宇宙戦艦ヤマト2202:艦隊戦を魅せる技 ヤマトの巨大感を強調 プロデューサーに聞く
アニメ人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の最新作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第5章「煉獄(れんごく)篇」が25日、公開される。「蒼穹のファフナー」などの羽原信義さんが監督、「亡国のイージス」「機動戦士ガンダムUC」の福井晴敏さんがシリーズ構成と脚本を担当するなど豪華スタッフが集結した大作。迫力のある艦隊戦、人間ドラマなど見どころ満載だ。アニメを製作するXEBEC(ジーベック)の小松紘起プロデューサーに、製作の裏側を聞いた。
◇ヤマトのサイズを3倍に 描くのが難しいキャラは…
「宇宙戦艦ヤマト2202」は、2012年放送の「宇宙戦艦ヤマト2199」の続編で、1978年に公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」がモチーフ。全7章。
小松プロデューサーは、ここまでアニメを製作してきて「まだ2章分残っていますが、やっとここまできた。最初は手探りでしたが、軌道に乗ってきた。最初は分からないなりに必死で、苦しい局面もありました。3Dの作業が慣れてきたところもあります。そこでの苦労は減りました。例えば、爆発シーンも3Dで処理しているのですが、パターンができてくる。引き出しが増えてきました。ただ、毎章、新しい試みもあります」と振り返る。
「ヤマト2202」の見どころの一つは、派手な艦隊戦だ。ヤマトは全長333メートルの巨大戦艦で、いかに迫力のある映像を見せるかが腕の見せどころ。「大きな艦隊なのでサイズ感、巨大感を見せられるようにしているます。3Dでヤマトを作っていると、カットによってはそこまで大きく見えない。大きさを3倍にしたシーンもあります。動くスピードも大事。速すぎると、軽く、小さく見えるので、遅くすることもあります」と明かす。ヤマトの巨大さを強調しているようだ。
「前半はデスラーの話がメインになってくる。苦労しましたが、格好良く描けていると思います。後半は迫力のある艦隊戦もあります」と自信を見せる。艦隊戦などスタッフの技に注目して見ると、より楽しめそうだ。
古代進や森雪ら、おなじみのキャラクターを描く際にも苦労がある。「作画監督によって、得意なキャラ、不得意なキャラがある。古代、森雪、デスラーが特に難しいんですよ。難しいポイントは、それぞれ描く人によって違うようですが。ほかの作品に比べると線が多く、描ける人は限定されるんです。設定も多く、理解するのに時間がかかる。コンテが上がってきたら、調整に時間をかけています」と話す。
◇羽原監督はみんなの意見を聞くことを諦めない
「ヤマト2202」は、羽原監督、シリーズ構成、脚本の福井さんに加え、「ドラゴンズヘブン」などの小林誠さんが副監督を務めるなど豪華スタッフが集結した。小松プロデューサーは「羽原さんは、みんなの意見を聞くといいものができると信じている。小林さん、福井さんの意見を取り入れていきます。みんなの意見をまとめるのは難しいのですが、それを諦めない。小林さんは独創的で、思いもしなかった方法で解決できることがあります。いろいろな意見が出て、最初はヒヤヒヤしましたが、最近は(空気を)読めるようになってきましたね」と語る。
「ヤマト」は大作だが、「最初は不安ばかりでしたが、すごくいい経験ですね。今後の糧になると思います。やれたことが良かった。まだ終わっていませんが(笑い)」と手応えを感じている様子だ。