5月18日(金)の日経新聞夕刊に
「YouTubeやインスタ『簡単に稼げる』にご用心」
という記事が載っていた。
世間は副業ブームである。
今までの「副業禁止」の流れから一転して、政府が主導して副業を後押ししようとしている。
そのような流れの中で、「簡単に稼げる」と謳う業者が増えているようだ。
30万円超の教材を購入し、
「コピペで稼げる」
を信じたものの、結果はふるわず。
お金だけ取られて何も得るものがない、という被害が相次いている。
各地の消費者センターには17年6月〜18年3月の間に計99人からの相談があったという。
副業ブームが加速する裏で、
「もっと楽して稼ぎたい」
というある種人間の本能的な部分につけ込んで、高額な情報商材を売る業者が増えているのだ。
断言してもいいが、一部の例外を除いて、
楽して稼げる
はありえない。
楽して稼いでいるように見える人のほとんどは、それまでに多くの努力を積み重ねてきて、お金が回る仕組みを作ってきた人だ。
何も持たない人が「楽して儲ける」という言葉に釣られても、それは他人が楽して儲けるための養分にしかならないだろう。
このような「楽して儲ける」話を見聞きするたびに、自分の大学時代を思い出してしまう。
僕自身、「楽して儲ける」に踊らされて損してきた人間なのだ。
* * *
大学時代前半。
大学の授業に出るよりもパチンコ屋にいる時間の方が圧倒的に長かった。
騒音と煙草の煙の中で、僕は一日中スロットを打っていた。
稼ぎは月に15万。
学生としてはかなり儲けていた方だと思う。
毎晩必ず「下見」に出かけ、翌日に出る台の目星をつける。
そして翌朝7時半から1番前に並び、狙った台を打つ。
それを毎日繰り返す。
スロットに関しては誰よりも誠実で、誰よりも勤勉だったといえるだろう。
僕はスロッターではあったが、ギャンブラーではなかった。
お金を投じる前に必ず期待値を計算し、期待値がプラスになる台だけを打った。
全然楽しくなかった。
ギャンブルじゃなくて、仕事だったから。
期待値がプラスになる台を見つけ、機械的に回していく。
どんなに勝っても感情が動かなくなった。
スロットで勝つたびに仲間を呼んで大盤振る舞いしていたから、全く貯金は貯まらなかったけれど、それでも100万円の貯金ができた。
その貯金で僕はさらなる賭けに出る。
デイトレードを始めたのだ。
その頃、本屋には「デイトレードで1億円」みたいな並んでいて、
スロットで勝てた自分はきっと、デイトレードでも勝てるに違いない
と考えた。
チャートを読めば勝てる!
みたいな言葉を信じて、ろくに勉強もせずにとりあえず株を買い、なんと!
1ヶ月で50万を失った。
適当に投信を買って放置してもこんなには無くならない。
僕はデイトレーダーとなって毎日数十回の取引を繰り返し、そして株を買うたびにカモられていったのである。
その翌月には50万が30万になった。
あっという間に全財産の70%を失ったのである。
これが学生のうちでよかった。
大人になってからカモられたら、1,000万が300万になっていたかもしれない。
たしかに世の中には楽して儲けているように見える人もいる。
一日の労働時間が2時間で年収は2000万みたいな人もいる。
そういう人は、仕組みを作ってきた人だ。
そして、僕が知る限り全ての人は、
「黙っていてもお金が入る仕組み」
を作るまでに相当の努力をしている。
1年半、土日を全て潰して不動産のリフォームに取り組んできた人がいた。
半年間、1.5時間睡眠でアフィリエイトサイトを作り続けてきた人がいた。
イケダハヤトさんもVoicyで
「片手間で250時間かけたくらいでブログの収益が上がるわけがない」
と語っている。
いま、楽しそうに、自由な時間を謳歌しながらお金を稼いでいる人は、
「それまでの人生でリスクを取ってきた人」
か、
「圧倒的に努力してきた人」
のどちらかである場合がほとんどだ。
いずれにしても、普通の人と違うことをやってきて、その積み重ねの先に「楽そうな姿」があるのである。
それを知らずに
「【100部限定】確実に儲かる!あなただけに届ける10のマーケティング手法」
