【格闘技】田口戦、急きょ日本人ジャッジ きょうW世界戦2018年5月20日 紙面から
ボクシングのダブル世界戦(20日、東京・大田区総合体育館)の前日計量が19日、東京都内で行われ、4選手全員がリミットちょうどでクリアした。日本人初の統一王座防衛戦を行うWBA・IBF統一ライトフライ級王者の田口良一(31)=ワタナベ=と、挑戦者のヘッキー・ブドラー(30)=南アフリカ=はともに48・9キロ。IBFミニマム級王者の京口紘人(24)=ワタナベ=と、挑戦者のビンス・パラス(19)=フィリピン=はともに47・6キロだった。また、WBA・IBF統一戦のジャッジ構成が、ブドラーと同じ南アフリカと米国、メキシコだったため、ワタナベジムの申し入れにより、メキシコ人の代わりに日本人を加えることでまとまった。 世界戦10度目。ベテラン王者らしく落ち着いていた田口の表情が曇った。試合を採点するジャッジに、南アフリカのネビル・ホッツさんが入っていることを質問された時だ。「さっき知った。気になりますね。ジャッジ全員が中立国の方が公平でいい」 ほぼ同時刻、ルールミーティングでは、この試合のプロモーターでもあるワタナベジムの渡辺均会長が息巻いていた。「相手国のジャッジを入れないなんて当たり前でしょ! (日本ボクシング)コミッション(JBC)が受け入れたのはどうかしてるよ。頭おかしいんじゃない!?」とWBA側の立会人を務める安河内剛JBC事務局長に詰め寄る。いつもなら無風のジャッジ人選が大騒ぎになった。 安河内事務局長によると、IBFが選手と同国籍のジャッジを選ぶことは珍しくない。それでも、「不公平感を抱かれかねない」として米国のIBF本部に変更を要請した。 ただ、ワタナベジムには数週間前にジャッジの人選が告知されていた。ジム側が期待したWBAとの擦り合わせが行われなかったなどの事情もあるが、航空券を手配した時などジャッジの人選に気付くタイミングは何度もあった。指摘された渡辺会長は「知らなかったのはこっちのミス」と態度を軟化させた。 結局、19日深夜にメキシコ人のジャッジに代えて日本の中村勝彦ジャッジを入れ、編成を日本、南アフリカ、米国とすることで決着。日本初の統一王座防衛戦前日のドタバタ劇は、なんとか無事に決着した。 (藤本敏和)
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