菅義偉官房長官が19日沖縄県名護市に入り、北部の首長らと面談したが、過去2回来県した際にいずれも意見交換した久辺3区長との会談は設定されなかった。辺野古新基地に近く、国から補助金を直接交付されてきた3区。国と協調路線の渡具知武豊市長のもと、市への米軍再編交付金の交付が再開する一方、本年度分の3区への補助金は未交付のままで、区長らは国の態度を図りかねている。
辺野古、豊原、久志の久辺3区への「再編関連特別地域支援事業補助金」は2015年に創設され、17年度までに計2億2200万円が交付された。菅氏と3区長は15年10月に東京、16年10月と17年12月に名護市で意見交換を重ねてきた。
一方、18年度分は辺野古が公園の遊具、豊原が区民広場、久志が倉庫の整備を要望し、当初予算で1億2千万円が計上されたが、現在まで交付されていない。防衛省は「3区から事業計画が出されていないため」と説明している。
ただ、豊原区の宮城行雄区長によると、沖縄防衛局から、事業計画を提出するよう求められていないという。今回の菅氏の来県についても報道で知ったとし、「区への直接補助金は確保されるのか。不安がないとは言えない」と声を落とす。
辺野古区の嘉陽宗克区長は「(菅氏とは)年末に会ったからそれで十分だ」と冷静な態度。3区長から地域振興の要望を聞く防衛省との懇談会も今年2月から延期が続いていることには「市長が代わって状況も違うから」と淡々と話した。
渡具知氏は今年2月、新基地建設に反対する前職を破って新市長に就任。国は4月、名護市に17年度繰り越し分も含め、米軍再編交付金29億8千万円を支給することを通知した。
19日、北部の首長と菅氏との会談の場。渡具知市長は菅氏に対し、17年度と18年度の再編交付金が交付されることへのお礼を述べ、「公約を実現していく上でさらなる協力をお願いしたい」と要望した。(北部報道部・又吉嘉例)