2017.4.16 (日) 07:00
アメリカでは、シアトルに今年オープン予定の、レジなし無人コンビニ「Amazon Go(アマゾンゴー)」が話題になっているが、ニューヨークでも昨年暮れから今年初めにかけて、無人ファストフード2店が連続オープンし、ランチタイムを中心ににぎわいを見せている。
店の名前は「eatsa(イーツァ)」。サンフランシスコ発で、2015年に第1号店がオープンするや否や「未来のレストラン」として話題をかっさらった。
ニューヨークの3アベニュー店。
アメリカの大都市圏を中心に高まっている健康志向に合わせ、同店では栄養価の高いスーパーフードとして知られるボリビア産キヌアをベースに、近郊農家でとれたたっぷりの新鮮野菜など、オールベジタリアンのサラダボウルを提供している。コンポスト用の容器を利用するなど、健康と環境に配慮していることも注目されている。
人がいないのに注文は?支払いは? やり方はいたって簡単だ。ズラリと並ぶタブレットのオーダースクリーンでまずはクレジットカードをスワイプし、スクリーン上でキヌアや野菜の種類を選んでいく。自分好みにカスタムメイドできる「ビルド・ユア・オウン」用に食材は全部で78種類あり、固定メニューも10種類用意されている(固定ボウルは、すべて6.95ドル)。
ニューヨークの3アベニュー店。現在は西海岸と東海岸で全7店舗を展開中。
イタリア、中近東、ハワイ、アジア、日本など味のテーマもさまざま。好きなものを選んだら、最後に「オーダー完了」をセレクト。2~3分で奥のガラスケースにオーダーしたものが入れられる。自分の名前が表示された扉を指で2回軽くたたくと扉が開き、商品が受け取れる仕組みだ。
中身の見えるコインロッカーのようなガラスケース。ここで商品を受け取る。
注文用のオーダースクリーン。タブレット上で選んでいく(各メニューに、カロリーやたんぱく質、糖質、脂質などの栄養素表示付き)。
ボウルは新鮮で、一度で食べられないほどボリュームたっぷり。味も濃すぎず薄すぎず、申し分なし。スピードが命のランチタイムは、周囲のビジネスマンで混雑するほどだったが、どの顧客も長蛇の列に並ぶことなく、すぐに商品を受け取れて満足そうだった。
メキシコのブリトーがテーマの「Burrito Bowl(ブリトーボウル)」(6.95ドル)。どのボウルも600キロカロリー以下と、かなりヘルシー。
ちなみに「無人店」と言えども、全く店員がいないわけではない。オーダーに手間取ったり、どれを注文するか迷っていると、店員がやって来て気軽にアドバイスしてくれる。そして気になる調理場だが、調理をしているのはロボットではなく人間だそうだ。
実は お店の人、います。
ちなみにアプリを使って事前にオーダーすれば、指定した時間に商品がガラスケースに入れられる。もっと時間短縮したい場合は、アプリ利用が良さそう。
アメリカの大都市圏では、マズい、健康に悪い、遅い、料金が高い…と数々のレッテルを貼られることもあるファストフードだが、イーツァのような安くておいしく、よりスピーディーでより健康的で、環境に優しいコンセプトのファストフード店が今後増えていくだろう。アメリカの都市圏を訪れる機会があれば、ぜひイーツァを訪れ、未来のファストフード店を実感してみてほしい。
(文・写真:安部かすみ fromニューヨーク)
■取材国:アメリカ
安部かすみ(あべ・かすみ)
2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。
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