を渋々守る企業が、高プロ導入の半年後に1回だけ報告する「健康確保措置」をきちんと守る企業ばかりだと考える方がどうかしているでしょう。
こんな高プロがもたらすものは地獄絵図ですが、いくつか簡単なバナーをつくってみました。
まず、高プロで企業ができようになることです。
高プロの「健康確保措置」として法案で「1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えること」としているのですが、これでは4週間の最初にまとめて4日の休日を与えれば、残りの24日間は休日も休憩も与えずに1日24時間働かせることが可能です。さらに続く4週間について最後にまとめて4日の休日を与えれば48日間連続して1日24時間働かせることが可能になり、連続1,152時間の労働を強制することも合法になります。
高プロは、年104日の休日(祝日除く週平均2日)と有給休暇5日付与すれば、あとは休憩なしの24時間労働が合法になります。365日-104日-5日=256日。256日×24時間=年6,144時間が合法になり、これは現在のフルタイム労働者の年2,025時間の3倍以上です。(※厚生労働省「毎月勤労統計調査」の一般労働者の2017年の年間実労働時間)
高プロには、労働者の裁量性は一切ありません。労働者は企業の指揮命令に完全に服することになります。休日も始業時間も終業時間も所定労働時間も残業も企業が何の規制もなく自由に一方的に決めることができます。
それから、高プロは「実は年収357万円くらいの労働者にも、やりようによっては適用できちゃう」ことを佐々木亮弁護士がYahoo!ニュース「高プロ制度は地獄の入り口 ~ High-pro systm is the gate to hell~」で指摘しています。
それでは次に、こうした高プロでどうなるでしょうか? これについてもいくつかのバナーをつくってみました。
高プロは現在のフルタイム労働者の3倍以上の年6,144時間が合法になりますから、ただでさえ長時間労働が増えている日本でさらに長時間労働が激増することになります。
そして、史上最高を更新中の過労死・過労自殺で命と健康を奪われる労働者がさらに激増することになります。とりわけ、高プロは労働者に裁量性が一切なく他律性のなか企業の指揮命令に完全に服することから過労による精神障害、過労自殺はさらに激増することになります。
今でも日本の男性の労働時間はフランスの2倍以上で、男性の家事労働時間は世界一短いのですが、高プロの長時間労働激増によって、家事労働時間はさらに短くなります。家事労働時間を確保できないということは家族責任を果たすことができないということですから必然的に子育ても困難になり少子化を招くことになります。安倍首相は少子化を「国難」と言っていますが、その「国難」をさらに深刻化させようとしているのは安倍政権です。
「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は俺たちの好きなことのために」を目標にメーデーは行われてきたのですが、長時間労働が蔓延している日本では8時間の睡眠を確保できず、OECD平均の睡眠時間8時間25分より1時間以上も少ない7時間22分です。今よりさらに長時間労働を激増させる高プロが導入されると今でも世界でいちばん短い睡眠時間がさらに短くなってしまいます。
日本は睡眠時間も確保できないので当然ですが余暇時間も確保できていません。そもそも消費する時間も確保できないのです。他律的な長時間労働でクリエイティブな仕事ができないことも自明で日本の産業競争力もさらに低下することになりますが、一方で消費者でもある労働者に睡眠時間も家事労働時間も消費する時間もないとなるとGDPの6割を占める個人消費が落ち込み、日本経済がさらに疲弊することになります。
安倍首相が言う少子化という「国難」をさらに深刻化させ、日本経済を一層疲弊させることになる高度プロフェッショナル制度は今すぐ廃案にする必要があります。高度プロフェッショナル制度の廃案を求める署名にぜひご協力ください。【→★#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!】
(井上伸)