女性の権利活動家を逮捕、運転解禁を前に サウジアラビア
女性の運転解禁を6月24日に控えたサウジアラビアで、女性の権利活動家7人が逮捕された。
逮捕の理由は明らかにされていないが、活動家らは当局が女性を黙らせようとしていると話している。国営テレビ局は、活動家らは外国政府とつながりを持とうとした疑いがもたれていると報じた。
サウジアラビアでは、女性は外国旅行や結婚、パスポート取得といった場面でで男性の許可を得る必要があると法律で定められている。
逮捕されたのは誰?
逮捕された7人の活動家のうち、2人は男性。
運転禁止の法律に強く反発していたロウジャイン・アル・ハトロウル氏と、エマン・アル・ナフジャン氏が含まれている。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、2人は2016年、女性に男性の保護を義務付けるシステムを廃棄する嘆願書に署名した。
ハトロウル氏は2014年にも、アラブ首長国連邦(UAE)から自動車を運転してサウジアラビアの国境を越えようとして逮捕された。この時は73日間拘束されたが、そのときの様子をツイッターでつづった。
2017年6月には、サウジアラビア東部ダンマームの空港でまたも逮捕され、数日後に釈放された。
一方のナフジャンさんは2013年、首都リヤドで別の女性活動家が運転しているところを撮影し、警察に捕まった。釈放されたものの、二度と同じことをしないという誓約書にはサインしなかったという。
活動家らに何が起きた?
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、活動家らが5月15日に逮捕されたが、当局はその理由を明かしていないと説明している。
また、彼らは昨年9月、王立裁判所から「メディアで話すな」という電話を受け取ったという。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明で、「この電話は、当局が女性の運転を解禁すると発表したその日にかかってきた」ことを明らかにした。
同団体のサラ・レア・ウィッツソン中東理事は「この活動家たちがおかした唯一の『罪』は、ムハンマド・ビン・サルマン王子より前に女性の運転を求めたことのようだ」と話した。
サウジアラビアは本当に開かれた?
サウジアラビア昨年9月、女性の自動車運転を許可する国王令を発布した。経済多角化とサウジアラビア社会の解放を目指す「ビジョン2030」を推進する、32歳のムハンマド・ビン・サルマン王子の改革の一つとされる。
運転解禁のほか、男性の許可なしに女性がビジネスを始めることも認める予定だ。
しかし、こうした改革はスムーズに行われているわけではない。昨年11月には、王族や実業家、新旧の閣僚など数十人が汚職の罪で身柄を拘束されたが、これは王子による粛清だといわれている。