ここではまず、全身のバランスや柔軟性などのチェックをひと通り済ませてから、個々人の課題に応じて、運動のメニューを実践しつつ細かく指導を受ける、というのが基本的な流れだ。
私の場合は、肩甲骨の特に左が固いのでそのストレッチの運動や、背中が反り気味になっているから、上半身をまっすぐ固定した状態で手足や横隔膜を動かす運動とか、そういうところから始まった。(もちろん足裏を全然動かせていないのでそのメニューもあった。)
初回は6種類のメニューを教わったのだが、各メニュー意識するポイントがたくさんあるので、身体より頭の方が疲れる感じではあった。
翌日試しに走ってみると、前日より走りやすくなっている気がした。まだぼやっとしていたが、何となく効果はあるように思えたので、とにかく教わったメニューを繰り返すことにした。(他にできるトレーニングが少なかったのもある。)
その後2~3週に1回のペースで通ったのだけど、回数を重ねるうちに、以前教わったメニューはランニングのここにつながるのか!という感覚がだんだん掴めてきた。特に10月以降には、効果を如実に実感できるようになり、通う度「はい、じゃあ次はこの身体で走ってみて」と、まるごと身体を渡されるような感覚だった。
はじめは左右がひどく歪つで、いろんな部位が強ばり、ねじれて、絡まっているような状態だったのだけど、1つずつ順を追ってほぐされ、調整され、正常な状態に更新されていくのが感じられた。
10月中旬。自宅近くのアップダウンのあるロードを20km超、故障以来初めて痛みなく走ることができた。完全ではないにせよ、ようやく2ヶ月半にわたる故障生活を脱することができたのだった。しかも以前より、上半身が骨盤やかかとの上にまっすぐ乗っている感覚があり、下り坂をずっと楽に走れるようになっていた。明らかに故障前より整った身体になっているのはわかった。
12月の伊豆トレイルジャーニーで、安定した状態で最後まで走ることができたのは、間違いなくここの指導の賜物である。足底はもちろん、以前のレース中盤で痛みが走り、失速のトリガーとなっていた箇所、左の臀筋や腰のあたりも、今回痛みが出ることはなかったのだ。これが非常に大きい。
また、身体意識の情報量が、以前の比でなく増えたのは感じている。
同時に、ランニングはそれなりにシリアスにやってきたつもりだったのに、知らないことがこんなにあったんだなと。前年からいわゆる体幹トレーニングは実践してきて、それで成果を上げてきたつもりだったのに、それも氷山の一角の中の一区画くらいにすぎなかったんだなと。そんなことも痛切に感じた数ヶ月だった。
いや本当、奥が深すぎる。
(チーム100マイルでも、これからは体幹体幹とあまりえらそう言えないな…と思いました)