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【第1838回】 ネットワーク仕事があるかなあ……と思ったら無かったのは良かったが,今日締め切りの書類がまだできてなかったので夜中まで仕事(2018年5月18日)
- 6:10起床。レトルト16穀米ご飯を電子レンジ加熱し,豆腐を載せて梅縮緬ふりかけを掛けたもの+ガゴメ昆布と生食用の刻み昆布と鰹節に熱湯を掛けたスープ+トマト1個で朝食を済ませた。
- 今日は名谷キャンパスへ出勤するが,水曜に途中までやったネットワーク仕事の続きがあるかもしれないなあ。
- 妻からwinmail.datの解凍依頼メールが来たのだが,Winmail Opener 1.6では「ファイル名,ディレクトリ名,またはボリュームラベルの構文が間違っています。」というエラーが出て保存できなかった。winmail.datに含まれているファイルの名前に含まれている濁点や半濁点が別の文字になっていて,Windowsがそれを?として扱うためにワイルドカードになってしまって保存できないという問題と思われた。たしかgmailにはwinmail.datを展開して見せてくれる機能があったと思い出し,WebでGmailにログインしてみたところ,無事に濁点や半濁点がアンダースコアに変換された名前が付いた添付ファイル群が見え,ダウンロードに成功した。一件落着。
- 先週触れた,コクランレビューの論文の件,結局本文はダウンロードできないので読めていないままだが,「深刻な副反応」というのが毎日新聞等の誤訳だとしても,原文abstractに"The risk of serious adverse events is similar between control and HPV vaccines in women of all ages (669 versus 656/10,000, RR 0.98 (0.92 to 1.05), high certainty)."と書いてあり,日本臨床腫瘍研究グループの臨床安全性情報取り扱いガイドラインによると「重篤な有害事象」であるところの"serious adverse events"(下枠内参照。コクランの論文は本文が読めないので何を「重篤な有害事象」としているのか不明だが,そんなに違いはないだろう)
重篤な有害事象または副作用とは、投与量にかかわらず、医薬品が投与された際に生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事のうち、以下のものをいう。
�死に至るもの
�生命を脅かすもの 注) ここでいう「生命を脅かすもの」とは、その事象の発現時点において患者が死の危険にさらされている場合をいい、仮にもっと重度であれば死に至ったかもしれないという意味ではない。
�治療のための入院または入院期間の延長が必要となるもの
�永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの
�先天異常・先天性欠損を来すもの
�その他の医学的に重要な状態と判断される事象または反応
この場合において、直ちに生命を脅かしたり死や入院に至らなくとも、患者を危機にさらすおそれがあったり、または上記の定義に挙げられているような結果に至らないように処置を必要とするような「重要な医学的事象」は重篤であると判断すべきであり、そのような状態か否かについては医学的および科学的根拠に基づいて判断する必要がある。
が,ワクチン接種群だろうと対照(としてワクチンアジュバントまたは別の対照ワクチンを接種した)群だろうと,6.5~6.7%も生じるというのは高すぎると思う。対象者は患者ではなく,健康な若年女性ボランティアであるはずで,接種を受けることに(もしかしたら謝金は受け取っているかもしれないが,少なくとも身体的には)何のメリットもない対照群で,こんなに高い割合で「重篤な有害事象」が生じることが倫理的に許されるとは到底思えない(「観察期間が長いのでこれくらいの数値になります」と平然と書かれている医師? らしきtweetがあって,そこに「いいね」したりRTしている医療関係者が多数いらっしゃるのだが,心底問題ないと思っているとしたら,大変まずい認識だと思う)。参加者のインフォームドコンセントが十分だったかさえ疑問に思う(実際に使うとき,そんな説明をしたら同意するボランティアはいないんじゃなかろうか)。少なくとも,普通の治験なら中止にしなくてはいけないレベルだろう。繰り返すが,研究参加者の多くは健康な若年女性ボランティアであって,患者でもなければ高齢者でもないので,数年間の観察期間があったとしても,こんなに「重篤な有害事象」が生じるのはおかしい。ワクチン接種群と対照群でリスクに差がないという結果で,ともに高リスクなら,「ワクチンが有害事象発生を高めることはない」という推論ではなく,「共通して入っている成分(つまりアジュバント)が有害事象発生リスクを高める可能性がある」と推論する方が論理的帰結ではないか? 「観察期間が長いのでこれくらいの数値になります」を是としている方々にお尋ねしたいのだが,本当に他のワクチンの治験でも「重篤な有害事象」が生じる確率はこんなに高いのですか?
