YouTubeが5月16日に発表した新しい音楽サービスは、音楽動画も視聴できて便利そうです。そして、Googleさんの混沌の1つが、少しすっきりする兆しでもあります。
米国と日本で提供サービスが違いますが、話が複雑にならないように、ここでは米国での変遷を見ていくことにします。
Googleの音楽サービスの始まりは、2011年11月に正式版がスタートした「Google Music」です。これはストリーミングではなく、自分の音楽をロッカーに置いておける無料の音楽ストレージサービスでした。これが2013年に月額9.99ドルの「Google Play Music」になり、いろいろ機能を追加しながら現在に至ります。
それとは別に、Google傘下のYouTubeが「YouTube Music」をリリースしたのは2015年10月のことです。「YouTube Red」という、YouTubeを広告なしで視聴できる月額9.99ドルのサブスクリプションサービスと同時にスタートしました。この時点ではYouTube Musicは音楽を広告付きで聴ける無料サービスでした。で、YouTube Redの会員であれば、YouTube Musicアプリで音楽を広告なしで聴けるというシステム(ちょっとややこしい)。
その段階で既に、Google Play MusicとYouTube Musicが両方あるのはなんだかなぁという感じでしたが、前者は検索やパーソナライズが優れていて音楽ロッカーが使える旧来の音楽サービスで、後者はYouTubeで主に音楽(動画)を聴いて(視聴して)いたユーザーが待ち望んでいたサービスということで、一応棲み分けできていました。
で、今回の「YouTube Music Premium」の登場です。これはYouTube Redとは別の単体サービスで、月額9.99ドルで広告なしで音楽が聴けて、ダウンロードもできます、というもの。
YouTube Redと同じ金額で音楽だけのサービス? それならYouTube Redに加入すればいいじゃん、と思いきや、YouTube Redは「YouTube Premium」に名前が変わり、月額11.99ドルになります。2ドルの値上げは、有料のYouTube Music Premiumの機能が使えるのと、オリジナルコンテンツが充実する分だそうです。
そして、将来的にはGoogle Play Musicはなくす方向だとCNETは報じています。
そうなれば、Googleの音楽サービスはYouTube Musicだけになってすっきりします。これまでGoogle Play Musicのロッカーにせっせと音楽を保存していたユーザーは、統合段階でデータをそのまま保持できるそうだし(将来もロッカーに音楽を追加していけるかどうかは不明)。
これが実現できるのは、Google生え抜きではなく、音楽畑のベテランを外部から招聘した結果です。元Warner Music Groupの幹部、リオ・コーヘン氏が2016年、「Global Head of Music, Google/YouTube」に就任し、主な音楽レーベルとのライセンス交渉も含めて2つの音楽サービスの統合に尽力しました。
Appleが「Apple Music」立ち上げに際して音楽業界のレジェンド、ジミー・アイヴォン氏を獲得したのを思い出します(アイヴォンさんは8月にAppleを退社するようです)。
うわさではGoogle Play Music終了は年内だろうということですが、そうなると、それまでに日本でもYouTube Music Premiumが使えるようになってくれないと困ります。コーヘンさん、日本の音楽業界との交渉もうまくやってくれるといいのですが。ちなみに米国では、Google Play Musicのユーザーは手続きなしでそのままYouTube Music Premiumを使えるそうなので、日本でもそれに準じるとみてよさそうです。
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