みたいな情報商材に踊らされてはいけないのだ。
さて、そんな感じで、基本的に「楽な儲け話」などないんだけど、それでも比較的楽に稼げる確率が高いビジネスはある(と思う)
- 心理的な参入障壁が高いビジネス
- コンプレックス刺激ビジネス or 不安救済ビジネス
- 規制に守られているビジネス
- 先行者利益を享受できたビジネス
である。
心理的な参入障壁が高いビジネスとは、言うまでもなく夜系のお仕事である。
「パパ活」や「闇金ウシジマくん」のような、倫理的に微妙なラインの仕事も含まれる。
大企業が参入しづらく、育ちの良い高学歴ビジネスマンが近づこうとしないこれらのビジネスは、
「世間体」
が大きな参入障壁となってビジネスを守ってくれる。
個人としてビジネスを仕掛けるならこの辺にはけっこうチャンスが転がっているように感じている。
コンプレックスビジネスは
- 非モテ
- ダイエット
- 英語力
- 受験
- 就活
- 転職
など、人がコンプレックスを持っている部分を上手にすくってあげるビジネスは大きなお金が入ってきやすい。
受験や就活は不安救済型のビジネスだ。
上記のコンプレックスビジネスが扱うテーマは
- 能力を上げるために地道な努力が必要なもの(例:英語、ダイエット)
- 正解がわからないもの(例:就活、転職、恋愛)
である。
地道な努力を続けられない人は英語の教材に食いついてしまうし、ジムに行かずにダイエットサプリに踊らされてしまう。
みんな必死だからだ。
モテに関しては「こうすればいい」という正解がない。
だから、正解を知ってそうな人にすがりたくなってしまう。
みんな不安だからだ。
このような、必死な人や不安な人はすぐにお金を出すため、そこに情報を投げ込めばお金に変わりやすいというわけだ。
規制産業は飛ばして、先行者利益を享受するビジネスも儲かりやすい。
たとえば、昨年末は仮想通貨アフィリエイトバブルだった。
テレビを見て一般人が「仮想通貨 取引所 おすすめ」と検索し、サイトを通じて仮想通貨の取引所に口座を開設。
口座開設者が増えるたびに、仮想通貨サイト運営者にはアフィリエイト収入がガッポガッポ入ってくる。
ものすごいバブルの様相を呈していた。
この仮想通貨バブルの恩恵を最も享受したのは、仮想通貨が世間一般で流行る前に仮想通貨のアフィリエイトを始めていた人である。
新しいものを早めに始めることで、莫大な先行者利益を得るパターンはけっこう多い。
今では懐かしい話だが、「Google+」というSNSが出始めの頃、iPhoneで撮った写真を載せ続けて21万フォロワーを獲得した女子大生もいた。
今では当たり前になった
「noteで恋愛テクニックを販売する」
手法も、一番最初に販売した方は大きな利益を手に入れたはずだ。
有料メルマガも早くから始めた人はめちゃくちゃ儲かっている
(それまでの積み重ねで「影響力」を持っているのが大前提だけど)
これらのような「スキマ」を狙っていく以外で儲けるためには、やっぱり必死に努力して積み重ねる期間がどうしても必要なんじゃないかな、と思う。
* * *
こうやって積み重ねのことばっかり書くと絶望的な気分になる人もいるかもしれないが、最近うっすらと確信していることがある。
「今から必死に努力すれば、先人たちにもきっと勝てる」
ということだ。
なぜか?
勝ってる人はあんまり働かなくなるからだ。
自動でお金が回る仕組みを作った人のほとんどは、目標を達成して気が抜けるのか、全然働かなくなる。
日々の稼動時間が一気に落ちる。
逆転のチャンスはここにしかないと、僕は思う。
先人たちの気が抜けているところに、圧倒的な時間を投入して攻める。
サボらない。考える。根性出す。続ける。
みたいな。
最後は根性論かよーーーとズッコケてた人、たくさんいると思う。
でもマジで、一回ビジネスを作ることに成功した人たちはみんなすげえ楽しそうで、好きなことやってて、お金もあって、
そしてみんな働かなくなるから。
もうここを刺すしかない。
ウサギとカメの話よ。
カメが勝つには、ウサギが寝ている間にコツコツ進むしかない。
がんばろう。