- ちなみに,米国FDAのガーダシル4の認可関係の文書を見ると,7ページから"serious adverse reactions"について書かれているが,"serious systemic adverse reactions"(重篤な全身性の有害反応)を示したのは,ガーダシルを接種した15,706人のうち128例,AAHS(アルミニウム含有アジュバント)プラセボを接種した13,023人と生理食塩水プラセボを接種した594人のうち130例,とされていて,両群とも約1%である。これでも健康な人に打っていることを考えたら高いと思うが,1%と7%の差を,全身性の有害事象に絞ったことと観察期間の差だけに帰するのは,少々無理があるのではないか。この文書にも問題があって,プラセボ群の130例の内訳(どちらのプラセボだったのか)が書かれていない。生理食塩水プラセボを打った群での重篤な全身性の有害反応の数字を明記しておいてくれれば,いろいろな疑問が氷解するのに,残念としかいいようがない(もし130例のすべてがAAHSプラセボ群ならば, prop.test(c(130,0), c(13023, 594))で検定すると5%水準で生理食塩水プラセボと有意な差があるといえるので,AAHSが重篤な有害事象を起こす可能性が示唆されるし,その場合は認可されなかったかもしれない。だから,内訳を書くことには統計的にも大きな意味がある。その場合,ガーダシル接種群と生理食塩水プラセボの比較でもprop.test(c(128,0), c(15706, 594))と5%水準で有意な差が出る)。というか,そもそも2種類のプラセボを用意する理由としては,副反応評価のためにはAAHSプラセボではなくて生理食塩水プラセボを対照として使うため以外の理由は考えられないのだが,なぜそこの情報が記載されていないこの文書にFDAが文句を言わないのかわからない。次の段落に,全員(29,323人)のうちワクチン関連と研究者によって判定されたのは,重篤な全身性の有害作用を示した人の0.04%だったと書かれているが,この0.04%という数字だけ人数が付記されていないのは不思議に思った("of"を普通に解釈するとこう読めるが,もしそういう意味ならこれは悪文で,「全員のうち」よりも,前段を受けて「重篤な全身性の有害反応を示した人(合計258例)のうち」と書いた方が誤解しにくい)。なお,日本のPMDAにあるガーダシルの説明文書には米国FDA文書に載っている「重篤な全身性の有害反応」の数字はなく,「重大な副反応」としていくつかの症状が「頻度不明」で載っているだけであり,接種を受ける人に対する十分な情報提供になっているとはとてもいえない。最新の正確な情報を提供することが何より大事だし,それは提供者側の義務である,というのが,医療法に書かれているインフォームド・コンセントの主旨なので,もし今でもガーダシルの添付文書がこれだとしたらMSDは説明義務を怠っていると言えるのではなかろうか。
- リスク管理の原則では,あるリスクの削減方策を実施する前提の一つとして,その方策が別のより大きなリスクを生まないという条件が満たされねばならないのだが,年齢調整死亡率が10万分の2とかのレベルの死亡を防ぐために100分の7の確率で起こる重篤な有害事象リスクを受け入れろというのは,この原則に反している,というか,あまりにもバカげている。こうまで強引に支持されると,逆に何かあるんじゃないかと勘ぐりたくなってくるほど。
- 教員活動評価の書類という,事務方でほとんどわかるだろうという内容のものを自己申告で作って提出する締め切りが今日だったのを忘れていたので作業中。昨年度学会発表って何やったっけ? 熱帯医学会のシンポジウムだけだっけ?
- ドラゴンズがタイガースに1-2で惜敗して気落ちしつつも作業を続け,書類ができたら22:35だった。外は激しい雨音がしているので,帰らずに仕事を続けるか。明日は保健学同窓会に出席するため東京日帰りしなくてはいけないし。
- せっかく研究室泊まりにしたので,懸案だった書評ページの構造変更と,人口学講義で例示できなかった再生産を完了した女性への既往出生児についての遡及聞き取りデータ(『Rによる統計解析の基礎』の124ページ図12.3に掲載したようなもの)からmhchart()を描く方法についての説明追加などをやってから眠ろう……と思っていたが,後者は手を付けられなかった。新幹線の中でやろう。
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